指定管理者制度とは、公の施設の管理や運営などを民間事業者に依頼する制度です。実は、民間企業やNPO法人などが、公共の施設の運営にかかわることで、さまざまなメリットがあることをご存知でしょうか。
本記事では、指定管理者制度のメリットやデメリットに加え、指定管理者制度とはどのようなものなのか、ほかの制度との違いなどを解説します。指定管理制度を利用する流れもまとめているので、ぜひ最後までご覧ください。
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指定管理者制度のメリット
まずは、指定管理者制度のメリットを紹介していきます。
主なメリットは以下の2点です。
- 経営が安定する
- 地域貢献につながる
それぞれの特徴を細かく解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
メリット1.経営が安定する
指定管理者制度のメリットの一つ目は、経営が安定する点です。
民間企業にとっては、公共施設の運営という「信頼性の高いビジネス」を担当することで、安定した収益源を得られるようになります。結果として経営の安定につながり、費用対効果の向上が見込めます。
民間企業の信頼性を高める意味でも、指定管理者制度は有効です。
メリット2.地域貢献につながる
指定管理者制度のメリットの二つ目は、地域貢献につながる点です。
指定管理者制度を活用することで、民間企業が地元の人たちの雇用を増やせます。そのため、地域の活性化をサポートできる点もメリットです。
特定の地域で民間企業の認知度を高められれば、その後の新規事業やビジネスも展開しやすくなります。指定管理者制度を活用した実績は厳格な審査基準をクリアしたことのことの証明にもなり、信頼性が高くなるでしょう。
指定管理者制度のデメリット
指定管理者制度にはいくつかのメリットがありますが、一方でデメリットも存在します。あらかじめネガティブな側面を把握しておくことで、より効果的に指定管理者制度を活用できるようになります。
今回紹介するデメリットは、下記の2つです。
- 管理監督が必要
- サービス向上につながらない可能性もある
とくに管理監督の設置は地方公共団体の必須事項のため、きちんと押さえておくと安心です。
デメリット1.管理監督が必要
指定管理者制度のデメリットの一つ目は、管理監督が必要な点です。
民間企業は、地方公共団体から設置される管理監督のもとで業務を実施する必要があります。
管理監督は、民間企業の作成した提案書の内容どおりに、施設の管理や運営ができているかどうかを確認します。
公共団体と民間企業が契約することになった後、指定管理者としての業務がはじまるまでの間に、世の中の状況が変わる可能性もあるでしょう。経済の変化や風潮を踏まえ、状況に応じて柔軟に対応することが求められます。
デメリット2.サービス向上につながらない可能性もある
指定管理者制度のデメリットの二つ目は、サービス向上につながらない可能性もある点です。
民間企業は公共団体と協力しながら、サービスのさらなる発展や向上を目指しますが、中にはうまくいかないこともあるでしょう。場合によっては、以前よりもサービスの質が低下するおそれがあります。
民間事業者のノウハウを発揮しつつ、サービスの質を落とさないためには、指定管理者として担う業務の範囲を明確にする必要があります。前に依頼していた事業者と同程度、またはそれ以上の実力をもっていることが重要です。
指定管理者制度とは
指定管理者制度とは、地方自治体が公共施設の管理や運営を、民間事業者に委任するための制度です。
地方自治法が改正された後の、2003年に導入されました。主に公共施設が効率よく、かつ高品質なサービスを提供できるようにすることが目的とされています。
民間事業者の協力を得ることで、地方創生や地域活性化にもつなげたいという地方自治体の狙いもあるでしょう。
指定管理者としての業務を担当する期間は、一般的に3年から5年程度に設定されています。
関連記事:指定管理者制度の特徴
指定管理者制度の対象施設
指定管理者制度の対象施設は、下記の5つの条件をクリアしているかどうかが基準になります。
- 住民が利用するための施設
- 住民の福祉増進を目的とする施設
- 地方公共団体が設置している施設
- 地方自治体の住民が利用するための施設
- 物的施設(※バス、墓地、上下水道、駐車場なども可)
一方で、国や他の公共団体が設置する施設、市役所の庁舎など行政事務を担う施設は指定管理者制度の対象外です。これらは住民の利用を目的としないため、公の施設には含まないと定められています。
具体的に対象に含まれる施設を下記の表にまとめましたので、ぜひご覧ください。
対象施設 | 具体例 |
体育施設 | 体育館、運動場、陸上競技場、武道館、プール、キャンプ場 |
社会福祉施設 | 児童館、児童福祉施設、介護老人福祉施設、健康センター |
教育文化施設 | 図書館、博物館、美術館、公民館 |
その他 | 都市公園、動物園、植物園、観光案内所 |
指定管理者制度とその他の制度の違いは?
