2024年3月28日、令和6年度の国家予算が成立しました。
今回の当初予算の規模は112兆円余りです。
2023年度の当初予算を下回ったものの、2年連続で110兆円を超えました。
しかし、財源の3割以上を国債に依存する厳しい財政状況は依然として続いています。
令和6年度の予算は「歴史的な転換点の中、時代の変化に応じた先送りできない課題に挑戦し、変化の流れを掴み取る予算」とされています。この予算は、経済復興、環境対策、デジタル化の推進、防衛強化、社会保障の充実など、国内外の様々な課題に対応するための資金配分を行い、持続可能な成長と安定を目指します。
「令和6年度予算のポイント(財務省)」の歳出分野で、政府が特に特徴として挙げている項目のうち、入札案件に関連しそうな分野をピックアップしました。
入札リサーチセンターが特に注目した分野は、以下の3つです。
① DX・地域創生
② GX・エネルギー・環境
③ 観光
これらの分野に関連するキーワードに基づいて公示されている入札案件を、入札情報速報サービス「NJSS」に登録されている案件情報から抽出し、入札リサーチセンターが調査・分析しました。
本レポートでは、その結果を報告するとともに、今年度の各カテゴリの入札動向を解説いたします。
調査概要 【対象機関】 【集計期間】 【調査内容】 |
注目分野の入札傾向
① DX・地域創生
<予算の概要と入札傾向>
令和6年度国家予算では、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進を通じて、行政や公共サービスのオンライン化、スマートシティの構築を目指しています。この分野に関連する入札案件としては、行政システムのデジタル化やオンライン公共サービスプラットフォームの開発が挙げられます。
さらに、地方創生を促進するため、リモートワークや地方移住を支援するインフラ整備やサービス提供に関する入札案件も増加しています。地域経済の活性化と地域企業の支援に向けたプロジェクトとして、地域産業のデジタル化支援や地方企業向けのICT導入支援なども推進されています。
公示案件数(カテゴリ別)
DX・地方創生分野では、「デジタル社会推進(DX)」が2,787件と最多で、行政と社会全体のデジタル化が強力に推進されています。地域経済活性化や生成AI活用、テレワーク推進の案件も多く、デジタル技術を活用した地域振興と新しい働き方の導入が進んでいることがわかります。
入札形式別 案件割合(カテゴリ別)
DX・地方創生分野における入札形式では、各カテゴリとも半数以上が競争性のある入札形式で実施されており、透明性が高いといえます。「デジタル社会推進(DX)」や「生成AI活用」では、一般競争入札と随意契約が多く、柔軟な調達が進められていると推測されます。「地域経済活性化」では一般競争入札が最も多く、次いで指名競争入札が多く行われており、競争性と専門性を重視した調達が行われているといえます。
合計落札金額
DX・地方創生分野において、最も高い落札金額を記録したのは「デジタル社会推進(DX)」で約1,145億円、次いで「生成AI活用」が約781億円です。これらの結果から、行政のデジタル化とAI技術の導入が特に重視されていることが伺えます。
入札案件の具体例
<デジタル社会推進(DX)>
・マイナポータル及びマイナンバーカード利用・活用促進に係る広報業務 / デジタル庁(案件詳細)
・自治体DX(システム標準化・共通化)支援体制整備事業 / 島根県庁(案件詳細)
・都市計画図書等デジタル化業務委託 / 相模原市役所(案件詳細)
<生成AI活用>
・令和5年度「未来の教室」実証事業(生成AIを用いた教育サービスの検証) / 経済産業省(案件詳細)
・AIを用いたFAQ検索システム構築・導入業務委託 / 秋田県庁(案件詳細)
・教育庁AIチャットボット構築委託 / 東京都庁(案件詳細)
<テレワーク推進>
