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プロポーザル成功の秘訣10選〈第1回〉良い提案ではなく点数が高い提案を目指す

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ご好評をいただいております自治体ビジネスのプロが教えるシリーズ、

今回は「プロポーザル成功の秘訣10選」と題して、全10回に分けて解説します。

プロポーザル成功の秘訣10選【全10回】

第1回:良い提案ではなく点数が高い提案を目指す【本記事】
第2回:関連文書をよく読み込む
第3回:事前の質問をしっかり活用する
第4回:民間ビジネスでの企画提案書との違いを押さえる
第5回:審査委員による評価プロセスを踏まえる
第6回:評価項目全てに的確に回答する
第7回:業務実施体制を手厚く書く
第8回:プレゼンテーションで評価される事項を理解して準備する
第9回:ヒアリング(質疑応答)は戦略的に準備する
第10回:「負け」を活用する

本記事を参考にしながら、官公庁から高く評価されるプロポーザルのポイントを押さえ、しっかりと自治体ビジネスに参入していきましょう。

 

 

増加傾向にある、プロポーザルとは?

自治体ビジネスと言えば、多くの方がイメージするのが公共工事などの入札。

最も安い価格を示した企業が仕事を受注できる、地方自治体が民間企業に業務を発注するときの代表的な手法です。

 

その一方で、価格ではなく仕事の内容の優劣を競うのが”企画競争”または”プロポーザル”と呼ばれる発注形式

 

ただ単に価格が安いだけではなく「課題をどのように解決してくれて、どんな効果が期待できるのか」を問うものです。

 

プロポーザルは価格の安さで競う入札とは異なり、価格競争に巻き込まれることなく自社の製品やサービスの提案内容で優劣が決まる点にあります。昨今では自社のソリューションに自信がある企業が多く参入してくるようになりました。

 

地方自治体を取り巻く社会課題・行政課題が複雑になってきていることを背景に、発注者側の自治体も単なる「価格が安い」というよりも業務目的へのコミットや費用対効果を評価する流れになってきました。

 

「今まで競争入札で落札してきた案件が今年度からプロポーザルになった」といった声が多くの企業から聞かれるようになったのはそのためです。

 

プロポーザルで苦戦する新規参入企業

ところが、民間ビジネス分野で大きな実績を上げ、自社の製品やサービス、課題解決のソリューションに絶大な自信を誇る企業が満を持してプロポーザルに挑み、あえなく負け続けるケースが非常に頻繁に起こっています。

 

特に顕著なのがデジタル分野。

I C Tの知識や技術を駆使し、多くの市民生活の向上や社会解決の課題を図るシステムやアプリ、それらを組み入れた製品やサービス。継続的に使い続けてもらえるような仕組みもしっかり設計されています。こうした新進気鋭のSaaS企業やスタートアップベンチャー企業が自信を持って提案しているにもかかわらず、なかなかプロポーザルで結果を出せません。

 

一体なぜなのでしょうか。

 

そこには思わぬ落とし穴があります。それは、民間ビジネスでの企画提案と自治体プロポーザルでの企画提案では「良い提案かどうか」という評価の考え方が根本的に異なるという点です。

 

プロポーザルにおいて「良い提案」とはどんな提案か

みなさんが自社で導入したい製品について提案を受けるとしましょう。

そんなとき導入の決め手になるのは何でしょうか。製品の品質やデザイン、使い勝手、コストパフォーマンス。ときには営業担当者の人柄やアフターフォローのきめ細かさなどが導入における基準となるでしょう。

 

つまり、「良い製品・良いサービス・良い担当者」こんなところが意思決定の目安となることが多いのではないでしょうか。

 

一方、地方自治体プロポーザルの提案はどうでしょう。

多くの会社が、民間企業への提案活動と同じ考え方で企画提案書を作成していますが、果たしてそれで良いのでしょうか。

 

答えは「N O」。

 

