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見積もり合わせとは?入札との違い・メリット・手順を解説

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見積もり合わせは、複数の業者から見積書を徴収し、価格や条件を比較検討した上で、もっとも適切な業者を選定する調達方法です。民間では「相見積もり」と呼ばれ、公共事業では少額随意契約の手法のひとつとして活用されます。

 

一方で、「見積もり合わせは具体的にどう進めればよいのか」「一般競争入札とは何が違うのか」と悩む入札・契約担当者の方もいるのではないでしょうか。

 

本記事では、見積もり合わせのメリットや入札との違い、具体的な進め方を解説します。

 

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見積もり合わせとは

見積もり合わせとは、工事・物品購入・業務委託などの発注時に、複数の事業者に見積もりを依頼し、価格や内容を比較して契約先を選ぶ調達方法です。民間では「相見積もり」と呼ばれることもあります。

 

目的は、複数社を比較して適正価格を把握し、コスト削減と品質確保を両立することです。評価の際は価格だけでなく、下記についても総合的に考慮します。

 

  • 提案内容
  • 技術力
  • 納期
  • 実績
  • アフターサービス

 

公共事業では、少額随意契約の一形態として定型的な少額案件に用いられ、大規模や高額案件では一般競争入札が原則です。

見積もり合わせと入札の違い

見積もり合わせと一般競争入札には大きな違いがあります。ここでは、下記の項目ごとに違いを解説します。

 

  • 参加できる企業の違い
  • 提出書類の違い
  • 決定条件の違い

 

詳しく見ていきましょう。

 

また、以下の記事では、入札の仕組みを詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

 

【関連記事】

入札とは?入札の仕組み・種類・流れをわかりやすく解説

参加できる企業の違い

見積もり合わせでは、発注者があらかじめ選定した少数の事業者(2~5社程度)が参加します。過去の実績や信頼性をもとに選ぶことで、手続きが簡素になり、効率的に最適な業者を選定できるのが特徴です。なお、多くの企業が参加できる「公募型見積もり合わせ」という方式もあります。

 

一方、一般競争入札では、公告に応じて条件を満たす不特定多数の事業者が参加可能です。この仕組みによって、公平性と透明性の確保が重視されるのが特徴です。

 

少額・定型案件には見積もり合わせが用いられる傾向があり、大規模・高額案件では一般競争入札が基本的に適用されます。なお、自治体や案件内容によって運用が異なる場合があります。

提出書類の違い

参加範囲の違いによって、求められる書類も大きく異なります。

 

見積もり合わせでは、基本的に見積書とその内訳書の提出のみで済みます。発注者が作成した仕様書にしたがって作成するため、手続きは簡素です。

 

なお、仕様書や内訳のフォーマットを正確に準備することは、後のトラブル防止には欠かせないでしょう。

 

一方、一般競争入札では、入札書に加えて下記のように、多様かつ厳格な書類が求められます。

 

  • 経営事項審査結果通知書
  • 納税証明書
  • 技術者資格証
  • 施工計画書
  • 過去の実績を示す書類

 

不特定多数の参加者が、業務や工事を遂行できるかを公平に審査するためです。公共調達における透明性・公正性を確保する目的があります。

決定条件の違い

契約先を選定する基準も、見積もり合わせと一般競争入札で異なります。見積もり合わせでは、価格は重要ですが、提案内容の質や技術力、納期の遵守なども総合的に評価します。

 

発注者にとって、もっとも費用対効果の高い事業者を選べるのが特徴です。この評価によって、単に安いだけで品質が低くなるリスクを避けられます。

 

一方、一般競争入札では、方式によって落札条件が異なります。従来の単価入札(最低価格落札方式)では、原則として最低価格を提示した業者が落札される仕組みです。

 

しかし、公共事業や一部の委託業務では、価格だけで決めると品質低下のリスクがあります。そのため、価格と技術提案、納期などを総合的に点数化して評価する「総合評価落札方式」が採用されやすい傾向です。

 

総合評価落札方式は、見積もり合わせで行われる総合評価の考え方に近く、単にコストだけでなく品質や実績も重視する流れを示しています。

 

参考

国土交通省|オープンカウンター方式(試行)について

国土交通省|総合評価落札方式の概要

見積もり合わせとオープンカウンター方式の違い

「見積もり合わせ」と「オープンカウンター方式」は、複数の事業者から見積もりを取得して契約先を選定する点では共通しています。ただし、参加事業者の選定方法や手続きに違いがあります。

 

方式 見積もり合わせ オープンカウンター方式
参加事業者 発注者が選定した特定の事業者 条件を満たす事業者なら誰でも参加可能
手続き 簡素 公開・公募形式
特徴 信頼できる事業者から効率的に契約先を選定 指名方式より競争性・透明性が高い

 

従来の見積もり合わせは、発注者があらかじめ選定した信頼性の高い事業者に依頼するクローズド方式です。手続きが簡素なため、スピード重視の少額・定型業務に向いています。

 

一方、オープンカウンター方式は、案件の仕様書や条件を一定期間Webで公開し、参加資格を満たす事業者であれば誰でも見積書を提出できる方式です。

 

