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スマートシティの進展状況と予算展望:令和7年度に向けた政策の動き

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『スマートシティ』という言葉を聞いたことはあるでしょうか?

 

スマートシティ自体は2010年ごろから世界中に広まった概念で、テクノロジーの進展と社会課題の複雑化に伴い、都市運営を効率化し、住民の生活の質を向上させるための都市や地域のことを指します。特に日本では「Society 5.0」の一環としてスマートシティ構想が位置付けられ、政策面での後押しが強くなっています。

 

最近は政府も、実証実験の域を超え、本格的な実装フェーズへの移行を進める段階であると位置付けています。実際に足元では多くの地域でスマートシティ関連の事業が選定され、実装への取り組みが推し進められています。

 

この記事では、スマートシティに関する最新の動向を整理し、今後の見込みを展望します。

 

スマートシティ政策をめぐる最新動向

スマートシティ関連の政策は政府としても特に力を入れている分野であり、多くの地方自治体がスマートシティ関連のプロジェクトを推進しています。

 

しかしながら、やや分かりにくいのは複数の府省庁が類似した領域の事業を行っている点です。

 

具体的には、今年度は、以下のように5つの府省庁が事業を行っています。

担当府省庁 事業名 目的 令和6年度予算
内閣府 (地⽅創⽣推進事務局) 未来技術社会実装事業 未来技術による地域課題の解決 0.7億円の内数
総務省 (情報流通⾏政局) 地域課題解決のためのスマートシティ推進事業 デジタル技術による地域課題の解決 3.0億円
国⼟交通省 (都市局) スマートシティ実装化⽀援事業 都市活動や都市インフラの高度化 2.5億円
経済産業省 (製造産業局) 地域新MaaS創出推進事業 地域の移動課題解決とモビリティ関連産業の拡大 数億円
国⼟交通省 (総合政策局) 共創・MaaS実証プロジェクト(⽇本版MaaS推進・ ⽀援事業) 快適性・利便性の高い交通サービスの実現 279億円の内数

【参考資料】内閣府:令和6年度の関係府省のスマートシティ関連事業(合同審査の対象事業)の概要 

 

 

 

そして令和6年度における、これらの事業の選定結果は以下の通りです。


 

【参考資料】内閣府:令和6年度のスマートシティ関連事業の選定結果

 

 

上記のような地図をみると、都市部のみならず、地方都市や過疎地域でもスマートシティ関連事業を進めていることがわかります。その上でも興味深いのは、群馬、東京、神奈川、愛知、三重、大阪、和歌山などの一部の地域で、集中して事業が採択される結果になっている点です。

 

実装フェーズが進むにつれて、これまで実証実験などから積極的に取り組んでいた自治体での採択が増加していることが想像されます。

 

令和7年度 スマートシティ関連事業の見込み

このように、すでに令和6年度の事業は開始済みです。

それでは来年度の事業の見込みはどのようになっているでしょうか?

 

令和7年度の各府省庁の概算要求資料によると、スマートシティ関連の予算が引き続き拡充されることがわかります。

 

ここではそうした概算要求から、代表的なものをピックアップします。

 

経済産業省関連事業

無人自動運転等のCASE対応に向けた実証・支援事業(概算要求額:51億円)

この事業は「Connected(コネクテッド)」「Autonomous(自動運転)」「Shared & Services(シェアリング/サービス)」「Electric(電動化)」のいわゆるCASE対応を進めるためのものです。その中の事業の1つとして、「MaaS(Mobility as a Service)の社会実装加速に向けた実証事業」が据えられています。

 

経済産業省では今年度も地域におけるMaaSの取り組みを進めるための予算を用意していることから、継続してこの分野に力を入れていることがわかります。

 

 

【参考資料】経済産業省:経済産業省関係令和7年度概算要求の事業概要(PR資料:エネルギー対策特別会計)

 

 

脱炭素化・エネルギー転換に資する我が国技術の国際実証事業(概算要求額:55億円)

この事業は経済産業省が新規に要求しているもので、昨今特に政策的にも力を入れている、脱炭素化・エネルギー転換に関するものです。

 

ビッグデータ、AI、分散管理技術 等を用いたスマートシティ関連技術を含めた各種の技術について、海外での実証実験を通してその有効性などを可視化するための事業となります。

 

 

【参考資料】経済産業省:経済産業省関係令和7年度概算要求の事業概要(PR資料:エネルギー対策特別会計)

 

 

国土交通省関連事業

スマートシティ実装化支援事業(概算要求額:2.5億円)

この事業では今年度に引き続きスマートシティの実装化に向けた実証実験を進めるものです。

また、国として戦略的に取り組む政策分野のスマートシティ施策の開発などを重点的に支援する「戦略的スマートシティ実装タイプ」を創設することとしています。

 

 

【参考資料】国土交通省:都市局関係予算概算要求概要

 

 

スマートシティに関連する企業は何をするべきか

スマートシティは、都市の課題解決に向けた新しいアプローチとして、今後ますます注目される分野です。

 

足元の状況としては、各地での実証実験が進む中、令和7年度以降の予算編成を通じて、本格的な導入が進む見込みです。政府と民間企業が連携し、技術を活用した効率的で持続可能な都市運営の実現に向けて、スマートシティは新たなステージに突入しています。

 

さて、こうしたスマートシティの社会実装を支援する企業にとっては、今後どの自治体がスマートシティに関する取り組みを進めるのかといった情報を把握することがとても重要です。

 

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