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公共工事とは?民間工事との違い・種類・入札の流れをわかりやすく解説

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「公共工事に参入したいけれど、民間工事との違いや入札の仕組みがわからない」と困っている企業の方もいるのではないでしょうか。

 

公共工事は、国や自治体が発注するため、支払いの確実性が高く、安定した受注が見込める魅力的な市場です。一方で、入札資格や経営事項審査(経審)など、民間工事とは大きく異なる点もあり、理解を深めておく必要があります。

 

本記事では、公共工事の概要や民間工事との違い、入札の流れまでを解説します。はじめて公共工事に挑戦する企業でも、必要な準備や進め方がスムーズに理解できるようになるでしょう。

 

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公共工事とは

公共工事とは、国・都道府県・市町村などの公的機関が、税金を中心とした公的資金を財源として発注する建設工事を指します。道路や橋、学校といった社会インフラを整備・維持することが主な目的です。

 

公共工事には、下記のような特徴があります。

 

  • 土木・建築・設備・上下水道など、幅広い工種が存在する
  • 法令にもとづく厳格な手続きが必要になる
  • 受注者は原則競争入札で決定される(随意契約・指名競争が用いられる場合もある)

 

このように、公共工事はルールや仕組みが民間工事とは大きく異なります。専門的な知識と正確な手続き対応が求められる分野です。

 

公共工事と民間工事の違い

公共工事と民間工事は、基盤となる仕組みが大きく異なります。下記の項目ごとにそれぞれの違いを解説します。

 

  • 発注者
  • 工事の目的
  • 資金調達の構造
  • 入札方式
  • 品質管理や検査基準
  • 支払い条件

 

詳しく見ていきましょう。

発注者

公共工事と民間工事の決定的な違いは、発注者が「公的機関」か「民間事業者」かです。

 

公共工事の発注者は、国や地方自治体などの公的機関です。税金を使うため、透明性・公平性を担保する厳格な手続きが必須となります。

 

一方、民間工事の発注者は企業や個人施主であり、過去の実績や信頼関係で決まるケースも多く、意思決定も柔軟です。

 

そのため公共工事では、「誰と関係性があるか」よりも制度理解と正確な手続き遂行が受注のポイントになります。どの発注者をターゲットにするかで必要な準備が変わる点も、公共工事ならではの特徴です。

工事の目的

公共工事と民間工事では、工事が行われる目的そのものが大きく異なります。

 

公共工事の目的は、社会全体の安全性・利便性を高めるためのインフラ整備です。そのため、次のような点が最優先されます。

 

  • 長期利用を前提とした高い耐久性
  • 安全性を確保するための品質
  • 公的機関が定める規格や基準の遵守

 

一方、民間工事の目的は、発注者の利益向上や生活の快適性の実現であり、デザイン性・収益性などの付加価値が重視されます。

 

つまり、公共工事では「規格どおり確実につくる力」が必要であり、民間工事では「施主のニーズに応える提案力」が評価されるという点に違いがあるのです。

資金調達の構造

公共工事と民間工事では、「資金の出どころ」と「支払いの確実性」が大きく異なります。

 

公共工事の財源は国や自治体の予算、つまり国民の税金です。予算は議会の承認を経て確保されるため、支払いの確実性が非常に高く、代金の未回収リスクはほとんどありません。企業側から見ると、資金繰りが安定しやすい点がメリットです。

 

一方、民間工事の資金は企業の自己資金や銀行融資が中心で、発注者の経営状況に左右されやすい特徴があります。業績が悪化すれば支払い遅延や不払いにつながる可能性があるため、受注前の「与信管理(相手企業の財務状況の確認)」が欠かせません。

入札方式

公共工事は税金を使うため、公平性・透明性を確保する目的から、法律で「競争入札が原則」と定められています。一方、民間工事は発注者が自由に発注先を選べるため、入札の仕組み自体が異なります。

 

公共工事・民間工事の主な方式は下記のとおりです。

 

公共工事 民間工事
・一般競争入札

・指名競争入札

・随意契約

・見積合わせ

・担当者との交渉による決定

 