・令和5年度テレワーク移住者交流会等実施業務 / 静岡県庁(案件詳細)
・目黒区教育ICT環境整備及び利活用推進支援業務委託 / 目黒区役所(案件詳細)
・甲賀市ワーク・ライフ・バランス推進事業業務委託 / 甲賀市役所(案件詳細)
<地域経済活性化>
・地方創生SDGs官民連携プラットフォーム運営等委託業務 / 内閣府(案件詳細)
・令和5年度 観光振興の土台づくりに向けた地域振興・連携促進事業 / 奈良県庁(案件詳細)
・本巣市デジタル田園都市国家構想総合戦略策定支援業務 / 本巣市役所(案件詳細)
② GX・エネルギー・環境
<予算の概要と入札傾向>
令和6年度のGX・エネルギー・環境分野では、再生可能エネルギーの普及と脱炭素化を推進し、エネルギー効率化とグリーン経済の実現を目指します。これに関連する入札案件としては、再生可能エネルギープロジェクトやエネルギー効率化設備の導入が挙げられます。さらに、自然保護や生物多様性の維持を目的とした環境保護プログラムや、大気汚染対策、水質管理の強化に関する入札案件も増えています。資源循環型社会の実現を目指すためのリサイクルシステムの整備や、持続可能な資源利用に向けた取り組みも入札案件として取り上げられています。これらの施策を通じて、持続可能な社会の構築と環境保護を推進しています。
公示案件数(カテゴリ別)
GX・エネルギー・環境分野では、特に「再生可能エネルギー」に関する入札案件が2,132件と圧倒的に多く、エネルギー転換が推進されていることが伺えます。カーボンニュートラルや脱炭素、環境保護と生物多様性も重要なテーマとして取り上げられており、持続可能な社会の実現に向けた幅広い取り組みが進められていると考えられます。
入札形式別 案件割合(カテゴリ別)
GX・エネルギー・環境分野では、各カテゴリで一般競争入札が多い傾向で、透明性が確保されていると考えられます。「カーボンニュートラル」と「再生可能エネルギー」では随意契約も多く、柔軟な調達が行われています。「環境保護と生物多様性」では指名競争入札が最も多く、専門性の高いプロジェクトが重視されていると推測されます。
合計落札金額
GX・エネルギー・環境分野では、「再生可能エネルギー」に関する落札金額が約308億円と最も多くの予算が割り当てられており、エネルギー転換が重視されていることが伺えます。「脱炭素」や「カーボンニュートラル」も重要視されており、環境保護と生物多様性、SDGs関連のプロジェクトにも一定の予算が割り当てられていると考えられます。
入札案件の具体例
<再生可能エネルギー>
・令和5年度新エネルギー等の導入促進のための広報等事業(今こそ考えよう!地域に合った再生可能エネルギーの普及促進) / 経済産業省(案件詳細)
・県有施設における再生可能エネルギー等導入可能性調査業務 / 佐賀県庁(案件詳細)
・石見空港太陽光発電所 周辺整備業務委託 / 島根県庁(案件詳細)
<脱炭素>
・空港脱炭素化推進計画作成業務 /国土交通省 (案件詳細)
・群馬コンベンションセンター脱炭素化可能性調査 / 群馬県庁(案件詳細)
・脱炭素社会実現に向けた革新的な熱交換技術・伝熱技術の活用に関する調査 / 新エネルギー・産業技術総合開発機構(案件詳細)
<カーボンニュートラル>
・カーボンニュートラル普及啓発業務委託 / 富山県庁(案件詳細)
・葛西臨海水族園特定温室効果ガス排出量の検証 / 東京都庁(案件詳細)
・国際航空のCO2削減に向けた長期目標達成のための調査 / 国土交通省(案件詳細)
<環境保護と生物多様性>
・令和5年度中川地区森林環境保全整備事業 / 農林水産省 林野庁 関東森林管理局(案件詳細)
・なごや生物多様性センター緑地帯管理委託 / 名古屋市役所(案件詳細)
・多古町デジタル農家エコシステム推進業務委託 / 香取郡多古町役場(案件詳細)
<SDGs>
・「SDGs未来都市」の選定等の地方創生SDGs推進に係る調査・研究業務 / 内閣府(案件詳細)
