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2026年度予算案から見る自治体の動き|案件化の手前で発生する業務と民間活用の予兆

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2026年度予算案は、単に支出規模が大きいというだけではなく、重点領域がより明確に整理された点が特徴的です。社会保障、GX(脱炭素・エネルギー転換)、防災・危機管理、自治体DXなど、行政運営の基盤に関わる領域が中心に据えられ、自治体内部の業務量が増加しやすい分野が浮き彫りになっています。


この予算案を見る際に重要なのは、「どこにお金が配分されるか」よりも、「どの領域で行政が自力対応しきれなくなるか」という視点です。予算が動く場所=業務が発生する場所であり、そこには民間活用や外部連携が必要となる局面が生まれやすくなります。


まずは、個別の政策や事業名に踏み込む前に、2026年度予算案が示す方向性と、自治体の業務構造にどのような影響が及ぶかを把握しておくことが前提になります。

 

はじめに

今年の予算案が注目される背景

2026年度予算案が注目される背景には、行政側の負荷が増大する条件が複数重なっていることがあります。物価上昇や人材不足への対応、制度改定への追随、デジタル化を前提とした行政運営など、自治体が「前よりもやらなければならないこと」が確実に増えている状況です。


予算案は、この増え続ける業務をどのように処理するか、その方向性を示す指標として機能します。したがって自治体ビジネスに関わる企業にとっては、「支出の増減」ではなく行政の手が届かなくなる領域の可視化として読むべき性質を持っています。

 

重点領域が整理され始めた理由

重点領域が整理されているのは、政策目的が明確になったというより、行政が優先順位をつけざるを得なくなったと捉える方が実態に近い状況です。

 

全方位的に対応する余力がないため、負荷の高い領域から手当てをする。その結果として、特定の領域が“重点化”されて見える構造が生まれています。つまり、重点領域の並びは市場機会の宣言ではなく、行政側の限界が表面化した痕跡と読むことができます。この視点を持つことで、予算案と実務のずれによる誤読を避けられます。

 

ここでは全体像に範囲を限定する

この記事で扱うのは、あくまで「予算案の概要」および「自治体内部にどのような負荷が発生するか」という手前の段階です。具体的な公募名称、自治体別の案件予測といった内容には踏み込みません。


この限定を明確にすることで、分析が過度に恣意的になったり、予想が独り歩きしたりするリスクを避けられます。本稿は、営業提案や事業設計の前段階として、“どこを見ておくべきか”を定義する工程に位置づけています。

 

2026年度予算案の全体像

2026年度予算案は、歳出総額が約122.3兆円規模と見込まれ、前年度当初予算(約115.2兆円)から7兆円超の増加、前年比で6%台の伸びという、過去最大規模の編成が想定されています。3年連続で最大規模を更新する形になり、国として対応すべき領域が明確に整理された年度と位置づけられます。


ただし、この拡大は新規政策を大きく押し出すというより、行政運営を維持するための基盤コストが増加している現実への対応という側面が強く、社会保障・国債費・安全保障・インフラ維持など、避けて通れない領域に支出が積み上がっている構造が見られます。言い換えると、数字の大きさ以上に、「どこに業務が偏るのか」が読み取れる予算案になっています。

 

総額・前年比・特徴

2026年度予算案の約122.3兆円/前年比6%台増という数値は、単なる規模拡大ではなく、制度維持と危機対応に必要な費用が膨らんでいる状況の表れです。前年度との7兆円超の差分は新規施策の拡張効果よりも、現行制度の維持コストの増大に由来する色合いが濃く、自治体現場の業務量が構造的に増える背景として機能します。


そのため、本記事では領域別の配分額には踏み込まず、「どの領域で負荷が生じやすいか」という読み解きに焦点を当てています。数字は方向性を理解する基準線として扱い、その先の“作業量の発生ポイント”こそ注視すべき対象になります。

 

重点領域(社会保障/GX/防災/自治体DX)

予算案において目立つのは、社会保障、GX(脱炭素・エネルギー転換)、防災・危機管理、自治体DXといった領域が一列に揃っている点です。これらは政策意図の強さを示すというより、対応を先送りできない領域が前に出てきた結果と考える方が実態に近い状況です。


