官公庁や自治体が行う入札に関心を持った時や、実際に入札に参加をした時に、「電子入札」という言葉を見聞きしたことはないでしょうか。
「電子入札」と聞くと便利そうだと感じますよね。
いろいろなWEBサイトで情報を探してみると、結局は聞きなれない入札関連の言葉も多く、説明を読んでも難しくてよくわからないことが多いでしょう。
そこで、電子入札についての基礎知識と導入手順について、わかりやすくまとめてみました!
これを読めば5分で電子入札の基礎知識と導入の手順が分かります。
「電子入札」とは?
そもそも電子入札とは何か?
電子入札とは、入札を行う行政機関からの通知や各種書類の提出などの業務をインターネット経由で行うことができる、電子化された入札執行システムのことです。
そもそも入札は「紙」をベースにやり取りが行われるのが今でも主流です。
しかし紙をベースにした入札は、仕様書などの書類を現地に受け取りに出向いたり、見積書や提案書等の提出書類を郵送したりと、移動費用や手続きに時間がかかります。
これを効率化するために国土交通省が先導してスタートし、今では他の多くの自治体等でも展開が図られているのがこの電子入札システムです。
では、まずはこの電子入札を導入するメリットをまとめてみましょう。
電子入札のメリット
行政機関側のメリット
- 情報公開により透明性を高めることができる
- 電子化による事務効率の改善ができる
- 談合の防止により公平性が確保できる
入札参加側のメリット
- 移動や申請の費用と時間が削減できる
- 電子化により事務効率の改善ができる
- 契約書等の書類の保管が不要になる
- 契約書の印紙税が不要になる
なるほどと感じるメリットもありますね。
また、官公庁では電子入札の導入をすすめているため、電子入札でしか参加できない申請や案件もあります。
では、もしメリットを感じて導入を決めた場合、具体的には何から始めたら良いのでしょうか。
電子入札に必要なもの
電子入札に参加するには大きく以下の4つが必要です。
|
電子入札は、官公庁や自治体によりシステムの設計主体が異なる場合があるため、自社のハードウェアの環境との適合などは、参加を希望する発注機関に確認する必要があります。
また、インターネット上で個人や法人を特定するための電子証明書(ICカード)は、入札を行う発注機関ではなく、公的に認定された民間企業に発行や運営が委託されています。
次に導入するためのステップについて見ていきましょう。
電子入札導入のためのステップ
ステップ1:機器の準備とスペックの確認
大前提の条件としまして、まずは『インターネットに接続できる環境』が必要です。
そのうえで、使用しているパソコンやソフトウェアのバージョンの確認が必要になります。
代表的なチェック項目
ハードウェア環境 | CPU | メモリ |
HDD容量 | グラフィックプロセッサ | |
ソフトウェア環境 | OSのバージョン | 使用ブラウザのバージョン |
JAVA実行環境 |
参加を希望する発注機関に問い合わせをしたり、後のステップに出てくる電子認証局に問い合わせをする場合に、上記のチェック項目を確認されるので、事前にチェックしておきます。
ステップ2:電子証明書(ICカード)とICカードリーダの購入
電子入札を行うには電子証明書(ICカード)とICカードリーダが必要です。
これらは公的に認定された電子認証局(発行を委託された民間企業)により購入が可能です。
参加を希望する発注機関に対応している認証局を確認して、サービス内容や費用を比較して、希望する認証局に問い合わせをしましょう。
代表的な電子認証局と費用の比較(カードは1枚・カードリーダは1台を想定)
認証事業者名 | ICカード有効期限(税込) | カードリーダ(税込) |
NTTビジネスソリューションズ株式会社 | 1年(+1ヶ月):9,900円 | 申込書作成ツール使用:6,600円 ※不使用:10,450円 |
三菱電機インフォメーションネットワーク株式会社 | 1年:12,100円 | 8,250円(送料込) |
日本電子認証株式会社 | 1年+30日:16,500円 | 9,900円 |
東北インフォメーション・システムズ株式会社 | 2年1ヶ月:25,300 円 | 10,450円 |
セコムトラストシステムズ株式会社 | 2年(CD-R):18,040円 | - |
※各認証局による割引やオプションについては直接お問い合わせください。
ICカードを複数枚購入すると割引を受けられたり、利用期間の延長サービスやセットアップのオプションなど、各認証局によってサービス費用や内容が異なるようです。ここでは大体の導入費用を確認することにとどめ、詳細は各認証局に問い合わせすることをお勧めします。
この中で一つを選ぶのは難しいのですが、価格は比較的高いものの、入札で狙い目になる独立行政法人などの公団・公社の対応数の多いNTTネオメイトや日本電子認証を個人的には推奨したいと思います。私見になりますが参考にして頂ければ幸いです。
電子入札の注意事項
いくつか調査を進めるうちに、電子入札にもデメリットや注意点があることがわかりました。
後で後悔しないよう、導入を進める前にこれらもしっかりと把握しておきましょう。
電子入札の注意事項①
電子入札は官公庁や自治体によって全て統一されているわけではない
導入してしまえば全ての電子入札で使えそうですが、発注機関によってシステム設計が異なるため、自社で使っているICカード、カードリーダ、パソコン環境などがシステムに対応しているか確認が必要です。
電子入札の注意事項②
ソフトウェア環境により使えない場合がある
パソコンを買い替えた場合やソフトのアップデートを行った場合に、接続している電子入札システムの推奨する環境と適合せず、使えなくなる(または設定をし直す必要がある)場合がある。
電子入札の注意事項③
担当者からの生の情報が得られなくなる
電子的に公表された情報しかないため、対面ならではの口頭情報が得られない。電子入札システム上の文字情報だけで見積もりや提案をした場合に、発注機関側のニーズや意図を取り違えるリスクがある。
使用しているパソコンやブラウザの確認や設定などを、自分でスムーズにできる人にとっては、電子入札を活用するメリットは大きいです。移動の手間や書類の入手を電子的に処理して手間を省きましょう。
一方でそれが苦手という人にとっては、電子入札を使いこなすのは難しいのではと思います。確認や設定に手こずるようでは、結果的に手間がかかって十分にメリットを活かせない可能性が高いと考えられます。
さいごに
電子入札の基礎知識と導入ステップはいかがでしたでしょうか。
入札を行うために必ずしも電子入札を導入する必要はありません。
しかし、ひとつの手段として電子入札のメリットや、導入の手順を認識・把握しておくメリットはあります。
電子入札サイトで公表されている案件探しにおすすめ!
NJSSは、全国の官公庁や自治体の
入札情報や落札情報を提供する
国内最大級の入札情報サービスです。
- 全国の入札情報を一括検索
- 最新の入札情報を毎朝メールでお届け
-
過去の落札額・落札会社から
入札動向の分析が可能 -
雑多な案件のタスクを管理し、
機会損失を防ぐ