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プロポーザル成功の秘訣10選〈第6回〉評価項目全てに的確に回答する

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ご好評をいただいております自治体ビジネスのプロが教えるシリーズ、

今回は「プロポーザル成功の秘訣10選」と題して、全10回に分けて解説します。

プロポーザル成功の秘訣10選【全10回】

第1回:良い提案ではなく点数が高い提案を目指す
第2回:関連文書をよく読み込む
第3回:事前の質問をしっかり活用する
第4回:民間ビジネスでの企画提案書との違いを押さえる
第5回:審査委員による評価プロセスを踏まえる
第6回:評価項目全てに的確に回答する【本記事】
第7回:業務実施体制を手厚く書く
第8回:プレゼンテーションで評価される事項を理解して準備する
第9回:ヒアリング(質疑応答)は戦略的に準備する
第10回:「負け」を活用する

本記事を参考にしながら、官公庁から高く評価されるプロポーザルのポイントを押さえ、しっかりと自治体ビジネスに参入していきましょう。

 

 

実は意外なプロポーザルの評価点を底上げする方法

プロポーザルは、いわば競合他社との「ルールに基づく競技」。


プロポーザル案件を受注するためには評価のルールに沿って得点した合計点で他社を上回らなければ勝てません。


つまりプロポーザルで安定的に受注を積み重ねるためには

「どうしたら他社を上回る点数の企画提案書が作成できるか?」にかかっています。


では企画提案書で高い点数を取るにはどうしたら良いのでしょう。
評価項目を高いレベルで満たす提案内容なのはもちろんですが、それ以前に点数の底上げが図れる基本中の基本の方法が一つあります


それは、
評価項目で求められていること全てについて、

以下の2点を漏れ抜けなく丁寧に記述していくこと。

 

① 求められていることに対して「こうする」と具体的に書く。

② それにより「自治体側が求める成果がこのように実現する」と書く。

 

「え?こんな当たり前のことで点数の底上げが図れるの?」

答えは、Y E S。

 

実は、多くの企業がプロポーザル企画提案書において評価項目への回答に抜けや漏れが生じているのです。これは、時間がない中自社の製品やサービス、ソリューションをいかにアピールするかに懸命で、点数を取るための評価項目を丁寧に読み込むことなく企画提案書を作っているという実態が背景にあります。

 

自治体にとってはこうした提案書がどう見えているのでしょう。

 

「この点についてどのように実施するのか考えや方法を記述してほしい」と評価項目に盛り込んで「お願い」しているにも関わらず丸ごとスルーし、自分が選ばれることだけ考えて必死になっている民間企業が果たして魅力的なパートナーとして受け入れられるでしょうか。

 

実際のところ、自治体ビジネス常連で年間数十億円受注している企業でさえ、完璧に漏れ抜けなく記述できている企画提案書ばかりかというとその限りではありません。

 

だからこそしっかり評価項目を読み込んで対応すれば、自治体ビジネスの経験が浅い企業にも十分チャンスがあるのです。

 

評価基準は「分解」して読み込む

この方法を実行する上で最も重要なポイントは評価基準に対し「漏れ抜けなく」記述することです。

 

具体的な事例を挙げてご説明しましょう。

 

以下は平成30年に福島県会津地方振興局から出された公募型プロポーザル『「学べる磐梯山」総合型プロモーション企画による情報発信 委託業務 』の審査基準及び配点の一部抜粋です。合計100点のうち40点が配点されている「各種広報媒体等を活用した情報発信」の部分を見てみましょう。

審査項目 配点 評価基準「各種広報媒体を活用した情報発信」
企画提案内容 40点
  • 学べる磐梯山」の認知度向上とともに、会津磐梯山エリアには様々な学びがあるというイメージが伝わり、[会津磐梯山エリア=学びのエリア]というイメージ訴求、ブランディングとして、様々な角度から、効果的な各種情報発信であるか。
  • 情報発信の手段(ツール)は、より効果的で、先駆的かつ話題性があるとともに、効果的な情報発信が見込めるか。
  • バラエティに富んだ情報発信であるとともに、かつターゲットの設定など十分に考えられているか。