公共工事では、公告の確認や仕様書の理解、ミスのない書類提出といった「決められた手順を確実に遂行する力」が受注の前提となります。民間工事で重視される関係性や紹介が、公共工事では基本的に通用しません。

 

以下の記事では、入札方式ごとの特徴や仕組みを詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

 

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品質管理や検査基準

公共工事の品質管理は、民間工事と比べて圧倒的に厳格です。道路・橋・学校などの社会インフラを長期にわたって安全に利用できるようにするため、「公共建築工事標準仕様書」にもとづく全国共通の基準で施工することが求められます。

 

下記のように、品質を客観的に証明するための工程が詳細に定められている点が特徴です。

 

  • 仕様書どおりの材料・工法の使用
  • 中間・完成検査の実施
  • 材料証明や品質証明書の提出
  • 工事写真・施工管理記録の作成

 

一方、民間工事は契約内容にもとづいて進むため、変更や調整が柔軟に行われるケースもあり、施主の希望が反映されやすい点が特徴です。

 

公共工事の厳格な品質基準に対応できる企業は、結果として高い信頼と競争力を獲得できます。

支払い条件

公共工事は、民間工事と比べて資金面のリスクが小さく、安定した資金繰りを実現しやすい点が特徴です。

 

発注者が国・自治体などの公的機関であるため、代金未回収リスクが極めて低く、「公共工事標準請負契約約款」に基づく明確な支払いルールが適用されます。

 

とくに重要なのが、前払金制度と中間前金払制度です。契約額の最大4割を着工前に受け取れる「前払金制度」に加え、工期途中でさらに最大2割の中間前払金を受け取れます。これにより、資材費や下請への支払いを借入に頼らず賄え、キャッシュフローの安定が期待できます。

 

一方、民間工事では、一括払いとなるケースが多いことから。発注者の資金状況によって支払い遅延が起こりやすく、資金繰りが不安定になりやすい傾向があります。

公共工事の種類

公共工事には、社会インフラを支えるために必要なさまざまな工事があります。代表的な工事の種類は、下記のとおりです。

 

  • 道路工事
  • 橋梁工事
  • 河川工事
  • 港湾工事
  • 公共建築物工事
  • 上下水道工事
  • 災害復旧工事

 

それぞれの特徴を詳しく解説します。

道路工事

道路工事は、公共工事の中でももっとも身近で、交通や物流を支える基盤として重要な位置を占める分野です。

 

高速道路・国道といった広域ネットワークの整備から、市町村道の舗装補修まで幅広い工事が含まれます。年間を通じ、安定した発注があるのが特徴です。

 

主な工事内容は、下記のとおりです。

 

  • 新設道路のための土工(どこう)・舗装工事
  • 道路拡幅工事
  • 橋面舗装の打ち替え
  • ガードレール・標識類の設置

 

近年は老朽化対策として維持補修の重要性が高まっており、新しい舗装技術を活用できる企業が高く評価される傾向があります。

橋梁工事

橋梁工事は、道路や鉄道をつなぐ橋を新しくつくったり、古くなった橋を補修・補強したりする工事です。安全性が最優先となるため、高度な施工技術と綿密な管理が求められる工種です。

 

近年は、老朽化した橋を長く使い続けるための維持管理が中心となり、下記のような工事が増えています。

 

  • 耐震補強:地震に耐える強度を確保する
  • 塩害対策:海岸付近で劣化しやすい部分を補修する
  • 床版取替:橋の床にあたる部分を新品に交換する
  • 塗装更新:サビや劣化を防ぐための塗り直し

 

日本では高度経済成長期に整備された橋が一斉に老朽化しており、補修・補強の需要は今後も長期的に続く見込みです。そのため、安定した工事量が期待できる分野として注目されています。

河川工事

河川工事は、洪水・高潮・土石流などの自然災害から地域を守るために行われる工事です。近年は、気候変動の影響で豪雨災害が増えているため、堤防の強化や河道の拡幅・掘削など、河川インフラの安全性向上がこれまで以上に求められています。

 

主な工事内容は、下記のとおりです。

 

