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官民連携とは?PFIとの違いやメリット、成功事例を解説

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人口減少や財政難の中、自治体だけで公共サービスを維持するのは困難になっています。そこで注目されているのが、行政と民間が協力して課題を解決する「官民連携(PPP)」です。

 

公共施設の整備や運営に民間の資金やノウハウを取り入れることで、効率的で持続的なサービス提供を実現できます。

 

本記事では、官民連携の仕組みやPFIとの違い、成功事例などを詳しく解説します。官民連携について理解を深めたい方は、ぜひ参考にしてください。

 

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この記事の目次

官民連携(PPP)とは|公共サービスに民間の力を活用する枠組み

官民連携(PPP:Public-Private Partnership)は、行政と民間が協力して公共サービスを提供するための仕組みです。特定の法律で定義された制度ではなく、さまざまな取り組みを包括する考え方として位置づけられます。

 

ここでは下記3つの観点から、官民連携の概要について解説します。

 

  • PPPとPFIの違い
  • 官民連携が注目される背景
  • 公民連携との違い

 

詳しく見ていきましょう。

PPPとPFIの違い

PPPは行政と民間が協力する取り組み全般を指し、法的に明確な定義はありません。一方で、PFIは「PFI法」にもとづいて実施される制度です。民間資金やノウハウを活用し、施設の整備から運営までを担います。

 

空港のコンセッション方式や、学校給食センターの建設・運営などがPFIの代表例です。なお、包括連携協定や指定管理者制度などは広義のPPPに含まれますが、PFIとは区別されます。

 

PPPは大きな枠組みであり、その代表的なスキームのひとつがPFIと理解するとわかりやすいでしょう。

 

参考:内閣府|PPP/PFIとは

官民連携が注目される背景

官民連携が必要とされる背景には、下記のような社会的課題があります。

 

  • 公共インフラの老朽化
  • 厳しい財政状況
  • 多様化する住民ニーズ

 

人口減少や税収減によって、自治体だけで公共サービスを維持するのは難しくなっているのが実情です。そこで、民間の資金や技術力を取り入れることで、効率的で持続的な運営が実現できるようになります。こうした仕組みを指すのが、官民連携(PPP)です。

 

たとえば、市民プールをPFI方式で建て替えるケースでは、建設から運営までを民間が一括で担います。そのため、費用の無駄を抑えつつ、効率的なサービス提供が期待できます。

 

官民連携は、単なるコスト削減策にとどまりません。民間の創意工夫を取り入れることで、新たな価値を生み出し、限られた財源の中でも住民サービスを高められる仕組みといえるでしょう。

公民連携との違い

官民連携と公民連携は似た言葉ですが、ニュアンスに違いがあります。官民連携の「民」は企業を指すことが多く、公民連携ではNPOや自治会など非営利主体を含む場合に使われます。

 

ただし、国の文書では営利・非営利を問わず、官民連携で統一されるのが一般的です。空港や水道事業など、大規模で高度な技術が求められる分野は、官民連携と呼ばれます。

 

企業ではなく、住民団体やNPOが主体となり、行政と一緒に公園の整備や清掃活動を行うようなケースは、公民連携と呼ばれることが多くあります。実務では厳密に区別されることは少ないため、文脈に応じて理解するのが現実的です。

官民連携の代表的な手法

官民連携(PPP)には複数の手法があり、プロジェクトの目的や規模、収益性に応じて選ばれます。正しく理解して比較することが、最適な方式を見極めるコツです。

 

代表的な方式・制度は、下記の5つです。

 

  • PFI方式|施設整備から運営までを一括で受託
  • コンセッション方式|公共施設の運営権を入札で取得
  • 指定管理者制度|公の施設を民間が管理運営
  • 包括連携協定|幅広い協力関係を築く枠組み
  • 業務委託|業務単位で発注する基本スキーム

 

詳しく解説します。

PFI方式|施設整備から運営までを一括で受託

PFI(Private Finance Initiative)は、PFI法にもとづき、民間事業者が自らの資金で施設を建設し、その後の維持管理や運営まで長期的に担う仕組みです。特徴は、下記のとおりです。

 

