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プロポーザル成功の秘訣10選〈第2回〉関連文書をよく読み込む

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ご好評をいただいております自治体ビジネスのプロが教えるシリーズ、

今回は「プロポーザル成功の秘訣10選」と題して、全10回に分けて解説します。

プロポーザル成功の秘訣10選【全10回】

第1回:良い提案ではなく点数が高い提案を目指す
第2回:関連文書をよく読み込む【本記事】
第3回:事前の質問をしっかり活用する
第4回:民間ビジネスでの企画提案書との違いを押さえる
第5回:審査委員による評価プロセスを踏まえる
第6回:評価項目全てに的確に回答する
第7回:業務実施体制を手厚く書く
第8回:プレゼンテーションで評価される事項を理解して準備する
第9回:ヒアリング(質疑応答)は戦略的に準備する
第10回:「負け」を活用する

本記事を参考にしながら、官公庁から高く評価されるプロポーザルのポイントを押さえ、しっかりと自治体ビジネスに参入していきましょう。

 

 

負担感の塊、文書の読み込み

自治体プロポーザルに挑戦するときに直面する最初のハードルが、各種文書の読み込み。

 

自治体プロポーザルは、ルールが決められているスポーツ競技に似ています。

その案件ごとのルールがきちんと書いてあるのが各自治体の公式ウェブサイトからダウンロードできる文書類。

 

ところが、いざダウンロードしてみると、文書のタイトルも漢字だらけで普段接したこともない言葉ばかり。内容を見ると文字が数ページにわたってぎっしり。

民間ビジネスで馴染みのあるカラーの資料ではなくモノクロでわかりやすい図もほとんどなく、それだけで「うっ」と怯んでしまう営業担当者もいらっしゃると思います。

 

プロポーザルに取り組み始めた会社からは、「文書をたくさん読み込むのが面倒で負担」「文章が硬すぎて書いてあることが難しくわかりにくい」といった声がよく聞かれます。

実は、自治体プロポーザルでまず勝率を高めるための第一歩が、この「文書の読み込み」にあると言っても過言ではありません。

 

文書をよく読み込まず表面だけさらりと流して読んでしまうと、思わぬ要求要件を見落としてしまいます。

 

その結果評価点が伸びなかったり、最悪の場合企画提案書などの提出書類を評価する文書審査で不採用になったりすることも少なくありません。

 

読み込むべき文書の概要

せっかく企画提案のプランは優れたものなのに、文書の読み込み不足で不採用になるのはとても残念であり、もったいないことです。

 

自治体の公募型プロポーザルがウェブサイトに公開されたら、まずはそこにアップされている文書を全てダウンロード。簡単な様式も含めて、まず文書全てをしっかり読み込んで、書いてあるルールに従い正確に準備を進めることから始めましょう。

では、自治体プロポーザルで読み込むべき文書にはどのようなものがあるのでしょうか。

 

案件や自治体によって多少異なりますが、どのプロポーザルでも公表される代表的な文書と、それらを読み込むときのポイントを見ていきましょう。

 

① プロポーザル実施要領

これは、プロポーザルの進め方の手順が規定されているのが実施要領

案件の目的、今後のスケジュール、提出書類の種類と提出方法、質問の寄せ方と期限、審査の方法、その他の留意点など応募に必要なことが書いてある文書です。

特に、提出物の種類や提出の時の期限やルール、ここに注意しましょう。

 

② 仕様書

仕様書は、仕事の内容を明確に示した文書。細かく依頼する業務の内容が書いてあります。

特に着目すべきは、仕事の内容で「〇〇すること」と記載されている部分

この部分についてどのように行うかが提案書の中から漏れていると、プロポーザルで採用されるのが難しくなります。

 

特に気をつけなければならない点がひとつ。

前年度から営業先行している競合他社が、ライバル会社がその仕事をやりにくくなるような「トラップ」を仕掛けている場合があります。例えば、こんな仕様書は要注意。

 