・令和5年度SDGs推進企業支援事業委託契約 / 福岡県庁(案件詳細)
・宮古島SDGs推進プラットフォーム構築・運営業務 / 宮古島市役所(案件詳細)
③ 観光分野
<予算の概要と入札傾向>
令和6年度の観光分野では、観光インフラの整備と観光地の魅力向上を図り、観光マーケティングと資源開発を推進します。
これに関連する入札案件として、観光施設の改修や新規開発プロジェクト、観光地の魅力を高めるためのプロモーション活動が挙げられます。地域観光プロモーションや地方観光資源の活用を通じて、地域文化の魅力を発信し、観光業の回復を支援するためのプロジェクトも増加しています。これらの取り組みは、地域経済の活性化と持続可能な観光業の発展を目指すものです。
公示案件数(カテゴリ別)
令和6年度の観光分野では、「観光復興」に関連する入札案件が最も多く354件あり、観光業の回復が重視されていると考えられます。「観光インフラ整備」も244件と多く、観光地の基盤強化が進められていると推測されます。これらのデータから、観光業の復興とインフラの強化が主要な課題であり、重点的に予算が割り当てられていることが伺えます。
入札形式別 案件割合(カテゴリ別)
観光分野の入札形式では、「観光インフラ整備」が随意契約29.10%と多く、特定の企業や団体に迅速に業務を任せる必要性が高いと考えられます。「観光復興」では企画競争が72.19%と圧倒的に多く、創造性や提案力が重要視されていることが伺えます。「地域観光」も企画競争が53.33%を占め、地域独自の観光プロジェクトに対する創意工夫が求められていると推測されます。
合計落札金額
観光分野では、「観光インフラ整備」に約50億円と最も多くの予算が割り当てられており、基盤強化が重視されていることが伺えます。「観光復興」には約12億円が投入され、観光業の回復が重要な課題となっていることが示唆されます。全体的に、観光地の魅力向上とデジタルインフラの整備が進められ、観光業全体の再生と発展に向けた包括的な取り組みが進行していることが伺えます。
入札案件の具体例
<観光インフラ整備>
・観光案内所におけるデジタル技術導入検討調査 / 名古屋市役所(案件詳細)
・新横浜駅観光案内所への『AI チャット Bot』の導入・運営業務委託 / 横浜観光コンベンションビューロー(案件詳細)
・道の駅しょうなん周辺観光案内板設置工事 / 柏市役所(案件詳細)
<観光復興>
・外国人材活用インバウンド推進事業業務委託 / 栃木県庁(案件詳細)
・令和5年度万博観光インバウンド獲得事業実施業務 / 山口県観光連盟(案件詳細)
・東北観光推進機構におけるデジタルプロモーション事業 / 東北観光推進機構(案件詳細)
<地域観光>
・越前鯖江地域における歴史的観光資源を活用したインバウンド滞在促進事業 / 国土交通省 中部運輸局(案件詳細)
・愛荘町地域資源を活用した観光周遊企画業務委託 / 愛知郡愛荘町役場(案件詳細)
・九十九里地域のポテンシャルや地域資源を有効活用した観光振興施策検討業務 / 千葉県庁(案件詳細)
まとめ
令和6年度の国家予算は、112兆円を超える規模で、歴史的な転換点における課題解決を目指しています。
DX・地域創生、GX・エネルギー・環境、観光の分野も重点が置かれ、持続可能な成長と安定を図る施策が展開されています。
デジタル化の推進やエネルギー転換、観光インフラ整備などに多くの予算が割り当てられ、具体的な入札案件として行政システムのデジタル化、再生可能エネルギープロジェクト、観光施設の改修などが挙げられます。
これらの施策は、入札を通じて競争性と透明性を確保しながら進行しており、日本の経済と社会の持続可能な未来を支えるための重要な取り組みといえます。
\令和6年度国家予算のポイント、解説記事はこちら/
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