  • 行政は性能要件を示し、仕様は民間が決める
  • 設計から維持管理までを一体で実施する
  • 契約期間は10〜30年程度と長期に及ぶ
  • ライフサイクルコスト(LCC)を最適化できる

 

代表例として、学校給食センターや病院、文化複合施設の整備・運営があります。ただし、民間が資金調達を担うため、経営リスクも負う点には注意が必要です。

コンセッション方式|公共施設の運営権を入札で取得

コンセッション方式は、PFIの形態(公共施設等運営事業)のひとつで、施設の所有権は行政に残しつつ、運営権だけを民間に与える仕組みです。

 

  • 民間が利用料金を徴収し、その収入で運営や投資を行う
  • サービス改善や収益最大化のインセンティブが働きやすい
  • 需要リスクは民間が負担するため、自由度の高い経営ができる

 

対象施設は、空港や上下水道、美術館など、多岐にわたります。利用者から直接収益が得られるインフラ事業に適しており、自治体財政を圧迫せずにサービス改善を実現できる点が強みです。

指定管理者制度|公の施設を民間が管理運営

指定管理者制度は、地方自治法にもとづき、図書館や公園など公共施設の運営を民間に委ねる仕組みです。株式会社やNPO法人など、幅広い団体が対象です。

 

下記のような特徴があります。

 

  • 既存施設の運営に特化す
  • 契約期間は3〜5年程度が一般的で、安定性がある
  • 利用許可など、一部の権限を担える

 

民間の柔軟な発想を活かせる一方、コスト削減やサービス改善が求められるため、制約下で成果を出す難しさもあります。既存施設を効率的に運営したい自治体に適した制度です。

 

以下の記事では、指定管理者制度のメリット・デメリットについて詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

 

関連記事
指定管理者制度のメリット・デメリットは?その他の制度や流れも解説

包括連携協定|幅広い協力関係を築く枠組み

包括連携協定は、防災・子育て・まちづくりなど、複数分野で長期的に協力するための枠組みです。契約ではなく協定にもとづいているため、信頼関係の構築と情報共有が中心となっています。

 

特徴は、下記のとおりです。

 

  • 官民が対等に課題を共有できる
  • 将来の具体的事業に発展する可能性がある

 

ただし、無償や低予算で活動する場合もあり、収益性の確保が課題となるケースがあります。収益目的よりも、地域貢献や実績づくりを重視する事業者に向いた枠組みです。

 

包括連携協定について、以下の記事で詳しくまとめていますので、参考にしてみてください。

 

関連記事
包括連携協定とは?目的やメリット・デメリット、連携事例を解説

業務委託|業務単位で発注する基本スキーム

業務委託は、官民連携の中でもっとも基本的かつ広く使われているスキームです。庁舎清掃や窓口業務など、幅広い分野で導入されています。

 

特徴は、下記のとおりです。

 

  • 仕様書にもとづき、行政の指示通りに遂行する
  • 民間の創意工夫は限定的で、補完的役割が中心になる
  • 多くは単年度契約で、継続性が保証されにくい
  • 入札を通じて発注先が決まるため、公平性は担保される

 

もっとも取り組みやすい官民連携の入口として位置づけられる一方、契約更新の不確実性が民間にとっての課題となります。

官民連携のメリット

官民連携(PPP)は、行政と民間の双方にメリットをもたらす仕組みです。具体的なメリットは、下記のとおりです。

 

  • 財政負担を抑え、コストを最適化できる
  • 地方創生と地域活性化の促進につながる
  • 行政にない専門ノウハウを活用できる
  • 企業の収益確保・信用向上につながる

 

詳しく解説します。

財政負担を抑え、コストを最適化できる

官民連携では、施設整備の資金を民間が調達するため、自治体は単年度で巨額の投資をせずに済みます。支払いは事業期間に応じた分割方式であるため、財政負担を平準化できるのが特徴です。

 

また、設計から運営までを一括で担うことで、修繕費や光熱費まで考慮した効率的な計画が可能になります。従来必要だった工事ごとの仕様書や契約書の作成も不要になり、事務コストを削減できる点も魅力です。

地方創生と地域活性化の促進につながる

官民連携の大きなメリットのひとつが、地方創生と地域活性化を同時に実現できる点です。新たな施設やサービスを通じて、地域ににぎわいや雇用を生み出せます。

 