さて、上記の評価基準の中で「各種広報媒体を活用した情報発信」を達成することを目的とし、具体的な回答が求められている評価項目の数はいくつあるでしょうか。
文章が3つに分かれているから3つでしょうか。

 

実はこれだけの数があります。

  1. 「学べる磐梯山」の認知度向上のための情報発信か
  2. 会津磐梯山エリアには様々な学びがあるというイメージが伝わるか
  3. 「会津磐梯山エリア=学びのエリア」というイメージの訴求ができているか
  4. 「会津磐梯山エリア=学びのエリア」というブランディングができるものか
  5. 様々な角度からの効果的な情報発信であるか
  6. 情報発信の手段(ツール)はより効果的か
  7. 情報発信の手段(ツール)はより先駆的か
  8. 情報発信の手段(ツール)はより話題性があるか
  9. 情報発信の手段(ツール)はより効果的な情報発信が見込めるか
  10. バラエティに富んだ情報発信か
  11. ターゲットの設定など十分に考えられている情報発信か

自治体の文章の特徴の一つとして「〜であるとともに、〜」「〜、かつ〜」などの接続詞を用い、複数のトピックを一つの文章に取りまとめる傾向があります。

 

文章を接続詞の部分なども注意し「やるべきこと」を細かく分解していくと上記の通り。
さらっと読み流していると気づかない評価項目の実数が見えてきます。

 

これら11個全てに対して一つ一つ丁寧に「具体的に〇〇します」と提案書に書かないと、まず得点が伸びません。当然ですよね。「これを提案してほしい」という発注者側のお願いを無視しているわけですから。

 

それどころか、審査委員の心中が「この会社は自分達ができる情報発信ややりたい得意な情報発信だけ書いていて、こちらがやってほしいことを無視しているな。こういう会社とは契約するのは難しいな。」と、傾いたが最後。他の会社を選びたいという心理的バイアスがかかり他社の得点の方が高くなる傾向となり、選ばれることが難しくなります。

 

「文章を読む」ことに慣れよう

自治体プロポーザルに限らず自治体の文書類は民間ビジネスの資料と比べて文章量が多く、言い回しも文語調で目を通すのが苦痛、という方もいらっしゃるかと思います。

 

でも丁寧に読んでいくと求められていることが明確に書いてあり、イメージで理解しなければならないところが少ない分、チームメンバー同士でやるべきことを共有しやすいのが利点です。

 

時間がないからとさらっと読み飛ばすことがないよう、まずは評価基準の文章を丁寧に落ち着いて読み込み、企画提案書に訴求すべきことをはっきりさせてから書くことを徹底していきましょう。

 

 

 

プロポーザル成功の秘訣10選【全10回】

第1回:良い提案ではなく点数が高い提案を目指す
第2回:関連文書をよく読み込む
第3回:事前の質問をしっかり活用する
第4回:民間ビジネスでの企画提案書との違いを押さえる
第5回:審査委員による評価プロセスを踏まえる
第6回:評価項目全てに的確に回答する【本記事】
第7回:業務実施体制を手厚く書く
第8回:プレゼンテーションで評価される事項を理解して準備する
第9回:ヒアリング(質疑応答)は戦略的に準備する
第10回:「負け」を活用する

この記事の執筆者 


株式会社LGブレイクスルー 代表取締役 古田 智子 氏

慶應義塾大学文学部卒業後、総合コンサルティング会社入社。中央省庁、地方自治体の幅広い領域の官公庁業務の営業活動から受注後のプロジェクトマネジメントに携わる。 2013年2月、 (株)LGブレイクスルー創業。人脈や力学に頼らず、国や自治体からの案件の受注率を高める我が国唯一のメソッドを持ち、民間企業へのコンサルティング・研修事業を展開。著書に『地方自治体に営業に行こう!!』『民間企業が自治体から仕事を受注する方法』がある。

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