この並びは「金額の大きさ=営業機会」ではなく、自治体内部で調整・運用・説明責任・デジタル対応といった作業が集中し、外部リソースなしでは対応が難しくなる領域が増えることを示すサインとして読むのが適切です。

 

国 → 都道府県 → 市町村へ負荷が移動する構造

予算案が示す方向性は、国が政策の枠組みを整え、都道府県が制度上の調整や優先順位付けを行い、市町村で実際の運用と住民対応が具体化するという三層構造に落ちていきます。実際に業務量が可視化されるのは現場に最も近い市町村であり、ここで「対応しきれない業務」「外に出すべき作業」が発生しやすくなります。


営業企画という観点では、この層の変化を早期に掴むことが、提案の立脚点を誤らない上で有効です。どの制度よりも“どの層で手が足りなくなるか”を見る方が、現実的な判断材料になります。

営業視点で読むべき「重点領域」

2026年度予算案を営業活動の材料として読む際に重要なのは、「どの領域が大きいか」ではなく、どの領域で業務が処理しきれなくなるかという視点です。予算の重点化は、自治体内部の作業量が増える地点を示すサインであり、営業企画にとっては“入口になり得る工程”が浮かび上がるポイントでもあります。


特定の分野が政策的に強調されている背景には、制度運用や計画策定、デジタル化対応など、自治体が自力で抱えきれないタスクが増えている状況があり、ここに外部リソースの必要性が生じやすくなります。金額よりも、負荷のかかり方を正しく捉えることが営業上の判断に直結します。

 

業務量が増える領域=外部委託が発生しやすい領域

外部委託は、予算規模に比例して発生するのではなく、内部処理の限界に比例して増える傾向があります。自治体内部で想定される業務増加は、主に次のような特徴を持ちます。

 

  • 仕様策定・方針策定に必要な資料作成業務

  • 制度運用や住民対応に伴う、継続的な事務処理の増大

  • デジタル化により旧業務と新業務が並列進行し負荷が二重化

  • 必要性は理解されていても専門人材を恒常的に置けない領域

 

このような領域は、一度業務が発生すると“止められない仕事”として残り続け、外部支援の必要性が生じやすくなります。

 

政策意図から読み解く自治体内部の詰まりどころ

予算案の重点化は、自治体が“やるしかない仕事”の優先順位を示しています。そのため、政策意図から読み取れるのは市場機会というより、詰まりやすい工程の予告に近い位置づけになります。詰まりが生じやすいのは、次のような工程です。

 

  • 既存制度との整合性を取るための庁内調整

  • 住民や関係機関へ説明しながら進める合意形成プロセス

  • 形式要件と現場実態の差を埋める運用設計

  • 担当課の稼働時間を圧迫する継続的な入力・更新作業

営業企画においては、この“詰まりどころ”を特定する方が、施策名や金額を追うよりも現実的な判断材料になります。

 

入口業務(調査/計画/運用/データ整備)の発生ポイント

自治体業務が外部化されやすいのは、成果がまだ定義されていない初期段階か、日次運用で負荷が累積する後期段階です。具体的には、次のような工程が“入口”になりやすい領域です。

 

  • 実態把握・基礎調査・現状分析

  • 方針整理・計画策定・要件定義

  • 運用ルール策定・庁内説明資料の整備

  • データの収集・入力・検証・更新作業

これらは専門性が高い業務というより、「作業量が多いのに後回しにできない仕事」であり、外部支援の必要性が生じやすい点が特性として挙げられます。営業企画としては、この工程の存在を前提に提案設計を行うことで、現場との齟齬を避けることが可能になります。

 

自治体現場で起きている“案件化の一歩手前”

2026年度予算案が示す方向性は、自治体内部の業務量を確実に増加させますが、その大半はすぐに公募や委託事業として表面化するわけではありません。実際には、制度運用や計画策定、説明資料や内部調整といった下準備の工程に業務が蓄積し、外部化が検討され始める段階が先に訪れます。この“案件化の手前”の状態が見え始める地点こそ、営業設計の判断材料になります。