  • 堤防の新設・嵩上げ
  • 河道掘削による流下能力の向上
  • 護岸の整備・補修
  • 砂防堰堤の設置

 

一級河川は国土交通省、二級河川は都道府県が管理するなど、管理者が明確にわかれている点も特徴です。地域防災に直結するため、継続的な発注が見込まれる安定性の高い工種として位置づけられています。

港湾工事

港湾工事は、港湾の安全性・利便性を維持・向上させるために行われる海洋土木分野の工事です。国際物流の拠点強化や、津波・高潮といった自然災害に備える防災機能の整備など、国の経済活動と安全保障を支える重要な役割を担っています。

 

施工の大半が海上で行われるため、海象条件の読み取りや大型作業船の運用など、陸上とは異なる高度な技術が求められる点が特徴です。

 

代表的な工事は、下記のとおりです。

 

  • 岸壁・防波堤の築造・改良
  • 航路を維持するための浚渫(しゅんせつ)工事
  • 埋立地の造成
  • 海上空港の滑走路整備

 

参入ハードルは高いものの、専門性を備えた企業ほど強い競争力を発揮できる分野です。

公共建築物工事

公共建築物工事は、庁舎や学校、病院など、住民の生活に不可欠な公共施設の新築や改修を行う工事を指します。老朽化が進む建物が多いため、耐震補強や設備更新などの需要が継続的に発生し、安定した工事量が確保されている点が特徴です。

 

具体的な工事内容は下記のとおりです。

 

  • 新築工事・耐震補強
  • 空調・電気設備の更新
  • バリアフリー化
  • 外壁・屋上の防水改修

 

国から市町村まで発注者の幅が広く案件数が多いため、比較的参入しやすい工種でもあります。

上下水道工事

上下水道工事は、生活や産業に欠かせない水の供給・排水インフラを整備・維持する工事です。

 

高度経済成長期に敷設された水道管が全国で老朽化しており、更新需要は今後も増え続けると見込まれています。そのため、長期的に安定した市場として位置づけられる分野です。

 

主な工事内容は、下記のとおりです。

 

  • 上水道・下水道管の布設替え
  • 下水処理場の新設・改修
  • マンホールの補修

 

多くが道路の掘削を伴うため、現場管理だけでなく、騒音対策や交通規制、住民への説明といった周辺環境への配慮も重要になります。

災害復旧工事

災害復旧工事は、地震・台風・豪雨などで被害にあった道路・堤防・公共施設を、できる限り早く元の状態に戻すための工事です。地域の安全や生活再建に直結するため、公共工事の中でも社会性が高く、迅速かつ正確な施工が求められます。

 

具体的な工事は、下記のとおりです。

 

  • 崩落した道路の復旧
  • 堤防の修繕
  • 土砂崩れ現場の整備
  • 被災施設の応急処置や本復旧

 

緊急性が高い案件では、一般競争入札ではなく指名競争入札や随意契約が選ばれることもあります。

 

公共工事を受注する4つのメリット

公共工事は、安定した発注量と厳格な制度に支えられた信頼性の高さから、企業にとって多くのメリットがあります。

 

具体的なメリットは、下記のとおりです。

 

  • 安定した受注によって持続的に収益を確保できる
  • 公共性の高い案件の受注実績が信頼につながる
  • 技術力の向上により競争力を高められる
  • 人材育成の機会を得られる

 

それぞれ解説します。

安定した受注によって持続的に収益を確保できる

公共工事の大きな魅力は、経営と資金繰りの両面で高い安定性を得られる点にあります。発注者は国や自治体で、財源は議会で承認された税金のため、民間工事で起こりがちな支払い遅延や未回収リスクがほぼありません。

 

さらに、契約額の最大4割を着工前に受け取れる「前払金制度」や、工期途中に追加で受け取れる「中間前金払制度(最大2割)」も利用可能です。資材購入や協力会社への支払いを借入に頼らずに行えるため、キャッシュフローが安定しやすく、資金面での負担を大きく軽減できます。

 