さらに、官民連携では民間事業者のノウハウを活かし、施設の魅力向上やイベントの企画など、多様な取り組みを進められます。こうした工夫によって交流人口を増やし、地域ブランドを高め、地域経済全体の活性化につなげられるのが魅力です。

 

ただし、事業を検討する際は、施設単体の採算性だけでなく、地域全体に及ぶ経済的・社会的効果を重視することが重要です。

行政にない専門ノウハウを活用できる

官民連携の大きな強みは、行政だけでは蓄積しにくい専門知識や、最新技術を直接取り入れられる点です。不動産開発やアリーナ運営など、高度なノウハウをもつ企業の力を活用することで、公共サービスの質を高められます。

 

行政は人事異動があり、特定分野に長く精通する体制を構築しにくいという課題があります。一方、民間は競争の中で効率化やサービス改善を追求しており、この違いを補完し合えるのが官民連携です。

 

住民サービスを抜本的に向上させるには行政だけでは限界があるため、民間を対等なパートナーとして迎える姿勢が重要です。

企業の収益確保・信用向上につながる

民間企業にとって、官民連携は安定した収益と社会的信用の獲得につながります。PFIのサービス購入型では、行政から安定的なキャッシュフローを得られるのが大きなメリットです。

 

また、自治体との連携実績は金融機関や他分野での事業展開において、強力なアピールポイントとなります。公共事業の受注にとどまらず、企業の成長戦略と社会課題解決を両立できる重要な機会といえるでしょう。

官民連携のデメリット

官民連携(PPP)は多くのメリットをもたらす一方、その特性ゆえに課題も存在します。具体的なデメリットは、下記の4つです。

 

  • 事業化までに時間がかかる
  • 自治体と民間でスピード感が異なる
  • 収益性と公共性の両立が難しい
  • 企業に高い責任と柔軟性が求められる

 

事前にデメリットを理解し、適切な対策を取ることで、プロジェクトの失敗を防ぎましょう。

事業化までに時間がかかる

官民連携、とくにPFIのような大規模な事業は、構想段階から事業者を決定し契約を結ぶまでに、一般的に1年から数年の長期間を要します。

 

税金を活用する公共事業である以上、公平性・透明性・公正性を確保する手続きが法律で定められているためです。具体的な手続きは、下記のとおりです。

 

  • 導入可能性調査:事業の妥当性を検証
  • サウンディング型市場調査:民間企業の意見を広く聞く
  • 事業内容を明記した募集要項(RFP)の作成・公表
  • 提案内容の審査・選定

 

この期間は単なる遅延ではなく、官民の認識をすりあわせ、成功確率を高めるための準備期間と捉えましょう。担当者は、あらかじめ長期的な視点でスケジュールを立て、関係者間で共有しておくことが不可欠です。

自治体と民間でスピード感が異なる

行政と民間では、意思決定の仕組みや組織文化が異なるため、事業を進めるスピード感に大きな差が生じます。このギャップが、遅延や不満の原因となるケースは少なくありません。

 

民間企業は、競争環境や株主責任を背景に、迅速な判断・行動を重視します。一方、行政は税金を扱う立場から、公平性や透明性を確保するために、下記のような手続きを踏まなければいけません。

 

  • 多くの部署との協議や議会承認
  • 住民への情報公開

 

トラブル発生時に民間が即座に解決策を提示しても、行政側の対応に数ヶ月を要する場合があります。

 

この課題を解消するには、事前のコミュニケーションが重要です。プロジェクト開始前から定期的な協議の場を設け、意思決定プロセス・権限の範囲を共有しておくことで、スムーズな事業推進につながります。

収益性と公共性の両立が難しい

民間は利益確保を、行政は公平なサービス提供を重視するため、両者のバランスが難しい場合があります。利益追求が過度になると、サービス低下や料金高騰のリスクがあります。

 

反対に、公共性を重視しすぎると民間のインセンティブが削がれてしまう可能性があるため、注意が必要です。契約段階で、サービス水準(SLA)や評価指標(KPI)を明確にし、定期的なモニタリングを行いましょう。

