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【いい入札の日2025:公共入札トレンド予測発表】 高市政権発足で公共入札はどう動く? 「年収の壁160万円」「高校・給食無償化」「外国人対策」に注目 ~安倍・菅・岸田・石破 4政権の公共入札トレンドワードも振り返り~

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労働力不足問題解決のリーディングカンパニーとして、複数のSaaSを展開する株式会社うるる(本社:東京都中央区、代表取締役社長CEO:星 知也)が運営する入札情報速報サービス「NJSS(エヌジェス)」は、「いい入札(11・23)の日」を目前に控えた本日、安倍・菅・岸田・石破の4政権の政策方針が入札にどう表れたのかを示す『公共入札トレンドワード』を公開しました。さらに、高市新政権の発足を受け、今後の『公共入札トレンド予測』も併せて発表いたします。

 

公共入札トレンド予測・サマリー

 

<高市総理大臣の所信表明から読み解く、公共入札トレンド予測>

【1】 年収の壁160万円へ引き上げ
制度改正に伴い、税制・社会保険・年末調整などの手続きシステム改修案件の増加が見込まれる

【2】高校・給食無償化
無償化の実施に向け、補助金管理や給食費システムの見直し案件が広がると予想

【3】外国人対策の強化
治安・雇用・観光をまたぐ総合対策の強化により、
地域共生、外国人材受け入れ管理、インバウンド関連などの案件が増えると想定

 


 

はじめに

「いい入札の日」は、より多くの方に公共入札市場への理解を深めていただくとともに、主な財源が税金によってまかなわれる公共入札が私たちの生活をより豊かにするものであるという認知拡大の機会として、うるるが提供する入札情報速報サービス「NJSS」の 10 周年を迎えた 2018年に制定された記念日です。

 

制定から7年目を迎える今年の「いい入札の日」は、新政権誕生という社会的な節目を受け、「NJSS」に蓄積された入札・落札データをもとに、安倍※1・菅・岸田・石破の4政権下における公共入札の動向を比較し、それぞれの政策方針がどのように公共入札市場へ影響を与えてきたかを振り返りました。また、10月に発足した高市政権を新たな起点として、今後どのような案件が公共入札で注目されていくのかを予測します。

 

※1:本調査における安倍政権は第三次~第四次安倍内閣を指す。

 

安倍・菅・岸田・石破 4政権の公共入札トレンドワードを振り返る

安倍・菅・岸田・石破の4政権が掲げた政策をもとに、公共入札市場でどのキーワードが注目を集めたのかを明らかにしました。各政権の重点施策を3つずつ取り上げ、それぞれの時期に関連案件がどれだけ出ていたのかを追うことで、政策の変化が公共入札市場にどう影響したのかを読み解いています。

 

<過去4政権の公共入札トレンドキーワードランキング >

 

【 安倍政権期の公共入札トレンドキーワードTOP5 】

 

2014年12月以降の安倍政権においては、長期政権の中で、「国土強靱化」や「インフラ整備」を軸とした公共投資が活発に進められました。公共入札においては「防災」や「耐震」が上位を占める結果となりました。地震や豪雨など自然災害への備えが国家的課題として位置づけられたことが反映されています。

 

一方で、安倍政権が掲げた「未来投資戦略」のひとつとなる「Society 5.0」の影響により、「AI」「タブレット」などICT関連の案件も出始め、防災・インフラ中心の市場構造の中にデジタル技術導入の兆しが見られた点が特徴です。

 

【 菅政権期の公共入札トレンドキーワードTOP5 

 

菅政権(2020年9月~2021年10月)は、新型コロナウイルス対応に全力を注いだ政権でした。公共入札案件の中でも「コロナ」「感染症」「マスク」「ワクチン」といった医療・公衆衛生関連のキーワードが上位を独占し、政府・自治体の緊急調達や医療体制整備が公共入札市場を大きく動かしたことがわかります。

 

一方で、政権の看板政策であった「デジタル庁創設」や「行政DX」の推進を背景に、「マイナンバー」関連の公共入札も増加。短期間ながら、感染症対策と行政デジタル化の二軸が特徴的な政権期でした。

 

【 岸田政権期の公共入札トレンドキーワードTOP5 】

 

岸田政権(2021年10月~2024年10月)は、「新しい資本主義」を掲げ、人への投資と地域の成長基盤づくりを重点に進めた政権です。公共入札テーマでは「AI」「インフラ」などのデジタル田園都市構想(地域DX推進)に関する案件が多く、地方自治体のデジタル化支援やインフラ整備を軸とした公共入札が顕著に増加しました。

 

また、「GX/グリーントランスフォーメーション」を通じた再エネ・脱炭素関連の動きも広がり、
「再生エネルギー」「脱炭素」などの案件が上位にランクイン。 一方で、「子育て支援」など社会保障系キーワードも上位に入り、デジタル・環境・子育てを三本柱とする多層的な公共入札構造が特徴的な政権期でした。

 

