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知っておきたい『自治体DXの基礎』〜第3回:国も自治体もなぜ今自治体DXなのか?(後編)〜

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自治体ビジネスの中でも非常に注目度の高い『自治体DX』について、自治体ビジネスのプロが3回に分けて解説します。

本記事を参考にして、ビジネスチャンスを掴みましょう。

知っておきたい『自治体DXの基礎』

第1回:3分でわかる「デジタル田園都市国家構想」
第2回:国も自治体もなぜ今自治体DXなのか?(前編)
第3回:国も自治体もなぜ今自治体DXなのか?(後編)【本編】

前編では、地方自治体がなぜDXに取り組む必要があるのか背景や目的を紐解きました。

DX化の対象となっているのは「地方自治体の組織そのもの」でした。

 

では、組織改革や業務効率化などを目的としたデジタル技術やサービスを扱っていないDX企業にはチャンスはないのでしょうか。答えは「チャンスあり」です。

 

「ICT」と「DX」の違い、総務省はこう整理している

ここで改めて自治体D X分野での「ICT」と「DX」の違いについて整理してみましょう。

諸説あるところですが、総務省は次のように整理しています。

キーワード 解釈 視点
ICT化
  • 業務を情報通信技術に代替すること
  • 組織・業務の効率化が主な目的
業務本意
DX化
  • デジタル技術も用いて新しい価値を生み出す、または仕組みを変えること
  • 住民サービスの向上が主な目的
住民本意

ポイントは目的の違い。

ICT化が組織・業務の効率化を目的としているのに対し、DX化は住民サービスの向上が目的。

自治体DXはあくまでも地域住民に対する行政サービスの向上を目指すものと解釈できます。

 

この考え方をベースにした場合、組織内だけではなく組織外の住民や地元企業が接点を持つ行政サービスの部分、例えば住民票の発行や企業との各種申請書のやりとりなど、自治体組織外のステークホルダーが係る部分のDXも対象範囲。

 

自治体組織の外の住民や事業者とのコミュニケーションに関わるDX技術を持った会社なども自治体のパートナーとしてビジネスを展開する機会あり、というわけです。

 

自治体DX推進計画を見てみよう

自治体組織そのもののDX化以外の分野で民間企業にどのような可能性があるか、もう少し詳しくみていきましょう。

自治体DX推進のための計画として、国は2022年9月に「自治体DX推進計画」を改訂しました。

 

同計画によると「自治体DXの取り組みと併せて取り組むべき事項」として次の3点が示されています。自治体組織内のDX化だけではありませんよ、ということですね。

 

① デジタル田園都市国家構想の実現に向けたデジタル実装の取り組みの推進・地域社会のデジタル化

こちらは別の国家戦略「デジタル田園都市国家構想」で取り組みが予定されている、地域の企業がデジタルを使って競争力を高め雇用を生み出す施策などを想定しています。

 

詳しくは別の記事に譲りますが、スタートアップや地域の中小企業・中堅企業がDXを活用してキャッシュレス決済を導入したり観光産業を伸ばしたりする領域を指しています。

 

この分野はさまざまな民間企業のソリューションが自治体と連携して実装されることが期待されています。

 

② デジタルデバイド対策

こちらも前述の「デジタル田園都市国家構想」の一施策。

デジタル実装の基礎条件整備の一環「誰一人取り残されないための取り組み」の一つとして進められています。

 

地域住民のデジタルデバイド解消、例えば高齢者へのスマートフォン活用講座やインターネットを使った情報収集・発信の仕方のセミナーなど、こちらも民間企業が大いに活躍できる領域と言えるでしょう。

 

③ デジタル原則に基づく条例等の規制の点検・見直し

こちらは自治体が自ら取り組むことが推奨される領域ではありますが、既存の規制の点検や見直しはデジタル知識が豊富にないとなかなか厳しいものがありますね。

民間の専門家がコンサルティングとして支援するケースもありそうです。

 

 

予算はどこにどれだけつくのか

さて、今までご紹介してきた自治体DXのさまざまな取り組み。

その中でも、特に「地域社会のデジタル化に係る取り組み」は国が財政的にサポートしている領域です。財政措置の期間は令和5年から7年の間

 

代表的な財政措置をご紹介しましょう。

① 地域デジタル社会推進費等

こちらはデジタル田園都市国家構想事業費として1兆2,500億円が確保されています。

かなり大きな予算規模。

 

内訳の大多数を占めているのが地方創生推進費の1兆円。

こちらは従来地方創生に使われてきた予算「まち・ひと・しごと創生事業費」の名称が変更されたもので、この予算で実現を目指す社会は地方創生で掲げられているものとほとんど変わりません。地方創生をデジタルを使って加速させよう、という考え方が見えてきます。

 

② デジタル田園都市国家構想交付金のうちデジタル実装タイプ

こちらはデジタルを活用した意欲ある地域による自主的な取り組みを応援することが目的の予算。「デジタル田園都市国家構想」を推進するため、デジタルを活用した地域の課題解決や魅力向上の実現に向けた取り組みに振り向けられます。

 

ただし、こちらの予算は地方自治体の取り組みに対する交付金という形で地方自治体の財政支援として使われます。

 

民間企業がビジネスとして関わろうとする場合、地方自治体との連携が不可欠。

「魅力的な地域をつくるために観光資源の磨き上げをデジタルの力を使って進めませんか」「地域課題として漁業の振興が問題なので、スマート漁業を当社と一緒に計画しませんか」など、自治体に対して「パートナーとして一緒に取り組みましょう!」といった提案営業活動が必要となってきます。

 

全ては自治体への提案活動から始まる

いかがでしたでしょうか。
自治体DXの背景や目的、取り組み事項などをまとめてご紹介しましたが、結局民間企業がビジネスとして関わる場合、自治体への提案営業活動が欠かせません。

お目当ての自治体が自治体DXについてどんな考え方を持っていて、どんな案件を発注しているのか案件情報などを集めて把握し、ぜひこのビジネスチャンスを生かして事業の拡大に結びつけてみてください。

 

知っておきたい『自治体DXの基礎』

第1回:3分でわかる「デジタル田園都市国家構想」
第2回:国も自治体もなぜ今自治体DXなのか?(前編)
第3回:国も自治体もなぜ今自治体DXなのか?(後編)【本編】

 

この記事の執筆者 


 

株式会社LGブレイクスルー 代表取締役 古田 智子 氏

慶應義塾大学文学部卒業後、総合コンサルティング会社入社。中央省庁、地方自治体の幅広い領域の官公庁業務の営業活動から受注後のプロジェクトマネジメントに携わる。 2013年2月、 (株)LGブレイクスルー創業。人脈や力学に頼らず、国や自治体からの案件の受注率を高める我が国唯一のメソッドを持ち、民間企業へのコンサルティング・研修事業を展開。著書に『地方自治体に営業に行こう!!』『民間企業が自治体から仕事を受注する方法』がある。

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