企業に高い責任と柔軟性が求められる

官民連携では、民間は単なる受託者ではなく、下記のリスクを長期的に負担する事業パートナーとなります。

 

  • 需要変動や金利
  • 法規制変更
  • 災害

 

想定が甘いと、需要不足などで赤字化する可能性があります。企業は、事前の市場調査やリスクシナリオ分析を徹底し、契約には再交渉条項などを盛り込むといったリスク管理を行いましょう。

官民連携の進め方|企画から入札までの実務ステップ

官民連携(PPP)は、アイデア段階から実際の事業化までに、複数のステップを踏む必要があります。具体的な進め方は、下記のとおりです。

 

  • STEP1.課題の把握と提案のきっかけづくり
  • STEP2.実証実験・モデル事業による仮説検証
  • STEP3.予算化と制度設計への反映
  • STEP4.公共調達・プロポーザルへの対応
  • STEP5.事業実施と実績の横展開

 

詳しく見ていきましょう。

STEP1.課題の把握と提案のきっかけづくり

官民連携は、行政が地域課題を明確にし、民間が解決策を提案することから始まります。行政は総合計画や住民アンケートなどを通じて課題を整理し、民間は自社の技術やノウハウを活かして提案します。

 

たとえば、老朽化した市民プールを健康施設として再生するといった提案です。こうした提案を的確に行うには、行政の計画や課題を正確に把握することが欠かせません。その際に有効なのが「GoSTEP」です。

 

GoSTEPを活用すれば、行政の総合計画や関連資料を一括で検索・収集できます。そのため、自治体の課題を迅速に把握し、効果的な提案戦略を立てられます。効率的な情報収集は、限られた営業リソースを有効活用するうえでも大きなメリットです。

 

また、提案のきっかけには下記のような場も活用されます。

 

  • 包括連携協定の締結
  • サウンディング型市場調査(意見交換会)

 

これらを通じて双方の認識を共有し、連携の第一歩を築けるでしょう。

 

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STEP2.実証実験・モデル事業による仮説検証

大規模なPFIを、いきなりはじめるのはリスクが高いため、まずは小規模な実証で有効性を確かめます。これによって、技術的な実現可能性や住民の反応を把握でき、想定外の課題も早めに浮き彫りになります。

 

実証の場で確認される点は、下記のとおりです。

 

  • 技術的な実現性
  • 住民の受容性
  • 想定外リスクの有無

 

こうした試行段階を経ることで、行政は失敗リスクを下げ、民間は提案力を裏付けられます。

STEP3.予算化と制度設計への反映

成果が確認されたアイデアは、翌年度以降の予算化を経て公式プロジェクトへと進みます。その際には「なぜ官民連携が有効なのか」をVFM(Value for Money:費用対効果)で数値化する必要があります。

 

重視されるのは、下記の点です。

 

  • 成果の定量的な裏付け
  • 財政課との連携体制
  • 議会承認に向けた説明力

 

これらを整えることで、関係者の合意形成や議会説明がスムーズに進みます。

STEP4.公共調達・プロポーザルへの対応

予算が承認されると、行政は募集要項(RFP)を公開し、入札やプロポーザルで事業者を選定します。公平性・透明性を確保するため、公開プロセスを経るのが原則です。

 

民間が留意すべきポイントは、下記のとおりです。

 

  • RFPの正確な理解
  • 自社の強みを活かした提案
  • 公平性・透明性の確保

 

単なる価格競争ではなく、課題解決力や企画力を競う姿勢が求められます。一方で、入札・公募情報は自治体の部署ごとに公開されるため、民間企業が情報を見落とすリスクも少なくありません。情報収集や共有を一元化する仕組みを導入することで、対応の遅れを防げるでしょう。

 

この点で有効なのが「NJSS(入札情報速報サービス)」です。NJSSを利用すれば、全国の公募情報を一括で確認できます。さらに、自社の条件に合った案件が新着メールで届くため、見逃しを防ぎ、業務の効率化にも役立ちます。

 

窓口整備とあわせてNJSSを導入すれば、官民連携における入札対応を大幅にスピードアップできるでしょう。サービスは無料で試せるため、利用を検討してみてください。

 

