石破政権の最重要政策の1つである地方創生。
実際に、2025年1月24日に衆参両院の本会議で行われた石破総理の施政方針演説では、地方創生に関して、以下のような言及がされました。
「楽しい日本」を実現するための政策の核心は、「地方創生2.0」です。これを、「令和の日本列島改造」として強力に進めます。都市対地方という二項対立ではなく、都市に魅力を感じる方、地方に魅力を感じる方、そうしたお一人お一人の多様な幸福が実現できる場として、都市も地方もその魅力を高めていきます。
それでは、この地方創生2.0にはどのような政策が紐づくのでしょうか?
これまでの地方創生政策とはどのような違いがあるのでしょうか?
今回はこうした、地方創生2.0の具体的な内容を確認したうえで、地方自治体の営業担当者が注意するポイントをまとめていきます。
地方創生2.0とは
地方創生2.0の基本的な方針は、石破政権の発足直後に設置された「新しい地方経済・生活環境創生本部」で検討されました。
2024年12月24日には同創生本部で「地方創生 2.0 の「基本的な考え方」」が取りまとめられ、地方創生2.0の骨格が明らかになっています。
参考:
地方創生2.0の方向性
地方創生自体は、2014年にまち・ひと・しごと創生法を制定したころから本格的にスタートしていましたが、石破政権の地方創生2.0は、これまでといくつかの点で考え方が異なります。
まず基本的な姿勢として、当面は人口・生産年齢人口が減少することを正面から受け止めた上で、人口規模が縮小しても経済成長し、社会を機能させる適応策を講じていくこととしています。そのうえで、人手不足が顕著になるからこそ、「人を大事にする地域」「楽しく働き、楽しく暮らせる地域」を創ることを目的としています。
具体的には、若者や女性にも選ばれる地方を創ることを主眼とすることや、文化・芸術・スポーツなどこれまで十分に活用されてこなかった地域資源を用いた産業・事業の創出に取り組むこと、WEB3.0を含めた新しい技術によるコミュニティの活性化に取り組むことなどが挙げられています。
地方創生2.0の5本柱
この地方創生2.0を後押しするための政策の柱として、大きく5つが検討されています。以下では、その具体的な内容をまとめています。
政策の柱 | 内容 | 具体的な施策例 |
①安心して働き、暮らせる地方の生活環境の創生 | 「若者・女性にも選ばれる地方」をつくる |
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地域のコミュニティ、日常生活に不可欠なサービスを維持する |
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災害から地方を守る |
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②東京一極集中のリスクに対応した人や企業の地方分散 | 分散型の国家づくり |
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③付加価値創出型の新しい地方経済の創生 | 農林水産業や観光産業の高付加価値化 |
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地方への投融資促進 |
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地方起点で成長し、ヒト・モノ・金・情報の流れをつくるエコシステムを形成 |
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④デジタル・新技術の徹底活用 | デジタル・新技術を活用 した付加価値創出 |
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⑤「産官学金労言」の連携など、国民的な機運の向上 | 地域で知恵を出し合い、地域自らが考え、行動を起こすための合 意形成に努める取組の促進 |
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地域の内外での人材シェア |
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これらの柱に沿った政策体型を検討し、2025年の夏頃に、今後10年間で集中的に取り組む基本構想を取りまとめることとしています。
新しい地方経済・生活環境創生交付金について
こうした地方創生2.0を後押しするための予算として、政府はこれまで当初予算で1000億円だった地方創生関連の交付金を、2倍に当たる2000億円措置する予定です。
すでに、2024年度の補正予算で「新しい地方経済・生活環境創生交付金」という名称で1000億円計上されており、2025年1月24日に招集された通常国会で予算案が成立すれば、合計3000億円の予算が措置されることになります。ちなみに「新しい地方経済・生活環境創生交付金」は、もともと「デジタル田園都市国家構想交付金(いわゆるデジ田交付金)」と言われていた交付金の名称を変更したものになります。
参考:令和7年度 内閣、デジタル、復興、 外務・経済協力係 関係予算のポイント
交付金の予算が大幅に増加するとして、具体的な制度設計の公表はこれからです。
自治体ごとの交付金の上限金額の引き上げや、地方創生2.0の5本柱に紐づく政策を後押しするような資金使途の拡充などが予想されます。
自治体営業担当が気をつけるべきポイント
今後夏頃にかけて、地方政策2.0の基本構想や新しい地方経済・生活環境創生交付金の詳細な制度設計の公表に向けた動きが本格化することが予想されます。
新しい地方経済・生活環境創生交付金の名称になる前の、デジタル田園都市国家構想交付金の際には大きく以下の4つのタイプがありましたが、新しい地方経済・生活環境創生交付金についてもこうしたタイプが公表されることが推測できます。
交付金は自治体の予算計画にも影響を与えます。制度の中身が明らかになるのと同時に、各自治体によって重点的に取り組む事項も分かってくるでしょう。例えばある自治体はWEB3.0を利用した地域の活性化に取り組むかもしれませんし、別の自治体では農産品輸出に特に力を入れて取り組むことになるかもしれません。
そのため、自治体営業で成果を出すためには、新しい交付金の制度設計に注目しながら自治体ごとの動きを予想することが重要です。その前提には定期的かつ的確な情報収集が必要となります。
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