景気に左右されにくく、一定量の工事が継続して発注される点もメリットで、長期的な経営計画を立てやすくなるのが公共工事の強みです。

公共性の高い案件の受注実績が信頼につながる

公共工事の受注実績は、企業の信用力を大きく押し上げます。参加するためには、下記のように、複数の厳格な審査をクリアする必要があります。

 

 

これらを満たしたうえで競争入札を通過すること自体が、技術力や財務の健全性、法令遵守に対する意識が公的機関に認められた証拠となるでしょう。

 

また、「市役所庁舎の建設」「国道橋梁の補修」といった公共性の高い実績は、金融機関からの評価や人材採用にもプラスに働き、民間工事の営業でも大きなアピール材料になります。結果として、企業全体の信用力を底上げする効果が期待できます。

技術力の向上により競争力を高められる

公共工事では、大規模インフラや複合施設など、民間工事では経験しにくい高難度の案件に携わる機会があります。厳密な仕様書や検査基準に対応する過程で、自然と技術力が鍛えられ、企業全体の施工品質が底上げされる点がメリットです。

 

さらに近年は、BIM/CIMICT施工(i-Construction)、ドローン測量など先端技術の活用が増えています。これらの取り組みは、総合評価方式の「技術提案」にも好影響を与えるでしょう。

 

公共工事で蓄積したノウハウは、民間工事での提案力・施工品質の差別化にも直結し、長期的な競争力の源泉となる点もメリットのひとつです。

 

人材育成の機会を得られる

公共工事の現場は、技術者が実践的なスキルを身につける絶好の場です。現場代理人や主任技術者は、下記のような幅広い業務を一貫して担当します。

 

  • 発注者との協議・打ち合わせ
  • 品質・安全管理
  • 施工計画書や各種提出書類の作成
  • 工期・予算・工程の管理
  • 現場全体のマネジメント

 

1件の公共工事を最初から最後まで任される経験は、民間工事の複数案件をこなすのに匹敵するほどの学びがあるでしょう。

 

こうした現場経験を通じて、マネジメント能力や法令遵守の意識が自然と身につき、企業の重要な戦力となる人材の成長を期待できます。

公共工事を受注する際に気をつけたい4つのデメリット

公共工事には大きなメリットがある一方で、参入前に知っておくべき注意点もあります。企業が押さえておくべき4つのデメリットは、下記のとおりです。

 

  • 受注するまでの手続きや書類作成などに手間がかかる
  • 価格競争により利益率が下がりやすい
  • 品質管理や検査基準が厳しく現場に負担がかかる
  • 支払いの遅延によって資金繰りが悪化するケースがある

 

詳しく見ていきましょう。

受注するまでの手続きや書類作成などに手間がかかる

公共工事でまず課題となるのが、手続きの多さと書類作成の負担です。入札資格の取得から施工中の品質管理、完成後の電子納品まで、すべてが法律に基づく厳密な手順で進められます。

 

必要となる書類の例は、下記のとおりです。

 

  • 施工体制台帳
  • 経営事項審査(経審)
  • 入札参加資格申請
  • 技術提案書
  • 品質管理・施工管理記録

 

これらを正確に作成・管理する体制が整っていないと、事務負担が増大しやすい点がデメリットです。

 

ただし、手続きが複雑であることは参入障壁として機能する側面もあります。ITツールによる標準化・効率化を進められれば、むしろ競争力向上につながるでしょう。

価格競争により利益率が下がりやすい

公共工事は入札の透明性が重視されるため、多くの企業が参加し、価格競争が激しくなる傾向があります。とくに一般競争入札では、予定価格や調査基準価格に近いギリギリの価格で落札されるケースが多く、利益率が下がりやすい構造です。

 

また、過度な値下げによる低入札を防ぐため、近年は原価を著しく下回る契約を制限する制度整備が進められています。受注者側にも、適正な契約を求める流れが強まっているのが実情です。

 

安定した利益を確保するには、精度の高い積算能力や受注後のコスト管理・生産性向上の取り組みが不可欠となります。

品質管理や検査基準が厳しく現場に負担がかかる

公共工事は、道路・橋・学校といった社会インフラの安全性を守るため、「公共建築工事標準仕様書」にもとづく全国共通の品質基準が定められています。そのため、民間工事よりも品質管理の要求レベルが高く、現場の負担が大きくなりやすい点がデメリットです。