一般競争入札ほど厳格な手続きは不要ですが、指名方式より、競争性や透明性を高めやすい特徴があります。少額の物品購入や定型業務で多く用いられます。

 

見積もり合わせはスピードと信頼性を重視する場合に適しており、オープンカウンター方式は公平性や競争性、コスト削減を重視する場合に適しているでしょう。

 

以下の記事では、オープンカウンター方式について詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。

 

【関連記事】

オープンカウンター方式とは?入札との違いやメリット、流れを解説

見積もり合わせを行う5つのメリット

見積もり合わせを適切に実施することで、発注担当者や企業には多くのメリットがあります。主なメリットは、下記のとおりです。

 

  • 価格の妥当性を確認・判断できる
  • 品質や対応のよい業者を見つけやすくなる
  • 業者間の競争を促せる
  • 不調・不落を回避しやすい
  • 手続きにかかる工数や時間を抑えやすい

 

それぞれのメリットについて詳しく解説します。

価格の妥当性を確認・判断できる

見積もり合わせのメリットは、発注する案件の適正価格を客観的に把握できることです。1社だけの見積もり(特命見積もり)では、市場相場と比べて高いか安いかを判断する基準がなく、知らず知らずのうちに高値で契約してしまう可能性があります。

 

複数の事業者から同一条件で見積もりを取得することで、工事や物品、業務委託の客観的な相場を把握できます。

 

たとえば、オフィスの内装工事で見積もりを比較する際の例は、下記のとおりです。

 

  • A社:150万円
  • B社:145万円
  • C社:155万円

 

この場合、150万円前後が適正価格帯であると判断できます。

 

見積もり合わせを通じて、発注担当者や経営者は、無駄なコストを抑えつつ、効率的に支出を管理できます。

 

品質や対応のよい業者を見つけやすくなる

見積もり合わせのメリットのひとつは、品質や対応力などの価格以外の要素も比較できることです。これにより、単に安い業者ではなく、長期的に信頼できるパートナーを選定しやすくなります。

 

具体的には、以下の点を確認できます。

 

  • 品質:提供される工事やサービスの水準
  • 技術力:専門性や施工・作業の精度
  • 納期:期限どおりに対応できるか
  • 信頼性:過去の実績や対応力
  • 提案力:工期短縮や耐久性向上などの改善提案

 

このように、見積書の内容や質疑応答を含めて評価することで、長期的に信頼できる最適な業者を見極めることが可能です。

 

一般競争入札では価格優先になりやすいですが、見積もり合わせを活用することで、品質重視で業者を選定できます。

業者間の競争を促せる

見積もり合わせでは、複数の業者に同時に依頼することで競争が働き、コスト削減や提案内容の向上が期待できます。競争による具体的なメリットは、下記のとおりです。

 

  • 技術や提案の質が向上する
  • 長期1社取引による価格高止まりを防ぐ
  • 癒着や不透明取引のリスクを減らす

 

このように、見積もり合わせを行うことで、価格面だけでなく業者の対応力や提案力も向上させられます。

不調・不落を回避しやすい

見積もり合わせには、発注自体が成立しないリスクを低減できる点にもメリットがあります。不調や不落の特徴は、下記のとおりです。

 

  • 入札不調:参加者がゼロまたは1社のみの状態
  • 入札不落:参加者はいても全社が予定価格を上回り落札者が決まらない状態

 

過去の実績などから発注可能な業者を指名するため、参加者ゼロのリスクが低く、予算感を共有することで価格乖離も防ぎやすくなります。技術的に難しい案件や緊急性の高い案件でも調達の失敗を避けやすくなります。

 

以下の記事では、入札不調・入札不落について詳しく解説していますので、あわせて参考にしてみてください。

 

【関連記事】

入札不調・入札不落の原因・影響と対策|落札率UPの秘訣も解説

手続きにかかる工数や時間を抑えやすい

見積もり合わせは、一般競争入札に比べて手続きが簡素で柔軟なため、発注担当者の事務負担や契約までの時間を大幅に削減できます。

 

一般競争入札では、公告期間や入札説明会、参加資格審査など複雑な手続きが必要です。契約まで、数か月かかることもあります。

 

一方、見積もり合わせは信頼できる数社に仕様書を送付し、提出された見積書を比較するだけで済むため迅速です。

 

民間企業だけでなく、公共調達でも一定金額以下の少額随意契約において、広く採用されています。効率的な業務進行や緊急案件への対応に適した手法です。

見積もり合わせで注意したい3つのデメリット

見積もり合わせには多くのメリットがありますが、実務上注意すべきデメリットやリスクも存在します。主な注意点は以下の3つです。

 

  • 業者間の競争原理が働きにくい
  • 透明性を確保しにくい
  • 談合のリスクがある

 

それぞれ解説します。

業者間の競争原理が働きにくい

見積もり合わせは、発注担当者が参加業者を指名するクローズドな方式です。そのため、不特定多数が参加する一般競争入札に比べて競争性が限定され、期待したほどのコスト削減効果が得られない可能性があります。

 

