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急増するふるさと納税:制度の現状と自治体の入札案件の動向は?

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いまや1000万人を超える人々が利用する「ふるさと納税」。

住民税を納めている6人に1人が、この制度を活用しているといわれています。

 

2023年度には寄付金額が初めて1兆円を突破し、件数・金額ともに右肩上がりで増加しています。
この急成長に伴い、各自治体ではふるさと納税関連の業務を効率的に運営するため、さまざまな入札案件が発生しています。

 

今回は、ふるさと納税の基本制度から最近の利用状況、制度改正のポイント、そして各自治体が抱える入札案件の内容について詳しく見ていきます。

 

ふるさと納税とは?

すでにご存知の方も多いかと思いますが、まずはふるさと納税の概要について解説します。

 

そもそも、ふるさと「納税」という言葉ですが、実際には自分の選んだ自治体に「寄附」をする制度です。ふるさと納税をすると、寄附した金額のうち2000円を越える部分については、所得税と住民税から原則として全額が控除されます(ただし控除金額には上限があります)。さらに、寄付した金額で地域の名産品などのお礼の品を受け取ることができます。

 

例えば50,000円のふるさと納税をすると、その30%以内(15,000円以内)のお礼の品をもらえる上に、寄付金額から2,000円を差し引いた金額である48,000円が、所得税と住民税から控除されることになります。つまり、実負担2000円で、自治体のさまざまな返礼品を受け取ることができるということです。

 

ふるさと納税はいつでも申し込むことができますが、1月1日から12月31日までに手続きが完了した分が、当年の所得税と翌年度の住民税の控除対象になります。そのため極力、12月31日までに寄付を行っておくことが重要です。

 

最近の利用者数などの推移

次に、ふるさと納税の金額と件数の推移についてみていきます。

ふるさと納税の受入額及び受入件数の推移(全国計)

【参考資料】総務省 自治税務局市町村税課:ふるさと納税に関する現況調査結果(令和6年度実施)

 

 

このグラフの通り、受入金額・件数ともに年々右肩上がりで上昇しています。

 

令和5年度には受け入れ金額が、前年度比約20%増の約1兆1175億円に達し、初めて1兆円の大台を突破しました。

 

そもそも認知度が非常に高いことがふるさと納税の特徴でもあり、経済産業省所管の政策シンクタンクであるRIETIの調査によると、その認知度は96.8%にものぼります。

これは、iDeCoやNISAなど、他の税制優遇制度と比べても特に高い認知度です。

【参考資料】独立行政法人経済産業研究所:2023年版税制優遇制度の比較~ふるさと納税の利用率と認知度は高い?

 

なぜこれほどまでに、認知度が高く、利用件数・寄付金額も伸び続けているのでしょうか?

 

理由の1つとして、ふるさと納税は民間企業のポータルサイトを通じた寄附が主流となっているため、民間企業が多様な広報を行っていることが挙げられます。実際に、テレビCMやオンラインの広告などでも、ふるさと納税について目にしたことがある人は多いのではないでしょうか?

 

最近のふるさと納税 制度改正

このように、利用件数は年々増加しているふるさと納税。

ただし、自治体側の経費削減や制度趣旨の実現のために、足元でもいくつかの制度改正が行われています。

2023年10月改正

そもそも自治体がふるさと納税のために使用できる「必要経費」は寄付金額の50%までという制限があり、そのうち返礼品に関連する費用は30%までと定められていました。

2023年10月からは、その必要経費に、返礼品の発送費用や民間の仲介サイトへの支払い手数料なども追加することが定められました。

特に、仲介サイトの手数料は約10%程度と言われている中、この制度改正により、返礼品の内容が減ることや寄付金額を引き上げるなどの対応を取るケースが発生しました。

 

2024年10月改正

2024年10月からは大きく2点が改正されています。

1つは、各種広告や仲介サイト上で、返礼品そのものの内容を強調することが禁止されること。

もう1つは、1泊1名あたり5万円超や、運営会社が都道府県を跨いで複数の施設を展開している場合などについては、宿泊券の返礼品が禁止されることです。

 

2025年10月改正

さらに2025年10月には、仲介サイトでのポイント還元が禁止される予定です。

【参考資料】総務省:ふるさと納税の指定基準の見直し

 

これまで民間の仲介サイトが広告宣伝を含めて力を入れてきたこともあり、ふるさと納税の認知度は広がってきました。

 

その認知度が一定程度高まり、利用件数も伸びている中で、政府としては過度な返礼品競争を防ぎ、かつ一部の自治体に寄付が偏る状況を防ぎたいという思いもあると考えられます。

 

ふるさと納税に関連する入札案件への対応

ここまで、ふるさと納税の制度概要と近年の動きについてみてきました。

それでは、実際に事務的なオペレーションを回す必要がある各自治体ではどのような対応をしているのでしょうか?

 

今回は弊社が提供する入札情報速報サービスNJSSが保有するデータから、2023年4月1日以降、ふるさと納税関連でどのような入札案件があるかを調べました。

 

まず、ふるさと納税関連の入札案件の件数は1,177件落札金額の合計は171億円にのぼりました。
各自治体で年間を通して入札されており、比較的月毎の変動は少ないといえます。

 

案件名に「ふるさと納税」が含まれている入札案件の推移

【参考データ】入札情報速報サービスNJSSより

 

入札案件の具体例としては、下記のような案件に分類することができます。

 ・ふるさと納税の運営全般を外部に委託する案件

 ・返礼品に関する調達や発送、管理業務を委託する案件

 ・寄付の受付や管理を委託する案件

 ・ふるさと納税のプロモーション活動を委託する案件

 

制度変更を伴いながら、今後ますます利用の増加が見込まれるふるさと納税。

その利用の増加に伴って、自治体の入札案件の増加も予想されます。

 

BPO業務を営む企業にとっては、どの自治体がふるさと納税のオペレーション対応のために外部委託を利用する予定でいるのかといった情報を把握することが重要です。

 

弊社サービス「入札BPO」では、こうしたニーズに答えるため、『自治体ニーズアンケート調査』を実施しています。自治体に対するアンケートを個別に行っても、なかなか回収率があがらず効率が悪いものです。弊社サービス「入札BPO」が提供する 『自治体ニーズアンケート調査』は、15年以上の入札情報サービス運営経験を元に、精度の高い情報収集・高い回答率を実現し、他社に差をつけるための戦略的な営業展開を可能にします。

 

これからも利用増加が見込まれるふるさと納税。自治体側の業務も増え続けることが予想されます。そこから生まれるビジネスチャンスを逃さないためにも、ぜひ当社の『自治体ニーズアンケート調査』をご活用ください。

 

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