 

工事の各段階では中間検査・完成検査が実施され、基準に達しない場合は即時のやり直しが求められます。また、工事写真や品質管理記録、材料証明など、膨大な書類を正確に作成・保存する義務もあるのが特徴です。

 

近年は遠隔臨場(オンライン検査)の導入が進んでおり、一部では負担軽減も見られます。しかし、依然として高い品質管理体制を維持し続けることが求められるため、企業には高い対応力が必要です。

支払いの遅延によって資金繰りが悪化するケースがある

公共工事は前払金制度があり、未回収リスクもほぼゼロとされています。しかし、支払いの前提となる「完成検査」の合格が遅れた場合、その分だけ入金時期も後ろ倒しになる点には注意が必要です。

 

遅延の原因になりやすいのは、下記のような書類不備による検査の遅延です。

 

  • 工事写真の撮影漏れ
  • 施工体制台帳の不整合
  • 電子納品データの規格違反

 

これらは支払い拒否ではなく、あくまで「手続き上のタイムラグ」が発生しているだけです。しかし、結果として資金繰りに影響することがあります。

 

そのため、日頃から書類管理や検査準備を徹底し、検査をスムーズに通過できる体制を整えておくことが有効な対策です。

公共工事の入札から受注までのステップ・流れ

公共工事を受注するためには、民間工事とは異なる厳格な手続きと準備が求められます。入札から受注までのステップは、下記のとおりです。

 

  1. 入札資格を確認し、参加資格申請を行う
  2. 入札情報を収集し、参加に向けた準備を進める
  3. 入札者の決定後、契約を締結する
  4. 受注した公共工事に着工する

 

それぞれ詳しく解説していきます。

 

公共工事の入札の流れは、以下の記事でも詳しく解説していますので、あわせて参考にしてみてください。

 

【関連記事】

公共工事の入札の流れ|中小企業が落札するためのコツを解説

1.入札資格を確認し、参加資格申請を行う

公共工事に参加するには、まず「入札に参加できる企業」であることを証明する基礎資格を整える必要があります。これは民間工事にはない、公共工事特有のプロセスです。

 

取得すべき資格は次の3段階にわかれています。

 

  • 建設業許可の取得
  • 経営事項審査(経審)の受審
  • 発注機関ごとの入札参加資格申請

 

これらは企業の経営状況・技術力・実績を客観的に評価する仕組みで、公共工事を受注するための信用の土台となります。

 

とくに経審で算出される「P点」は格付けや入札への参加可否に直結するため、技術者の資格取得支援や経営改善によって高得点を目指しましょう。

 

以下の記事では、公共工事の入札について詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

 

【関連記事】

公共工事の入札とは?種類や専門用語、参加するための資格を徹底解説

2.入札情報を収集し、参加に向けた準備を進める

必要な資格が整ったら、次は「どの案件に入札するか」を選ぶ段階に進みます。公共工事は書類不備や提出遅れが一発失格につながるため、情報収集と事前準備が重要です。

 

案件情報は、下記のサイトで確認できます。

 

  • 調達ポータル
  • 自治体ごとの入札情報サイト

 

入札説明書や設計図書を入手したら、積算基準にもとづいて原価を算出し、入札価格を決定します。そのうえで、入札書・内訳明細書など必要書類を電子入札システム(ICカード必須)で提出しましょう。

 

この流れで負担が大きいのが「案件の収集」と「案件選び」です。自治体ごとのサイトを個別に確認するのは手間がかかり、見落としリスクも高まります。

 

そこで役立つのが「NJSS(入札情報速報サービス)」です。全国の入札情報を横断的に検索できるため、自治体ごとのサイト確認が不要になり、自社に合った案件を効率的に発見できます。情報収集の効率化と精度向上のために、NJSSを併用することで入札戦略の土台がより強固になります。

 

