これからどんな入札案件が増えるのかの予想がたてば、営業活動をより効率的に行えるのに、
といったお悩みを抱えている自治体の入札担当の方はいらっしゃいませんでしょうか?
実は、政府の主要政策の動きをみることで、自治体の入札案件を推測することもできるんです。
そこで今回は、
- どうやって政府の主要政策の動向を見極めるのか
- 政府の主要政策と入札案件の関係
- これから具体的に増加しそうな入札案件
についてまとめてみました!
政府の政策動向の把握方法について
方法①:政府予算を確認する
政府の政策動向を把握するための1つ目の方法として、政府の予算の動向を把握することが挙げられます。政府の政策には、当然予算の裏付けがあるためです。
例えば、2023年11月29日に成立した補正予算(※1)の概要は以下の資料の通りとなっています。
▶ 令和5年度補正予算(第1号)の概要(引用元:財務省)
また、2024年度の当初予算(※2)の概要は以下の資料の通りです。
▶ 令和6年度予算のポイント(引用元:財務省)
こうした足元の予算編成の動きの中で、自治体の入札案件に関連しそうなものとして、
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などを挙げることができます。
(※1)補正予算とは:当初予算(後述)に追加する形で策定される予算。例年は11~12月ごろに成立します。
(※2)当初予算とは:毎年1~3月ごろに成立し、次年度から執行される予算です。
方法②:政府策定の方針や計画、報告書を確認する
政府の政策動向を把握するためのもう1つの方法として、各府省庁が策定する計画や報告書を確認する方法があります。
どのような計画書や報告書があるか、具体例をいくつか紹介します。
<例1>「デジタル社会の実現に向けた重点計画」を策定/デジタル庁
政府のデジタル化の取り組みについて、デジタル庁は毎年「デジタル社会の実現に向けた重点計画」を策定しています。
▶ デジタル社会の実現に向けた重点計画(引用元:デジタル庁)
<例2>「健康日本21」(第三次)/ 厚生労働省
各府省庁の審議会などで策定される政策方針や報告書などを確認することで、政策の動向を把握することもできます。
例えば、健康増進に関する政策でいえば、厚生労働省が「健康日本21」といった方針を定めており、その第三次改訂版が2024年度から開始されます。
▶ 健康日本21(第三次) (引用元:厚生労働省)
「健康日本21」とは
健康日本21は、新世紀の道標となる健康施策、すなわち、21世紀において日本に住む一人ひとりの健康を実現するための、新しい考え方による国民健康づくり運動である。これは、自らの健康観に基づく一人ひとりの取り組みを社会の様々な健康関連グループが支援し、健康を実現することを理念としている。この理念に基づいて、疾病による死亡、罹患、生活習慣上の危険因子などの健康に関わる具体的な目標を設定し、十分な情報提供を行い、自己選択に基づいた生活習慣の改善および健康づくりに必要な環境整備を進めることにより、一人ひとりが稔り豊かで満足できる人生を全うできるようにし、併せて持続可能な社会の実現を図るものである。
引用元: 厚生労働省
<例3>「省エネルギー小委会」の会議資料や中間報告書/ 資源エネルギー庁
省エネ政策の動向を把握したい場合は、資源エネルギー庁の「省エネルギー小委会」の会議資料や中間報告書などを把握することも有効な手段です。
▶ 総合資源エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会 省エネルギー小委員会 中間論点整理 (引用元:経済産業省)
政府の主要政策と自治体入札案件数の関係
ここまで、足元の政府の政策の大きな方向性を把握する方法についてみてきました。
それでは実際に、こうした政策の動向と入札案件の公募案件数の関係についてみていきましょう。
今回は一例として、政府が掲げる「GIGAスクール構想」について取り上げてみます。
「GIGAスクール構想」とは、2019年末に始まった文部科学省の政策で、全国の生徒・児童に対して高速のネットワーク環境と、1人1台のコンピュータを整備することを目指した政策パッケージになります。
実際に入札案件名に「GIGA」というキーワードが含まれている入札案件の推移をみてみると、以下の通りとなっています。
政策が打ち出された約半年後から、入札案件数が急増していることがわかります。
この事例では、注目政策が打ち出されると、その一定期間後に入札件数が増加することがあることがわかります。
※ただし、GIGAスクールの場合は、新型コロナウイルス感染症の影響で事業実施が前倒しされた背景もあるため、「いつ」入札案件が増加するかは案件ごとに判断する必要があります。
これから熱くなる入札分野とは? ーヘルスケア分野を例にー
ここまで、政府の政策の柱となった案件が、実際に自治体の入札案件にもつながることを、データを元に明らかにしてきました。
それでは実際に、これから入札案件が増えそうな分野にどのようなものがあるのでしょうか?
ここでは、「ヘルスケア分野」を例に深掘りしてみます。
予算の確認ポイント
ヘルスケア分野ですので、ここでは厚生労働省の予算に注目してみます。
例えば、令和5年度の補正予算では、以下のような施策が列挙されています。
▶ 補正予算案の主要施策集 (引用元:厚生労働省)
このうち、入札案件になる可能性が高いものとして、「補助金・助成金の支給主体が都道府県や各自治体になっているもの」だと考えることができます。
例えば、以下のような電子処方箋の活用・普及の事業については、都道府県が医療機関や薬局などに助成金を支給する流れになっています。
(引用元:厚生労働省 補正予算案の主要施策集)
電子処方箋の開発に強みがあるシステムベンダーにとっては、この機会に医療機関や自治体などに営業するチャンスがあることがわかります。
<参考>ヘルスケア分野の入札案件情報
ヘルスケア分野の入札案件には下記のような案件があります。
- 岩手県立病院(NEC 系電子カルテシステム)電子カルテ用端末 1式 (岩手県庁)
- 令和5年度岡山市レセプトデータ等分析業務委託 (岡山市役所)
- 第3期秋田市データヘルス計画、第4期秋田市特定健康診査・特定保健指導実施計画 (秋田市役所)
※「入札情報速報サービスNJSS」にて、詳しい案件情報を確認することができます
政府方針の動き -「健康日本21(第三次)」
さらに政府方針として「健康日本21(第三次)」が2024年4月から実施されます。
健康日本21とは、厚生労働省が定める、国民の健康づくりの運動を進める上での基本方針です。
この基本方針を元に、各自治体がそれぞれの健康増進計画を定めることになっています。
「誰一人取り残さない健康づくり」がテーマとされ、その手段として「目標の設定・評価」や「ICTの利活用」などが位置付けられています。
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こうした中身をみると、人々の健康状態を把握するためのウェアラブル端末やアプリに関連した入札案件が今後増加するかもしれない、と推測することができます。
入札案件の動向を予想するために
今回は、政府の政策動向から将来の入札案件の動向を予想するための考え方について紹介しました。入札案件に対して計画的に準備するためにも、ぜひ参考にしてみてください。
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