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STEP5.事業実施と実績の横展開

契約後は、官民が対等なパートナーとして協働し、事業を進めます。KPIやSLAにもとづいてモニタリングを行い、サービス品質を維持することが重要です。

 

実務上のポイントは、下記のとおりです。

 

  • KPI・SLAにもとづく進捗管理
  • 定例協議による課題解決
  • 成果の横展開と発信

 

こうした積み重ねが新規プロジェクトの創出や他地域への展開につながり、官民連携の市場全体を活性化させます。

官民連携の成功事例

官民連携(PPP)は、単なる理論ではなく、全国各地で実際に成果を上げている取り組みがあります。ここでは、代表的な事例を2つ紹介します。

 

  • 事例1.民間まちづくり
  • 事例2.水道事業の維持管理運営

 

官民連携がどのように効果を発揮しているのかを見ていきましょう。

事例1.民間まちづくり

民間まちづくりは、空き地や公共空間を民間主体で活用し、地域のにぎわいや交流を生み出す取り組みです。都市利便増進協定などの枠組みを通じて、下記のような施策が進められています。

 

  • 広場や駐輪場の整備
  • 街路樹や街灯の設置
  • 通路の舗装改善

 

さらに、オープンカフェやイベントといった社会実験を組みあわせているのも特徴です。住民が集まる交流拠点を生み出し、地域全体の快適性や利便性を高めています。

 

この事例は、小規模な整備からはじめられるため取り組みやすく、補助制度の活用で挑戦のハードルも下がります。さらに、先進事例をモデルに横展開できる点も大きな魅力です。

 

こうしたスモールスタートではじめ、地域活性化へと発展させる仕組みは、これから官民連携に挑戦する自治体や企業にとって参考となる実践例といえるでしょう。

 

参考:国土交通省|民間まちづくり活動促進・普及啓発事業

事例2.水道事業の維持管理運営

この事例は、広島県の水道事業が抱えていた課題に対応するための取り組みです。背景には、下記のような深刻な問題がありました。

 

  • 人口減少や節水機器の普及による水需要の減少
  • 老朽化施設の増加
  • 技術職員の大量退職

 

県は民間企業と共同出資で「水みらい広島」を設立し、公設民営型の運営方式を導入しました。所有権や料金決定権は県が保持しながら、運営は民間主体で担うことで、民間の経営ノウハウ・IT技術を活かした効率化を進めています。また、県職員を派遣する仕組みによって、技術継承と住民の安心感の確保も図られています。

 

さらに、市町との広域的な連携を進めることで、コスト削減や人材育成にも効果を発揮しました。民間の柔軟性と行政の公共性を両立させた取り組みは、インフラ事業の持続可能性を高めるための新たな官民連携モデルとして参考になる事例です。

 

参考:水ing株式会社|官民連携による持続可能な水道事業について

官民連携を成功させるための5つのポイント

ここでは、官民連携(PPP)プロジェクトを成功に導くために、行政と民間企業双方が押さえておくべき5つのポイントを解説します。

 

  • 役割と責任分担を明確にする
  • 担当窓口を決めてやりとりを一元化する
  • 情報公開を徹底する
  • 自治体の予算サイクルにあわせて動く
  • 導入を段階化してスムーズに定着させる

 

それぞれ解説します。

役割と責任分担を明確にする

プロジェクト初期の段階で、官民双方の役割と責任を文書化しておくことは不可欠です。曖昧なまま進めると、問題発生時に対応が遅れたり、責任の押しつけあいに発展したりするリスクがあります。

 

とくに、重要なのは下記の点です。

 

  • 需要変動・金利変動・法改正などのリスクはもっとも管理に適した主体が負担する
  • タスクごとに、実行責任者と説明責任者を明確にする
  • 想定される事態を具体的に文書化する

 

これらを徹底することが、トラブル防止と長期的な信頼関係づくりにつながります。

担当窓口を決めてやりとりを一元化する

官民連携をスムーズに進めるには、専任の窓口を設けてやりとりを一元化することが欠かせません。窓口が分散していると、情報の漏れや部署間でのたらい回しが発生しやすく、結果として意思決定が遅れてしまいます。

 

具体的なポイントは、下記のとおりです。

 

