システム関連の入札と言ったら必ず名前が出てくる富士通ですが、先日、とあるお客様から富士通の1円入札の話を聞きました。
1円入札という言葉に興味がわいたので調べてみると、1円入札は独占禁止法違反の恐れがあるとのことでした。
ではなぜ、独占禁止法違反の恐れがあるにも関わらず、企業は1円入札を行うのでしょうか?
1円入札の事例
■富士通1円入札事件(wikipedia『ITゼネコン』)
1989年(平成元年)に 富士通が広島市水道局のシステムを1円入札した事が発覚しました。
この富士通1円入札事件以降、他社でも、1円という極端な額ではなくとも、超安値落札が不当廉売で独禁法違反(独占禁止法第19条6項)の恐れがあると警告や注意を受けたケースが度々あるようです。
■1円入札独禁法違反の恐れ 公取委、ヤフーなどに警告
2005年にネットオークション最大手ヤフーと他1社が、「ネットオークションと公開オークションの運営補助業務」を1円で受注をし、公正取引委員会から不当廉売で独禁法違反(独占禁止法第19条6項)の恐れがあると警告を受けました。
1円入札が行われる背景
1円入札が行われる背景には、まずは実績作り、すなわち投資という考えがあるのだと私は思います。
民間企業で言ったら無料お試し的な手法です。
特に、システム案件は1度入ってしまえば、次年度は別の会社へと簡単に変更できるものではないので、最初に入り込めるかどうかがポイントです。
上記にあるヤフーは「広告宣伝効果がある。」ということが理由だったらしいのですが、これも要するに先々の利益を見越しての投資です。
入札市場の今後の課題
1円入札は、一見、理にかなったやり方に思えるかも知れませんが、こういったやり方ができるのは資金に余裕がある大企業だけで、中小企業が同じやり方をするのは極めて困難だと思います。
初年度が1円であっても、次年度以降はほとんどの場合、随意契約になり落札額が高くなる傾向にあるということ、また、中小企業が初年度から入り込むことが極めて困難であるということ、これらの問題を解決する為には、やはり無くしていったほうが良いのかもしれません。
公正取引委員会の警告や注意だけでなく、もっと突っ込んだ具体的な対策を打てるかが今後の国の課題だと思います。