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「令和4年度の国家予算トレンドと、データで見る官公庁入札」公表、国家予算の三大ポイントと今年度の入札傾向を解説・分析

「令和4年度の国家予算トレンドと、データで見る官公庁入札」公表、国家予算の三大ポイントと今年度の入札傾向を解説・分析

※自社事業 入札情報速報サービス「NJSS」で収集している案件を元に独自調査を実施、2022年6月21日に公開した記事を掲載

 

2022年3月22日、令和4年度の国家予算が成立しました。

本年度予算は、107兆6,000億円と過去最大の予算で、「新型コロナ対応」に万全を期すことに加えて、「デジタル田園都市国家構想の推進」「気候変動問題への対応」「イノベーション・科学技術への投資」、さらには「人への投資」など、成長と分配の好循環による持続可能な経済の実現に向けた施策を重点的に推進していく内容となっています。

 

また、ウクライナ情勢の影響を受け、原油高などの新たな経済危機が、国民の生活、あるいは企業経営を脅かしつつある中で、国民からも非常に注目度の高い予算政府案となっています。

 

参考:令和4年度国家予算政府案

調査概要

対象:官公庁・自治体・外郭団体をはじめとした全国7,700の機関から公示される案件

(うち、案件公示日が2021年4月1日~2022年5月31日の案件を対象)

※入札情報速報サービス「NJSS」上での案件に限る

 

入札市場について

 

 

札マーケット 官公需契約の推移

 

 

 

入札マーケット 年間公表数の推移のグラフ

 

国家予算概要のトレンドは大きく3つ

令和4年度 国家予算の概要

 

参考:財務省「令和4年度予算のポイント

 

本年度の国家予算は、令和3年度補正予算と⼀体として、新型コロナ対策に万全を期しつつ、「成⻑と分配の好循環」による「新しい資本主義」の実現を図るための予算、という特徴が大きくみられます。

 

「NJSS」が特に注目した領域は「①感染拡大防止」「②デジタル化」「③エネルギー」の3点です。

 

「①感染拡大防止」については、変異株による感染拡⼤等、予期せぬ状況変化に備え、令和4年度予算においてもコロナ予備費として5兆円が措置されています。

 

「②デジタル化」においては、「デジタル⽥園都市国家構想」の実現に向けた予算や、デジタル庁の情報システム関係予算、さらには地方⾃治体の創意によるデジタル技術の実装等を幅広く支援する予算が組まれています。2021年秋のデジタル庁設置以来、今年度もデジタル化の動きにも注目が集まっています。

 

「③エネルギー」に関しては、2050年カーボンニュートラル⽬標等の達成に向け、再⽣可能エネルギーの導⼊、クリーンエネルギーの研究開発、脱炭素に意欲的に取り組む⾃治体を継続的・包括的に⽀援するための交付⾦などに、今年度予算が充当される予定です。予算規模は全体と比較すると、さほど大きくはないものの、エネルギー関連の話題は国際的にも関心が高く、国策に注目が集まります。

 

うるるは、上記3点について、「NJSS」に登録された実際の案件(※)を調査・分析。

その結果をレポートするとともに、今年度の各カテゴリの入札動向を解説します。

 

※資料作成時の直近一年間で「NJSS」に登録された、かつ全省庁統一資格で参加可能な案件

 

感染拡大防止

公示案件数は「手袋」が1,817件と1位に。

落札金額では、広報業務や広告などの宣伝事業が1位、窓口や派遣業務、消毒作業などの人材案件が2位、3位と続いた。

 

▼直近一年間の公示案件数

感染拡大防止 直近1年間の案件数

 

▼合計落札金額

 

感染拡大防止 落札金額

 

▼入札方法

 

感染拡大防止 入札形式別の案件数割合

 

 

 

②デジタル化

昨今、注目の集まる「DX」関連が公示案件数1位に浮上。

一方、落札金額では、「クラウド」や「IoT」、「業務自動化」などシステム系の案件が上位に。

 

▼直近一年間の公示案件数

デジタル化 案件数

 

▼合計落札金額

デジタル化 落札金額

 

▼入札方法

デジタル化 入札形式別案件数

 

 

③エネルギー

公示案件数1位は「エコ」。

落札金額では、調査や建設工事をともなう「脱炭素」が1位に。

 

▼直近一年間の公示案件数

エネルギー 案件数

 

▼合計落札金額

 

エネルギー 落札金額

 

 

▼入札方法

エネルギー 入札形式別の案件数

 

 

まとめ

今年度の国家予算から、NJSSが特に注目した領域が「①感染拡大防止」「②デジタル化」「③エネルギー」の3つです。

2020年に感染が蔓延した新型コロナウイルスは、ワクチンの普及や各施策の効果もあり収束しつつあるものの、いまだ予断を許さない状況であることに変わりなく、今年度も予算の割合を多く占めていることから、コロナ感染防止策への注目度は引き続き高いことがわかります。

 

また、DXに関しては、経産省のDXレポートの中で指摘されていた「25年の崖」問題が差し迫っていることもあり、官民問わず国全体で老朽化や複雑化されたレガシーシステムを刷新していこうという動きが活発化していることが分かります。一方で、まだ導入に向けた検討・検証段階の案件が多いことから、導入が本格化するのはこれからだと言えます。コロナによりテレワークを余儀なくされ、加速し始めたDXですが、今後もしばらく注目の領域となるでしょう。

 

そして、エネルギーの領域ですが、予算の多くが「脱酸素」に配分されています。これは、エネルギー基本計画、グリーン成長戦略といった原発依存を脱却し再生可能エネルギーに転換していく方針への取り組みが加速していることに加え、昨今のウクライナ情勢の影響によるロシアへのエネルギー依存のリスクが高まるなど、日本のエネルギー自給率の低さが更なる課題として顕在化してきていることを表しています。また、クリーンエネルギー戦略による温暖化対策を経済成長につなげていく方針も掲げられたことで、引き続き大きなトレンドの一つとしてみてよいでしょう。

 

それぞれの入札方法ですが、「①感染拡大防止」は、緊急性の高い案件が多いものの、価格勝負の一般競争案件も多く公示されています。この特徴は、「②デジタル化」も同様です。他方で、「③エネルギー」は、他の2つと比較し随意契約が多いことがわかります。これは専門的な知識や技術が必要になることが多い分野のため、価格競争ではなく一定の必要要件を満たす事業者に委託される傾向があるためです。

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