2024年6月21日、「経済財政運営と改革の基本方針2024 ~賃上げと投資がけん引する成長型経済の実現~」(いわゆる骨太の方針)が閣議決定されました。
骨太の方針は、以前も以下の記事で解説したように、来年度の政府予算を含めた今後の政策の土台になるものです。
今回は、この最新の骨太の方針の中身を解説しつつ、今後どのような予算措置がされうるかを予想していきます。
骨太の方針の柱
まず、今回の骨太の方針は大きく3つの柱から成り立っています。
- 新しい経済ステージへの移行
- 社会課題への対応
- 持続可能な経済社会
これだけ見ても抽象的で、イメージが膨らまないかもしれませんが、今回の骨太の方針の特徴は、大きな目玉がないこと、と言えるかもしれません。
例えば2023年の骨太の方針では、岸田内閣が掲げる「新しい資本主義」の加速が大きな柱でした。この柱の中で、GXやDXの推進、こども政策の強化などが打ち出されました。こうした過去の骨太の方針と比べると、やや新鮮味に欠ける構成になっているかもしれません。
もちろん、新しいことを打ち出せばなんでも良いというわけではありませんので、その意味では堅実な内容になっているのではないかと思います。
ここからは、それぞれの柱にぶら下がっている政策について見ていきます。
新しい経済ステージへの移行
長いデフレから完全に脱却し、経済全体での生産性を高め、「成長型の新たな経済ステージ」に移行するための施策として、以下の3つが挙げられています。
- 賃上げの促進 / 価格転嫁対策
- 全世代型リ・スキリング
- 半導体等の大規模投資の支援
このうち、全世代型のリ・スキリングの一環として、教育訓練給付の対象講座の拡大などに向けた政策が盛り込まれています。
そのほか、次世代半導体やデータセンターなどの国内拠点の整備や、研究開発についても支援を強化する方針です。
社会課題への対応
課題先進国と言われて久しい日本。
その中で様々な課題を解決することを通じて経済成長を実現するために、以下9つの政策が挙げられています。
- 医療・介護DX
- 教育DX
- 交通・物流DX
- 貿易DX
- 再生可能エネルギーにおけるフロンティアの開拓
- 宇宙政策
- 海洋政策
- スタートアップの活性化
- 食料安全保障
この中では例えば、
- 医療・介護DXとしてマイナ保険証を基本とする仕組みへの移行や電子処方箋の普及拡大
- 交通・物流DXとして、自動運転サービス支援道、ドローン航路等の社会実装の加速
- 再生可能エネルギーにおけるフロンティアの開拓として、ペロブスカイト太陽電池や浮体式洋上風力などの最新技術を活用した再エネの導入拡大
などを進めることが謳われています。
持続可能な経済社会
財政再生計画のもと、歳出改革努力の継続を前提として、2025年度のプライマリーバランス黒字化が視野に入る状況にある中で、持続可能な経済社会を実現するための施策として以下を掲げています。
- 全世代型健康診断
- 新たな地域生活圏の形成
- 新しい働き方・暮らし方を実装するモデル地域の創出
具体的には、例えば、
- 全世代型健康診断として、ウェアラブル端末の活用による健康データの活用や、健康・医療分野の産業化(HX:ヘルスケア・トランスフォーメーション)を進めること
- 新たな地域生活圏の形成として、広域的な都市圏のコンパクト化を推進すること
- 新しい働き方・暮らし方を実装するモデル地域の創出として、先端技術の社会実装等に取り組むモデル地域を創出すること
などが挙げられています。
まとめ
今回は2024年6月21日に閣議決定された骨太の方針の内容について見てきました。
今回の骨太の方針では大きな目玉となる政策は少ないですが、幅広い政策分野を網羅した内容で、多くの企業の事業領域となんらか重なる部分があるのではないかと思います。
ぜひ、自社の事業に関連する部分を確認いただき、今後の動きにお役立てください。
そして、骨太の方針に記載された内容は、今後の予算措置や法律改正、ひいては入札案件などにつながる可能性がとても高いです。
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