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3.入札者の決定後、契約を締結する

開札でもっとも有利と判断された企業が落札者となり、続いて発注者と工事請負契約を締結します。「公共工事標準請負契約約款」にもとづいて行われ、下記のような項目が細かく規定されているのが特徴です。

 

  • 代金の支払い方法
  • 工期変更の取り扱い
  • 一括下請負の禁止

 

契約締結時には、銀行保証・履行保証保険などの契約保証を求められることもあります。

 

公共工事は契約内容の変更自由度が低いため、事前に仕様書や設計図書を読み込み、求められる責任範囲を正確に把握しておきましょう。

4.受注した公共工事に着工する

契約が完了すると、いよいよ着工準備に入ります。この段階で重要なのが前払金制度です。

 

契約額の最大4割を着工前に受け取れます。さらに工期途中で利用できる中間前払金とあわせれば、最大6割を前倒しで確保できます。

 

資材購入や下請への支払いに充てられるため、資金繰りが大きく改善される仕組みです。着工までに行う準備は、下記のとおりです。

 

  • 着工届の提出
  • 工程表の作成
  • 現場事務所の設置
  • 工事看板の掲示

 

これらと並行して前払金の請求手続きを進めることで、スムーズな着工が可能になります。

 

前払金制度を適切に活用すれば、自己資金を多くもたない中小企業でも工事を開始しやすく、公共工事参入を後押しする大きなメリットとなります。

公共工事に関するよくある質問

ここでは、公共工事に関するよくある質問と回答を紹介します。

 

  • 公共工事の入札資格にランクはありますか?
  • 公共工事の範囲はどこまでですか?

 

同じように疑問を抱いているご担当者さまは、チェックしてみてください。

公共工事の入札資格にランクはありますか?

公共工事には、多くの発注機関で「ランク(格付け)」が設定されています。企業の技術力・経営状態・過去の実績に応じて受注できる工事規模を区分する制度で、品質確保のために導入されています。

 

ランクの根拠となるのが、経営事項審査(経審)で算出される総合評定値(P点)です。自治体ごとに基準は異なりますが、例として下記のように区分されるケースがあります。

 

  • 予定価格4,500万円以上:Aランクのみ参加可
  • 3,500万円未満:Bランクの企業が対象

 

このように、取得しているランクによって参加できる入札が決まります。そのため、参入したい自治体の基準を事前に確認しましょう。

 

また、国(各省庁)が発注する物品・役務に参加する場合は、自治体のランクとは別に「全省庁統一資格」が必要です。全省庁統一資格は、国の各機関で共通して利用できる資格で、工事ではなく、物品の調達・役務の提供で使われます。

 

以下の記事では、公共工事の入札におけるランクや全省庁統一資格について詳しく解説していますので、あわせて参考にしてみてください。

 

【関連記事】

公共工事の入札におけるランクとは?ランクを上げる方法を解説

全省庁統一資格とは?取得方法や等級、申請・更新方法を解説

公共工事の範囲はどこまでですか?

公共工事とは、国や地方公共団体、独立行政法人などの公的機関が発注する「建設工事(建設業法第2条第1項で定義)」を指します。道路や上下水道、学校などの建設や改修などが該当します。

 

ここで重要なのが、「工事」と「業務委託(役務)」の区別です。

 

  • 校舎を建てる→公共工事(建設業許可・経審が必要)
  • 校舎を設計する・測量する→業務委託(建設業許可は不要)

 

清掃・保守・警備などのサービス業務も「工事」ではありません。

 

まずは、自社が参入しようとしている分野が建設業許可が必要な工事なのか、許可不要の業務委託なのか

を正確に判断することが重要です。

まとめ

公共工事は、安定した発注量や高い信頼性、技術力向上など、多くのメリットがあります。一方で、手続きの複雑さや品質管理の厳しさなど、参入時には押さえておくべきポイントもあります。

 

まずは仕組みを正しく理解し、自社が取り組むべきプロセスを明確にしましょう。

 

「入札に興味はあるけれど、何からはじめればよいかわからない」「自社が参入できる案件を知りたい」といった疑問がある方は、「入札アカデミー(運営:株式会社うるる)」の無料相談を活用してみてください。

 

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