そもそも民間・官公庁を問わず、ビジネスにおいて「良い提案かどうか」を決めるのは自社ではなく選ぶ側の顧客。自治体プロポーザルの場合も同様で「良い提案かどうか」は自治体が判断します。

 

では、何を持って自治体は「良い提案」とするのでしょうか。

 

結論から言うと「プロポーザルの評価基準を満たしている」提案こそが、自治体視点からの「良い」提案。

 

いくら自社が優れたソリューションを誇っていても、自治体側の提示した評価基準を満たしていないと選ばれません。

 

では、プロポーザルの評価基準とは一体何なのでしょうか。

それは、その自治体が案件を通じて「やってほしいことのレベル」「目指してほしい姿」「外してほしくない事項」などの要望をぎゅっと凝縮して示したもの。いわば「自治体のお願い事項」です。クライアントニーズといった方が分かりやすいかもしれません。

 

クライアントニーズを最も満たしている提案は、当然「良い提案」として評価されます。

逆にいうと、複数ある評価項目のいくつかがスルーされている、あるいは評価項目の趣旨を読み違えて自社都合でピントはずれの記述があるなどは当然のことながら評価の対象からは外れてしまいます。

 

忘れてはならないプロポーザル案件の競合他社の存在

更に、それだけではプロポーザルで一等賞となって受注するには不充分。

忘れてはならないのは同じプロポーザル案件に応募してくる競合他社の存在です。

 

その自治体の現場の状況をきちんと調べ、職員のお困りごとや課題を解決することに心血を注いだ企画提案書を提出期限ギリギリまで粘ってまとめ上げたとします。もちろん、プロポーザルの評価点は高いレベルで満たすことができるでしょう。

にもかかわらず競合他社がそれを上回る得点の企画提案書を出してきたらどうでしょうか。

当然選ばれることはなく、結果通知は「不採用」となってしまいます。

 

プロポーザルにおいて「良い提案」とは「他社を制して自治体から選ばれる提案」

自治体プロポーザルにおける提案は、選ばれてこそ。

自社がいくら「これは最高の提案だ!」と自信を持っていても、それは選ぶ自治体側にとっては全く関係のないこと。

唯一の関心事は「どの会社がこちらの提示した要件を高いレベルで満たして社会課題解決に貢献してくれるのか」なのです。

 

他社を制する最も高い得点を獲得して選ばれる提案こそがプロポーザルでの「良い提案」であることを理解し、評価項目全てを的確に満たすための提案内容をしっかり設計しましょう。

 

そこに競合他社を上回るための戦略が加われば、自治体からプロポーザルで選ばれるだけではなく、「選ばれ続ける」ことができるようになるでしょう。

 

 

 

プロポーザル成功の秘訣10選【全10回】

第1回:良い提案ではなく点数が高い提案を目指す【本記事】
第2回:関連文書をよく読み込む
第3回:事前の質問をしっかり活用する
第4回:民間ビジネスでの企画提案書との違いを押さえる
第5回:審査委員による評価プロセスを踏まえる
第6回:評価項目全てに的確に回答する
第7回:業務実施体制を手厚く書く
第8回:プレゼンテーションで評価される事項を理解して準備する
第9回:ヒアリング(質疑応答)は戦略的に準備する
第10回:「負け」を活用する

この記事の執筆者 


株式会社LGブレイクスルー 代表取締役 古田 智子 氏

慶應義塾大学文学部卒業後、総合コンサルティング会社入社。中央省庁、地方自治体の幅広い領域の官公庁業務の営業活動から受注後のプロジェクトマネジメントに携わる。 2013年2月、 (株)LGブレイクスルー創業。人脈や力学に頼らず、国や自治体からの案件の受注率を高める我が国唯一のメソッドを持ち、民間企業へのコンサルティング・研修事業を展開。著書に『地方自治体に営業に行こう!!』『民間企業が自治体から仕事を受注する方法』がある。

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