ここで起きているのは、案件の出現ではなく、業務の飽和です。自治体職員の稼働や専門性が追いつかず、「自力で進行できない部分を切り出す必要性」が点在することで、外部活用が現実的な選択肢として浮上してきます。

 

自治体DX人材・スキル不足と作業量の分離

多くの自治体では、政策の方向性や必要性は理解されていても、実務を担う職員のリソースが不足しがちです。とくに、デジタル化や制度改定に伴う作業は“追加業務”として発生するため、既存業務との両立が難しくなります。
この段階で発生しやすいのは、次のような負荷です。

 

  • 新制度・新要件に対する庁内説明と理解の調整

  • 運用開始までの必要資料作成(整備しないと前に進めない類)

  • 既存システムと新要件の橋渡しに必要な手続き確認

  • 現場対応の継続と新施策の準備が並行稼働する状態

これらは専門性以前に、量と手間がボトルネックになることで外部化が検討され始めます。

 

実態把握・計画策定フェーズで外部依存が増える背景

公募や委託の直前には、前段階として「現状が把握できない」「仕様に落とせない」という問題が発生します。ここで自治体は、計画策定や現状分析、整合性を確かめる作業を外部に依頼することが増え、案件ではないが“依頼”という形の外部活用が始まります。

 

  • 住民サービスや制度運用の現状が数値化できない

  • 庁内で合意形成できず、文書化が進まない

  • 何から着手すべきか判断材料が揃わない

この状態は、まだ公募に至っていませんが、外に頼らざるを得ない仕事が生まれているサインと捉えられます。

 

仕様書に落とし込む前の相談・検討段階という介入余地

自治体の外注は、仕様書が完成した瞬間から始まるわけではありません。むしろ、仕様書が作れない状態こそが最初の支援ポイントです。内部で整理しきれない工程が積み重なり、次のような相談が発生します。

 

  • 「仕様作りから手伝ってほしい」

  • 「計画や整理に時間がかかりすぎて前に進まない」

  • 「比較検討できる情報が揃っていない」

営業観点では、これらは“検討段階の相談”であり、案件予想とは異なる位置づけです。案件は存在しないが、仕事は確実に発生しているという空白地帯を把握することで、自治体とのコミュニケーションの基準線ができます。

 

営業企画担当者が準備すべきこと

2026年度予算案を踏まえて自治体向け営業を設計する際、最初に行うべきことは「提案内容を作る」ことではなく、提案可能な位置に立つための前工程を整えることです。


自治体向けの業務は、案件化より前に“業務が飽和している状態”が生じるため、制度名や予算額から逆算して営業を仕掛けるより、負荷が発生する工程に接続できる準備が精度に直結します。ここでは、その前提として必要な整理を最小限にまとめます。

 

予算案 → 政策 → 自治体課題 → 入口業務の因果整理

営業企画の段階で求められるのは、政策理解の深さではなく、因果関係を誤らない整理です。
予算案を起点に「どの業務が自治体内部で滞留し、どこから外部化が始まるか」を線で把握することで、個別施策や制度名に依存しない判断軸が作れます。

 

  • 予算が増える
    → 行政が取り組む領域が増える
    → 既存業務と並行し負荷が蓄積する
    手が足りない工程が点在する
    → 案件ではないが仕事が外に出る

この線が引けているかどうかが、提案の精度と会話の認識を左右します。

 

自社リソースの棚卸し

提案の強さは“できることの多さ”ではなく、入りやすい工程が明確かどうかで決まります。自治体側が求めるのは包括的な解決策ではなく、手が回らない部分を任せられる相手です。
そのため、棚卸しは機能やサービス単位ではなく、工程単位で整理する方が効果的です。

工程 入りやすい理由
実態把握・基礎調査 仕様書前の段階で必要性が発生しやすい
計画策定・整理作業 内部で手が空かず“作れない”状態が起きる
事務・運用設計支援 業務が長期化し外部化の判断がしやすい
データ収集・入力・更新作業 継続業務で稼働が恒常的に圧迫される

つまり「どの施策に入るか」ではなく、どの工程に入るかを先に決めるのが実務的です。

 