  • 自治体は専門部署や専任担当者を設置する
  • 民間企業側も指名担当者を通じて連絡を統一する
  • 窓口担当者同士が直接対話する場を定期的に設ける

 

このように窓口を一本化し、担当者同士の対話を習慣化することで、情報共有のスピードと正確さが高まります。その結果、事業全体もスムーズに進行しやすくなるでしょう。

情報公開を徹底する

官民連携を進める上で欠かせないのが、住民や議会に対する徹底した情報公開です。計画や成果が不透明なままでは、「企業との癒着ではないか」「サービスが悪化するのでは」といった不信感を招きかねません。

 

こうした懸念を防ぐには、守秘が必要な企業ノウハウを除き、事業内容や進捗をわかりやすく公開する必要があります。具体的な取り組み方法は、下記のとおりです。

 

  • サウンディング調査の結果を概要として公開する
  • KPI達成状況や利用者満足度を定期的に報告する
  • ウェブサイト等で誰でも確認できるようにする

 

情報公開は単なる義務ではなく、事業を理解し支援してくれる味方を増やすための広報活動です。積極的に発信することで批判を未然に防ぎやすくなるため、長期的な安定運営の基盤を築けるでしょう。

自治体の予算サイクルにあわせて動く

民間企業が行政に提案を行う際は、自治体の予算サイクルを意識しましょう。優れた提案でも、予算要求や議会審議のタイミングを逃せば、実現が1年以上先送りになることがあります。

 

自治体の事業は原則として前年に計画されており、議会で承認された予算にもとづき進められるため、タイミングが成果を左右します。多くの自治体のスケジュールは、下記のとおりです。

 

  • 4〜6月:次年度方針を把握し、提案準備をはじめる
  • 7〜9月:翌年度の予算要求に向けて提案を強化する
  • 10〜12月:査定や補正予算に対応し、提案を後押しする
  • 1〜3月:予算確定後の案件対応と次年度準備を行う

 

春〜初夏に実証実験や協議を行い、その成果を夏までにまとめて予算要求資料に反映させることが重要です。民間担当者は自社の会計年度だけでなく、自治体の財務カレンダーを把握して行動することで、アイデアをスムーズに事業化できます。

 

以下の記事では、自治体営業について詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。

 

関連記事
自治体営業とは?目的・年間スケジュール・戦略の立て方をわかりやすく解説

導入を段階化してスムーズに定着させる

官民連携を進める際は、いきなり大規模なPFIやコンセッションを目指すことはおすすめしません。小規模な取り組みからはじめる、段階的なアプローチが効果的です。

 

経験が少ない自治体にとって、はじめから大規模案件に挑むのは心理的にも実務的にも負担が大きいでしょう。そのため、まずは小さな成功体験を積み重ねていきましょう。

 

導入の流れは、下記のとおりです。

 

  • 第1段階:包括連携協定を結び、定期的な対話で課題を共有
  • 第2段階:小規模なモデル事業や指定管理者制度で具体的に連携
  • 第3段階:成果と信頼を基に、大規模なPFIやコンセッションへ発展

 

このステップアップ方式によって、職員のスキルや自信が高まり、議会や住民にも成果を示しやすくなります。とくに経験の少ない自治体や新規参入企業にとって、着実に信頼関係を築きながら大きな事業へ進むための賢明な戦略です。

まとめ:官民連携を正しく理解し、実践につなげよう

官民連携(PPP)は、地域課題や事業の目的に応じて、最適な形を選べる戦略的な手法です。PFIやコンセッションなど、それぞれの特徴やリスク分担を理解し、状況に応じて適切に使い分けましょう。

 

とくに導入経験が少ない段階では、包括連携協定や小規模な実証実験からはじめるスモールスタートが効果的です。小さな成功体験を積み重ねることで、信頼関係やノウハウが蓄積され、将来的に大規模プロジェクトへ発展させやすくなります。

 

また、官民連携を成功させるには、計画段階からの情報収集も欠かせません。そこで役立つのが、「GoSTEP」です。予算情報や行政計画を効率的に把握でき、将来の案件に向けた準備をスムーズに進められます。公開資料を一括で検索できるのも、大きな魅力です。

 

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