【 石破政権期の公共入札トレンドキーワードTOP5 】

 

石破政権(2024年10月~2025年10月)は、発足直後から「防災・国土強靱化の再構築」を掲げ、災害対応力とインフラ再整備を最優先課題としました。公共入札では「災害」「防災」が上位を占める一方で、「デジタル」「AI」「DX」など産業イノベーション分野のキーワードも上位に並びました。

 

災害対応におけるデジタル技術の活用や、行政・産業分野でのAI実装支援など、防災とデジタル実装の両輪で政策が動き始めた時期と言えます。

 

< 共通キーワードで見る4政権の案件密度※2比較 >

過去4政権の公共入札トレンドキーワードを振り返る中で、「地方創生」「防災」「デジタル・DX・電子化」「GX・カーボンニュートラル・脱炭素」の4分野を、いずれの政権においても重点的に取り組まれてきた共通キーワードとして位置づけました。これら4分野における政権ごとの公共入札案件数を比較し、どの政権期にそれぞれの案件が集中していたのかを可視化しました。

 

※2:政権の在任日数で割った公共入札案件数。数値が高いほど、短期間に多くの公共入札が行われたことを示す。

 

【地方創生 編】

 

「地方創生」編では、菅政権期の案件密度が2.2と最も高く、短期間で多くの案件が集中しました。行政DXや地域経済対策が進んだことが要因と考えられます。

安倍政権期は制度基盤の整備、岸田・石破政権期は自治体DX・地域DXを中心とした継続的な動きが見られ、地方創生が政権を超えて重視されるテーマであることが分かります。

 

【防災 編】

 

「防災」分野は4政権を通じて最も案件密度が高く、安倍政権期(82.62)をピークに高水準で推移しています。

安倍政権では「国土強靭化基本計画」のもとで防災・減災投資が全国で活発化。その後も、豪雨災害や地震などの頻発を受け、菅・岸田政権でも継続的な防災関連公共入札が実施されました。

石破政権期も「防災・国土強靱化の再構築」を掲げており、依然として公共入札市場をけん引する重要分野となっています。

 

【デジタル・DX・電子化 編】

 

「デジタル・DX・電子化」分野では、4政権連続で案件密度が上昇しており、行政の電子化や産業DXを継続的に推進しようとしていることがわかります。

 

菅政権でのデジタル庁創設を契機に公共入札活動が活発化し、岸田・石破政権ではAI活用・行政システム刷新・防災DXなどへの応用領域が広がったと考えられます。

 

【GX・カーボンニュートラル・脱炭素 編】

「GX・カーボンニュートラル・脱炭素」分野は、岸田政権期から明確に上昇トレンドを描き、石破政権期ではさらに伸長しています。

安倍政権期には萌芽的だった脱炭素政策が、GX推進法の整備や再エネ投資拡大を背景に市場化が加速したと考えられます。

 

高市総理大臣の所信表明から読み解く、公共入札トレンド予測

高市政権の発足を受け、「NJSS」では、所信表明演説で示された政策の中から、特に今後の公共入札案件として増加が見込まれる3つの政策領域をピックアップしました。

 

物価高対策、制度改修、外国人対策はいずれも国民生活に直結するテーマであり、こうした取り組みを支える行政基盤の整備や補助金運用の最適化といった動きが広がることで、関連発注が各自治体・省庁で増加する可能性があります。

 

ピックアップ政策  想定される公共入札キーワード
【1】年収の壁160万円へ引き上げ 年末調整・税制改正・社会保険・リスキリング
【2】高校・給食無償化 給食費・学費補助・教育DX・校務DX
【3】外国人対策強化 インバウンド、訪日観光客・外国人材、在留外国人

これらの政策分野では、過去にも関連性の高い公共入札案件が散見されています。

そこで2025年8月7日~11月6日の期間に公示され、かつ「NJSS」内に登録されている公共入札案件をもとに、それぞれのトレンドの兆しを見ていきます。

 

【1】年収の壁160万円引き上げ関連

― 税制・社会保険制度改修を背景に、関連システムの改修需要が拡大か ―

 

物価高対策の一環として掲げられた「年収の壁」引き上げは、税制・社会保険制度の見直しを伴う政策です。制度改修に対応するため、「年末調整」「税制改正」といった行政関連システムやデータ管理業務の公共入札が増加傾向にあります。

 

直近3か月でも、「NJSS」上では「年末調整」関連 117件、「税制改正」関連 30件 の案件が確認されており、行政事務や給与関連システムの更新・改修需要が引き続き増える見込みです。また、労働参加が進むことで、「リスキリング」関連の需要が徐々に高まる可能性も考えられます。

 

公共入札案件の一例:

財務会計システム改修(令和7年年末調整制度改正対応)(広島県庁)

税制改正等に伴う個人市県民税システム改修業務(静岡県静岡市役所)

リスキリングIT系講座運営業務(新潟県上越市役所)

 

【2】高校・給食無償化

― 教育現場のDX化と会計業務の見直しが進む ―

 