とくに、注意すべき点は下記のとおりです。

 

  • 参加業者が固定化すると積極的な価格競争が働きにくい
  • 少数の指名では価格や技術提案の努力が低下する可能性がある
  • 長年同じ業者だけで見積もりを行うと市場価格より高止まりするケースがある

 

このデメリットを避けるには、既存取引先に依存せず、新規候補を定期的にリストアップし、競争環境を維持することが重要です。

透明性を確保しにくい

見積もり合わせは手続きが簡素である反面、選定プロセスや評価基準が外部から見えにくく、不透明になりがちです。

 

透明性が確保しにくい理由は、下記のとおりです。

 

  • 参加業者や選定理由が外部からわかりにくい
  • 評価基準が担当者の主観に依存しやすい
  • 特定業者との癒着や不公正な取引を疑われるリスクがある

 

このような不透明さを防ぐためには、まず評価表を策定し社内関係者と共有する必要があります。その上で複数人で評価を行い、選定の理由を客観的に説明できる記録を残すのがポイントです。

談合のリスクがある

見積もり合わせでは参加業者が少数に限定されるため、一般競争入札よりも談合のリスクが高くなります。談合とは、参加業者が事前に価格や落札者を打ち合わせて調整する行為のことです。

 

具体的に注意すべき点は下記のとおりです。

 

  • 参加業者が固定化・少数化すると価格調整が起こりやすい
  • 公共事業では官製談合のリスクがある
  • 情報漏洩や不公正な取引は法で罰せられる

 

リスク回避のためには、他社の見積金額を漏らさないようにするのが重要です。また、疑わしい働きかけがあった場合は、法務部やコンプライアンス窓口に相談しましょう。

 

入札談合について理解を深めたい方は、以下の記事も参考にしてください。

 

【関連記事】

入札談合とは?カルテルとの違い・罰則・企業が取るべき対策を解説

 

参考

公正取引委員会|不当な取引制限(入札談合)

見積もり合わせの流れ

見積もり合わせは、下記の流れで進めるのが一般的です。

 

  1. 仕様書・設計書を確認し、見積書を作成する
  2. 見積もりを期限内に提出する
  3. 結果通知を受け取る
  4. 採用された場合は契約協議に進む

 

詳しく見ていきましょう。

1.仕様書・設計書を確認し、見積書を作成する

まずは、発注者から送られる仕様書と設計書を確認しましょう。記載内容を十分に理解しないと、金額の誤差や追加費用の発生につながります。

 

確認すべき主なポイントは、次のとおりです。

 

  • 調達物品・サービスの仕様(材料、寸法、数量など)
  • 納期・納品場所
  • 施工条件や前提
  • 見積書の提出形式・必要書類

 

不明点があれば早めに質問し、認識のズレがないかを確認しましょう。そのうえで社内の技術者や経理、現場担当と連携し、正確な見積書を作成します。

2.見積書を期限内に提出する

見積依頼書で指定された形式に従い、期限までに見積書を提出します。

 

提出時に気をつけたいポイントは、下記のとおりです。

 

  • 指定フォーマットがある場合は厳守する
  • 内訳書・必要書類の添付漏れがないかチェックする
  • 金額・計算式に誤りがないか再確認する

 

官公庁では電子調達システムでの提出が求められる場合もあるため、提出方法の確認も忘れずに行いましょう。

3.結果通知を受け取る

見積もり合わせの結果は、発注者から通知されます。官公庁では、結果がホームページに掲載されるケースもあります。

 

不採用だった場合でも、次回の改善に向けて次のポイントを確認しておくと効果的です。

 

  • 価格が市場相場とズレていなかったか
  • 要求内容に対する提案の方向性は適切だったか
  • 提出書類の整合性に問題がなかったか

 

これらを振り返ることで、自社の見積り精度や提案力を高め、次回の機会に備えやすくなります。

4.採用された場合は契約協議に進む

見積もり合わせで採用された企業は、発注者と契約内容の最終調整(条件交渉)に進みます。見積もり段階で提示した内容をより具体化し、双方が誤解なく業務に着手できる状態に整えることが重要です。

 

主な確認ポイントは、次のとおりです。

 

  • 仕様・範囲の最終確認
  • 工期・納期・支払条件の調整
  • 追加費用の扱いや免責事項の確認

 

これらの項目を文書化した上で双方が合意すれば、正式に契約締結となり業務がスタートします。契約協議を丁寧に行うことで、後のトラブルを未然に防げるでしょう。

まとめ

見積もり合わせは、複数の事業者から見積もりを取得し、価格だけでなく品質や納期、技術力などを総合的に評価して最適な契約先を選ぶ方法です。

 

手続きが簡素で迅速に進められる一方、業者選定や評価の透明性、競争性を意識しないとリスクが生じます。成功のポイントは、仕様書や設計書を正確に作成し、公平に比較することです。

 

なお、入札に不安がある方は、「入札アカデミー(運営:株式会社うるる)」の無料相談を活用してみてください。経験豊富なアドバイザーが案件の探し方や手順をサポートするため、未経験企業でも安心して入札に挑戦できます。

 

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