  • 業務内容を読んでも肝心なところが曖昧で実際のところ何をやったらいいかわからない・コストがどれだけかかるか全く見えない
  • 非常に具体的な製品仕様が規定されていて自社の製品が当てはまらない
  • 業務の背景事情を熟知していないとそもそも仕様書に規定された仕事の進め方がわからない

 

一通り目を通してみて「あれ?」と引っかかるような記述がある場合は、そもそもその案件を狙って落札できる可能性があるかを一旦立ち止まって検討することをお勧めします。

 

③ 評価要領

実はこの「評価要領」が、受注のために最もしっかり読み込まなければならない文書。

 

応募する会社がどのような基準で選ばれて、どんなプロセスで評価するのかが細かく書いてあります。

時には評価に携わるメンバーが明記されていることも。

 

ここで必ずじっくり読むべき部分は、評価基準の内容と評価の配点

配点が高い評価項目に関する提案部分は、特にしっかり読み込んで何が求められているかを理解し、提案内容を考えて書くことが求められます。

 

逆に配点の低い部分は、満点を取っても全体の勝敗にさほど影響を及ぼしません。こうしたことを考えながら、どの評価基準を満たせば点数を高く取れるのか考えてから企画提案書作成に着手するようにしましょう。

 

なお、評価基準でも「〇〇すること」と記載されている部分で1個でも漏れや抜けがあると、たちまち点数が低くなります

しっかり読み込むようにしましょう。

 

④ 様式

多くの場合、編集可能なMicrosoft WordやExcel形式でダウンロードできるようになっているのが様式類。

 

ただし、単なるテンプレートと侮るなかれ。よく見ると、様式の枠外に記入のルールが小さい文字で書いてあるケースがあります。例えば、「枚数はA4で3枚以内とすること」「法人名は記載しないようにすること」「図表を入れる場合は別紙にすること」などです。

 

時間に追われていると、実施要領や仕様書、評価基準には目を通せていても、様式類、それも欄外の記載まで神経が行き届きません。思わぬ読み抜けに気づかないまま書類を整えて提出し、受け付けてもらえないこともしばしば生じます。また、様式類の記入はプロポーザルの企画提案書作成メンバー以外のバックオフィス部門に作成を振る場合、こうした部分にも注意するようにアラートをしておくと良いでしょう。

 

読み込みの時間を確保するのも重要

大手企業で自治体ビジネス常連であっても文書を読み込みきれていないケースがよくあります。

だからこそ経験の浅い会社がまずやるべき重要なこととして、文書の読み込みはプロポーザル案件を受注する的確な打ち手の一つとしてなり得るのです。

まずは「習うより慣れろ」で、ある程度まとまった時間を確保し集中してじっくりと文書を読み込むようにしましょう。

 

 

プロポーザル成功の秘訣10選【全10回】

第1回:良い提案ではなく点数が高い提案を目指す
第2回:関連文書をよく読み込む【本記事】
第3回:事前の質問をしっかり活用する
第4回:民間ビジネスでの企画提案書との違いを押さえる
第5回:審査委員による評価プロセスを踏まえる
第6回:評価項目全てに的確に回答する
第7回:業務実施体制を手厚く書く
第8回:プレゼンテーションで評価される事項を理解して準備する
第9回:ヒアリング(質疑応答)は戦略的に準備する
第10回:「負け」を活用する

この記事の執筆者 


 

株式会社LGブレイクスルー 代表取締役 古田 智子 氏

慶應義塾大学文学部卒業後、総合コンサルティング会社入社。中央省庁、地方自治体の幅広い領域の官公庁業務の営業活動から受注後のプロジェクトマネジメントに携わる。 2013年2月、 (株)LGブレイクスルー創業。人脈や力学に頼らず、国や自治体からの案件の受注率を高める我が国唯一のメソッドを持ち、民間企業へのコンサルティング・研修事業を展開。著書に『地方自治体に営業に行こう!!』『民間企業が自治体から仕事を受注する方法』がある。

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