誤読を避けるための注意点

2026年度予算案を自治体ビジネスの材料として扱う際には、数字や重点領域から即座に案件化を想定しないことが重要です。予算は政策実行の前提であり、必ずしも公募や委託に直結するものではありません。

 

営業企画としては、制度がどこで実務に転換されるか/どの工程で業務が飽和するかを見極めることが先に来ます。この視点を欠くと、「予算があるから案件もある」という誤った期待値に基づいた行動になり、現場との温度差を生みやすくなります。

 

予算が増えた=案件が増える、とは限らない

予算の増加は行政負荷の増大を意味する場合があり、外部化が発生しやすくなる可能性はありますが、直接的な案件数の増加を保証するものではありません。特に社会保障やインフラ維持のような領域は、制度維持に予算が吸収され、公募や委託の形では表面化しにくいケースがあります。


営業としては予算額よりも、業務量が増える構造が存在するかどうかを判断軸とする方が現実的です。

 

過度な予想は現場との認識ズレにつながる

施策名や政策方針から「こういう案件が出るはずだ」と予想を先行させすぎると、実際の自治体の状況と齟齬が生じます。自治体では、制度理解・庁内説明・整理作業といった“助走”の工程に時間がかかることが多く、業務が発生しているのに案件として形になっていない状態が続くことも珍しくありません。


つまり、予算案は可能性の上限を示すものであって、案件化の時期や形式を保証するものではないという姿勢が不可欠です。

 

自治体の選定軸は“予算規模”より“作業量と人手”

営業判断において、自治体を規模や財政力で優先度付けする方法は直感的ですが、2026年度の流れを踏まえると、業務量が増える構造が明確な自治体の方が接続しやすい可能性があります。


予算規模が大きい自治体よりも、制度運用や調整負荷が集中している自治体の方が、外部化の判断に踏み切りやすいケースがあります。つまり、優先度は財政規模や注目施策ではなく、「どこで人手が先に尽きるか」で判断する方が現実に近づきます。

 

まとめ|予算案は“入口を探す地図”として読む

2026年度予算案は、自治体ビジネスを加速させる材料として捉えるより、営業設計の前提条件を整えるための地図として扱う方が現実的です。総額の拡大や重点領域の明確化は、案件の増加を約束するものではありませんが、自治体内部で業務量が膨らむ方向性や、外部活用が検討されやすい地点を読み取るには十分な手がかりになります。


予算案を読む目的は、機会の断定ではなく、「どこに負荷が集中するか」を把握して次の判断につなげることにあります。制度名ではなく工程、金額ではなく構造を見ることで、案件化の前段階から認識を揃えることができます。

 

概要理解こそが営業設計の第一歩になる

予算案の詳細を追う前に、まずは全体像と負荷が生じる領域の理解を揃えることで、営業活動の方向性がぶれにくくなります。重要なのは“知識量”よりも、何を判断軸に据えるかです。予算規模・分野別の金額・政策名称といった個別情報は、この基準線が整ってから取り扱う方が齟齬を避けられます。

 

次ステップ:分野別・規模別に解像度を上げる

本稿が担保したのは、あくまで入口となる前提整理です。次の段階としては、自治体の規模(政令市/中核市/一般市町村)や重点領域ごとに、負荷が発生しやすい工程を細分化していくことで、実務に寄った設計へ進めることができます。この段階で初めて、施策名・制度名・補助スキームなど具体的な要素を取り扱う意味が生まれます。

 

必要に応じて専門家に相談するという選択肢

社会保障・GX・防災・自治体DXといった重点領域では、自治体側の業務が“案件化の手前”で停滞しやすく、工程ごとに外部依存が生じる可能性があります。本稿はその前提整理までを扱いましたが、実務に落とし込む際は、領域別に入口業務(調査/計画/運用/データ整備)を具体化し、どの工程で関与できるかを言語化する段階が必要になります。


その際、社内だけで判断が難しい場合は、自治体向け業務を扱う専門家や自治体向け入札・業務委託に詳しい支援事業者に「工程レベルでの相談」を行うことも一つの手段です。案件名ではなく、負荷が発生している工程を基準に相談することで、提案の立脚点を揃えた状態で検討を進めることができます。

 

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