高市政権では、物価高対策の一環として「高校授業料の無償化」や「学校給食費の無償化」を来年度から実施する方針を示しています。この施策により、対象者の申請受付や給付処理、会計手続きなどを支えるシステム改修・運用見直しが各自治体で進むと考えられます。

 

既に一部の自治体では独自に無償化を進めており、直近3か月の「NJSS」データでも「給食費」や「補助金管理」に関する案件が45件確認されています。

また、財政支援にとどまらず高校教育の在り方そのものの見直しも進む見込みで、「STEAM教育」や「GIGAスクール構想」、「不登校支援」、「校務DX」など教育領域のデジタル化案件も引き続き増加が予測されます。

 

公共入札案件の一例:

給食費管理システム 無償化対応改修業務委託(神奈川県相模原市役所)

次世代の校務DX等に係る基本計画策定支援業務委託(大分県庁)

STEAM教育推進事業業務委託(栃木県庁)

 

【3】外国人対策強化

― 観光・雇用・地域共生、3方向で動きが広がる ―

 

高市政権では、人口減少を踏まえた人材確保や地域経済の活性化を目的に、外国人対策強化に関する担当大臣を新設しました。インバウンド観光の再拡大や外国人材の受け入れ体制整備、地域共生の推進など、複数の行政領域に関わるテーマとして注目されています。

 

直近3か月の間に「NJSS」では、「インバウンド」や「外国人受け入れ」、「地域共生」に関連する案件が合計約100件確認されており、観光振興事業や地域共生活動の調査・推進業務、外国人雇用支援や多言語対応システムなど、分野横断的な動きが見られます。

 

今後は、地方自治体での観光・生活支援・雇用管理を組み合わせた地域共生型プロジェクトや、国レベルでの外国人材受け入れに関する制度運用・データ整備事業など、幅広い公共入札テーマへの展開が予測されます。

 

公共入札案件の一例:

外国人介護人材受入支援事業委託業務(愛知県庁)

Be.Okinawa令和7年度Be.Okinawa多言語コンタクトセンター運営事業・インバウンド医療受入体制整備事業(沖縄県庁)

多文化共生の地域づくり支援業務(外国人相談窓口運営)(広島県庁)

 

株式会社うるる 執行役員 Govtech事業本部 本部長 渡邉貴彦コメント

今回の発表では、公共入札データが政策の動きとどのように関係しているかを、あらためて確認する機会となりました。

 

公共入札・調達は、政策を具体的な事業として形にし、公共サービスを支える仕組みの中核を担っています。政権の移り変わりや社会情勢の変化があっても、公共入札・調達は日々の暮らしを支える基盤として動き続けています。

 

うるるは、官と民をつなぐ中間支援事業者として、入札情報速報サービス「NJSS」による入札・落札データの収集・提供のみならず、AI・ITを駆使した新機能の開発により民間企業の業務効率化を支えてまいりました。また公的機関向け購買調達サービス「調達インフォ」では、官公庁・自治体・独立行政法人職員の調達業務を効率化すべく、生成AIを活用した仕様書原案作成機能の提供や応募勧奨の支援などにも取り組んでいます。

 

今後も、官と民がより健全に、透明に結びつく“より良い公共入札”の仕組みづくりを推進し、限られた税金の有効活用と社会インフラの質の向上を通じて、日本の深刻な労働力不足問題の解決にも貢献してまいります。

 

「いい入札の日」制定の背景

官公庁の公共入札マーケットは年々成長を続けており、年間案件数は約200万件以上、市場規模は27兆円を超え、国家予算の約1/5を占める巨大市場となっています。また、公共入札1件あたりの落札金額は平均1,000万円ほどと大きく、今後も安定的な推移が見込まれます。

 

一方で、公共入札といっても業界によっては認知度が低く、総務省の調査※3では公共入札マーケットに参入経験を持つ企業は、日本全国の企業数367万社に対して約40万社で約11%と、今後も参入の余地が見込まれています。公共入札への参入企業が増えていき、適度な競争環境が生み出されることで、国家予算の有効活用により、経済や社会への貢献へとつながります。

 

そのような背景のもと、「NJSS」では、より多くの方に公共入札市場への理解を深めていただくとともに、主な財源が税金によってまかなわれる公共入札が私たちの生活をより豊かにするものであるという認知拡大の機会として、「NJSS」のサービス開始10周年を迎えた2018年に、11月23日を「いい入札の日」※4と制定しました。

 

これまでに、【公共入札市場の発展、拡大に貢献した自治体を表彰する「NJSS」 入札Award 2022」】、【「NJSS」に登録・蓄積されたデータを基にした入札トレンドランキング-DX編-の発表】【スタートアップの公共入札参加をテーマにしたイベントの開催】など、さまざまな施策を展開しております。

 

※3:2021年6月の経済センサス活動調査(総務省統計局発表)

※4:一般社団法人「日本記念日協会」に申請・認定済み

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