指定管理者制度とそれ以外の制度には、それぞれどのような特徴と違いがあるのでしょうか。ここでは、以下の3つの制度について、指定管理者制度との違いを解説します。
- PFIとの違い
- 事業委託・業務委託との違い
- 管理委託制度との違い
ほかの制度との違いを知ることで、指定管理者制度を適切な場面で活用できるようになるでしょう。
PFIとの違い
PFI事業は(Private Finance Initiative)を略したものを意味します。一般的に、民間企業のもつ資金や経営能力を活かし、公共施設の設備を整える制度です。
PFI事業と指定管理者制度の違いは、民間事業者が主体となるか、公共団体が主体となるかという部分にあります。PFI事業は、民間事業者が主体となり設備を設置するのが特徴です。一方で、指定管理者制度の場合は、あくまで公共団体が主体になります。
PFI事業では数年単位の契約になるケースが多く、民間企業が運営するサービスを公共団体が購入するというイメージです。基本的に民間企業が資金を投入して、施設の運営全般を担当します。
関連記事:PFIとは?
事業委託・業務委託との違い
事業委託や業務委託とは、契約にもとづいて第三者に業務を任せる協力の形態のことです。
事業委託や業務委託では、施設の所有権や事業の主体は地方公共団体が担います。業務の一部のみを、民間事業者に依頼するイメージです。一般的には、単年で契約する形が多いでしょう。
事業委託や業務委託は、指定管理者制度とは違い、依頼する民間事業者の範囲が制限されません。指定管理者制度では、受託できるのは法人や団体に限られますが、業務委託は個人でも受託できる点が異なります。
管理委託制度との違い
管理委託制度と指定管理者制度の違いは、営利活動を認めているかどうかにあります。一般的に、管理委託制度では民間事業者が、公共の施設を使い営利目的で活動することは認められていません。そのため、施設の利用者から直接料金を徴収することは不可能です。
一方、指定管理者制度では利用者からの料金の徴収が認められています。たとえばコミュニティセンターを利用する地域のスポーツ団体から、利用料を支払ってもらうことが可能です。
細かい違いについては、下記の表をご参照ください。
指定管理者制度 | 管理委託制度 | |
運営を任される民間事業者 | とくに制限なし (法人・個人可) |
公共団体に限られる |
関係性 | 指定、協定 | 委託契約 |
入札 | 対象 | 対象外 |
利用者からの料金徴収 | 可能 | 不可能 |
議会の議決 | 必要 | 不要 |
失敗しない指定管理制度の流れ
指定管理者制度を活用したいときに、具体的にどのような手順を踏めばよいのでしょうか。ここでは、失敗しない指定管理制度の流れを紹介します。下記の4つのステップに分けているため、スムーズに対応できるようになるでしょう。
- 公募
- 審査
- 指定運営・管理
- 評価・改善
それぞれのステップで意識すべきポイントをまとめているので、ぜひご覧ください。
関連記事:入札とは?入札の基本情報・入札参加の流れをわかりやすく解説
STEP1.公募
指定管理制度を活用するときは、まず公共団体から民間事業者の募集があるかどうかを確認しましょう。基本的に、ホームぺージなどから募集がかけられます。
募集要項から、どのような事業なのかをチェックしましょう。民間事業者を選定する基準や、提出書類などの詳細が記載されています。民間事業者は、これらの条件をクリアしているかどうかを確かめてから、応募するかどうかを決定するという流れです。
条件をクリアしている場合は、提出書類を準備します。
STEP2.審査
公共団体・自治体側は、応募があった民間事業者の中からどこに依頼するのか、審査を実施します。民間事業者から提案された内容をよく読み、経営能力や事業計画の信頼性など、さまざまな角度から総合的に評価してください。
応募された民間事業者の中から、もっとも適切だと思う企業や個人を指定管理者として選びます。
STEP3.指定運営・管理
公共団体・自治体から指定管理者として選ばれた場合、民間事業者は、提案した内容に沿って業務を遂行します。担当する範囲はさまざまですが、主に施設やサービスの運営や管理などを担うケースが多いでしょう。
指定管理者として活動する期間は、3年から5年程度が一般的です。指定管理者の負担を減らし、事業の継続や安定性を保つとともに、長期間固定されることによる問題やリスクに対応するために、期限が設けられています。
STEP4.評価・改善
公共団体・自治体側は、指定管理者に指名されたものが適切に業務を遂行しているかどうかを評価し、改善につなげることも大切です。
評価基準は、あらかじめ設定されたものを活用しましょう。具体的にはサービスの品質、利用者の満足度、運営の効率性などが評価基準としてあげられます。
指定の期間が終了した後は、次の公募に向けての準備を進めましょう。反省点を活かし、次回以降の運営体制の改善策を練っておくとスムーズです。
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