2024年11月22日に政府の新しい経済対策「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」が閣議決定されました。
参考:国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策(内閣府)
経済対策はその名の通り景気の押し上げを目的とする政策のまとめであり、今後の補正予算などにつながります。そのため、経済対策の内容を把握することは今後の予算措置などの政策の動向を予想することにも繋がります。
本記事では、石破政権による最初の経済対策について、その具体的な内容を確認するとともに、特に地方自治体への影響が見込まれる項目に焦点を当てて解説していきます。
経済対策とは
経済対策とは、冒頭でも記載したように、政府が景気の安定や成長を目指して実施する政策の総称です。景気低迷や物価高騰、災害などの経済的な課題に対応するため、具体的な施策をまとめたものです。安倍政権の「Go To トラベル」や、菅政権の「事業再構築補助金」、岸田政権の「4万円定額減税」など、インパクトの大きな政策も多いことが特徴です。
この経済対策は、補正予算と密接に結びついています。
補正予算は、年度当初に編成された予算(当初予算)では対応しきれない新たな課題や政策ニーズに対応するため、追加で編成される予算です。経済対策で示された施策を実行するための財源を確保する役割を果たします。そのため、経済対策は政策の方向性を示し、補正予算がその実行手段を担う仕組み、と言うこともできます。
2024年度の経済対策は2024年11月22日に閣議決定しました。
政府としては、この経済対策の財源となる補正予算について、2024年内の成立を目指しています。
経済対策の大きな柱
それでは今回の経済対策はどのような内容になっているのでしょうか?
その中身を紐解くと、
①賃金・所得の増加に向けた経済成長
②物価高への対応
③安心・安全の確保
という3つの重要課題に取り組むものとされています。
ここでは、それぞれの課題に対応する政策の柱について説明します。
第1の柱:全ての世代の現在・将来の賃金・所得を増やす 〜日本経済・地方経済の成長〜
直近の衆議院選挙でも注目された賃金・所得の引き上げを実現するため、企業や地域の成長などを後押しする施策が盛り込まれています。
例えば、以下のような政策を講じることが記載されています。
賃上げ環境の整備:
最低賃金の引上げ、価格転嫁の適正化、省力化・デジタル化投資の促進、人材投資の推進、中堅・中小企業の経営基盤強化などを通じて、全世代の賃金・所得の増加を目指します。
新たな地方創生施策(「地方創生2.0」)の展開:
「新しい地方経済・生活環境創生本部」を設置し、農林水産業の成長、地域の基幹産業の活性化、文化芸術・スポーツの振興、大阪・関西万博の推進などを通じて、地方経済の活性化を図ります。
「投資立国」及び「資産運用立国」の実現:
国内投資の拡大、スタートアップ支援、資産運用の促進を通じて、将来の賃金・所得の増加を目指します。
第2の柱:誰一人取り残されない成長型経済への移行に道筋をつける 〜物価高の克服〜
足元の物価高に対応するため、負担軽減策が講じられています。
以下のような政策が示されています。
足元の物価高に対するきめ細かい対応:
低所得者世帯への支援、地域の実情に応じた物価高対策、影響を受ける業種への支援を行います。
エネルギーコスト上昇に強い経済社会の実現:
省エネ・再エネの推進を通じて、エネルギーコスト上昇に耐性のある経済社会を構築します。
第3の柱:成長型経済への移行の礎を築く 〜国民の安心・安全の確保〜
石破総理 肝いりの政策の一つである「防災庁」の設置と並行した災害対策の推進や、外交・安全保障問題への対応など、国民の安心・安全を確保するための政策が盛り込まれています。
自然災害からの復旧・復興:防災・減災、国土強靱化の推進を通じて、自然災害への備えを強化します。
外交・安全保障環境の変化への対応:
防衛力の強化や安全保障環境の変化に対応する施策を推進します。
「誰一人取り残されない社会」の実現:
防犯対策の強化、こども・子育て支援、公教育の再生、女性・高齢者の活躍推進、困難に直面する者・世帯への支援などを通じて、包摂的な社会の実現を目指します。
これらが今回の経済対策の3つの柱です。
経済対策の本体には、それぞれの政策に関する具体的な内容が記載されています。
自社に関連している部分には目を通しておくと、来年度以降の予算措置や法令改正・税制改正などの動きを予想することができます。
参考:国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策(内閣府)
自治体に関連する注目するべきポイント
ここまで見てきたように、経済対策の範囲は広範に及びます。
そのため以降は、特に地方自治体に特に関連する部分に絞って詳しく見ていきます。
新たな地方創生施策「地方創生2.0」の概要
石破総理が特に力を入れている政策の一つである「地方創生」。
もともと2014年度に本格化し、地域住民や自治体が一体となった取り組みが進んできました。
しかし、東京一極集中の是正など、多くの課題が残っています。
そこで、これまでの成果と反省を踏まえ、「地方創生2.0」として新たな施策を展開することとしています。地方創生2.0では、ICT技術を活用して地域資源をデジタル化し、付加価値を高めることで、国内外の需要を取り込むこととしています。
こうした取り組みを全国に広げることで、地方が日本全体の成長を牽引する主役となることを目指しています。
「新しい地方経済・生活環境創生本部」における地方創生施策の推進
こうした地方の課題を解決するため、今後10年間にわたる地方創生の基本構想を策定する「新しい地方経済・生活環境創生本部」を設立しています。
経済対策としては「新しい地方経済・生活環境創生交付金」を創設し、地域資源を最大限活用した農林水産業や観光産業などの高付加価値化や、買物・医療・交通など、日常生活に不可欠なサービスの維持向上、ブロックチェーン、NFT、Web3.0など等の新技術を活用した付加価値創出の取り組みを進めることとしています。
地方創生の交付金は当初予算ベースから倍増することを目指しているため、今後様々な新規の施策が公開されることが期待されます。
さらに、スーパーシティやデジタル田園健康特区などの特区を活用し、地域課題を解決する先進的モデル地域を構築することとしています。こうした特区における調査・実証事業も、今後ますます増加することが見込まれるでしょう。
その他、農林水産業の成長や観光の高付加価値化、地域交通や物流の高度化などに関する政策にも触れられています。
経済政策から自治体予算の事前の予想を
今回は、石破政権が2024年11月22日に策定した経済政策の内容についてみてきました。地方創生を長年重要政策として掲げてきた石破総理らしく、自治体に関連する政策も目立つものとなっています。
今後策定される補正予算や、来年度の当初予算では、地方創生銘柄の新規予算の創設や、既存予算の拡充も予想されます。こうした予算の拡充は、自治体の入札案件の増加にもつながると考えられます。
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