ご好評をいただいております自治体ビジネスのプロが教えるシリーズ、
今回は「プロポーザル成功の秘訣10選」と題して、全10回に分けて解説します。
プロポーザル成功の秘訣10選【全10回】
第1回:良い提案ではなく点数が高い提案を目指す |
本記事を参考にしながら、官公庁から高く評価されるプロポーザルのポイントを押さえ、しっかりと自治体ビジネスに参入していきましょう。
優れたプレゼンテーションは、人を惹きつける伝え方のスキルが重要だと思っていませんか。
民間企業相手のビジネスならそれは正解。
だからこそ数多くの民間研修会社のプレゼンテーション研修では、話し方・伝え方の他実践的なロールプレイなどをプログラムで提供し、多くの民間企業社員がスキルアップに取り組んでいます。
こうした考え方から、自治体プロポーザルのプレゼンテーションに臨む多くの会社がプレゼンテーションの準備に力を入れています。
自治体への企画提案プレゼンテーションの特徴
民間・自治体を問わず、企画のプレゼンテーションの場の構成は、まず企画提案書のプレゼンを実施し、その後に質疑応答が設けられています。
民間ビジネスのプレゼンの場合、「企画提案書のプレゼンテーション」と「質疑応答」どちらを主体に考えているでしょうか。この問いに対し10人中ほぼ全員が前者と答えるでしょう。
質疑応答はどちらかというと補足的なイメージで、準備の時間の大半が企画提案書をどのように魅力的に伝えるかプレゼンテーションの練習を重ねて臨むのが一般的な準備の風景です。
さて、自治体プロポーザルのプレゼンテーションはどうでしょう。
実は、選定する自治体側にとって「プレゼンテーション」とは、何と「ヒアリング」、すなわち提案内容について具体的に各評価委員が知りたい点について具体的に話を訊く場と位置付けられています。
つまり、プレゼンテーションはヒアリングの前準備としての企画提案書の説明であり、実際に評価点をつける局面は質疑応答。疑問に思っている部分や不明点を応募企業に対して訊き、最終的な評価点を評価表に記入するための最も大切なやりとりが質疑応答とされています。
プロポーザルに応募した企業が細かく注意を払わない質疑応答こそが、採択・不採択を最終的に決める主要なイベントなのです。
民間企業側の認識「プレゼンメイン、ヒアリングは補足」と全く異なり、「プレゼン部分とヒアリング(質疑応答)部分は両方とも同等に重要」あることをまずはしっかり理解しましょう。
プレゼンテーションの注意点
それでは、最終的にヒアリング(質疑応答)で評価委員に高い点数をつけてもらうプレゼンテーションにするためには、何に注意すれば良いのでしょうか。
評価委員が注目する次の3点は最低限押さえるようにしましょう。
1. メンバー構成が適切か
一人でプレゼンテーションに参加すると、体制が整っていない会社と思われてしまい一発アウト。
複数で参加するようにしましょう。
一方で人数が多ければいいというわけではなく、それぞれのプレゼンにおける役割分担を決めておきましょう。参加したメンバーが何も発言しなかったりすると「君は何しにきたの?」と質問された挙句、不採用になります。
プロポーザル実施要領の中で、自治体が人数制限を設けていることも。例えば「プレゼンテーション参加の人数は3名を上限としてください」と記載してあったりします。
自治体プロポーザルのプレゼンの際に、一時期自治体営業メンバー含めて7名〜8名もぞろぞろプレゼンテーションの場に連れてくる民間企業が続出しました。
やる気と熱意を人数で示そう!という企業の考え方があるのですが、評価結果には全く関係がない上、自治体側のプレゼンテーション会場選びなどにも影響します。人数の上限が設定されるようになったのはそのためです。その場合は上限の人数を揃えるのがベターです。
2. 自治体からの要求(評価項目)に正確に回答しているか
企画書の出来栄えが大きく左右する点ですが、自治体からの要求である評価項目一つ一つに対して「〇〇については〇〇します」と言い切る形で回答しましょう。
評価委員が評価表を手元に点数をつけやすいプレゼンテーションをすることで安定的に得点することができるでしょう。
3. ヒアリング(質疑応答)が的確か
ヒアリングは、想定質問を作って練習しておきましょう。
回答する体制と役割分担も明確に決めておくなど、評価委員からの質問を受け付ける「体制」を組んで対応しましょう。
ヒアリングは評価委員にとって最終的に点数をつける判断材料を得る場です。的確に回答できることで選ばれるかどうかが実質的に決まります。
話し方がうまければ選ばれるわけではない
民間企業相手のプレゼンテーションと自治体プロポーザルのプレゼンテーションの評価の視点の違いはイメージできましたか。
最後に補足です。
民間企業で「プレゼンテーションが上手い」とされている方は、表情豊かで滑舌や話し方も素晴らしく、身振り手振りも魅力的にプレゼンできるスキルを身につけています。
自治体プロポーザルのプレゼンに挑戦するときこうしたスキルを身につけた社員が部門にいないことを理由に、業務委託でプレゼンテーション研修講師などの専門家をアサインし、その専門家にプレゼンを担当させる会社をしばしば見かけます。
「プレゼンテーションはプレゼンスキルが高い会社が選ばれる」という思い込みからくるこの方法は、話し方そのものが素晴らしいものであっても残念ながら採用・不採用にほとんど関係ありません。その理由はもうお分かりですね。プロポーザルで評価されるのは「そこ」ではないからです。
「自分は人前で話すのが苦手だからプレゼンテーションが心配」と不安に思っている自治体プロポーザル担当の方、どうぞご安心ください。
堂々と人前で話すスキルがなくても、ハキハキ話せなくても、声が小さくても大丈夫。
たとえかっこよくプレゼンできなくても自治体が知りたいことを正確に伝えることに集中しましょう。そして質疑応答のポイントを押さえてチームワークよく対応すれば、必ず勝機は見えてくるでしょう。
プロポーザル成功の秘訣10選【全10回】
第1回:良い提案ではなく点数が高い提案を目指す |
この記事の執筆者
株式会社LGブレイクスルー 代表取締役 古田 智子 氏 慶應義塾大学文学部卒業後、総合コンサルティング会社入社。中央省庁、地方自治体の幅広い領域の官公庁業務の営業活動から受注後のプロジェクトマネジメントに携わる。 2013年2月、 (株)LGブレイクスルー創業。人脈や力学に頼らず、国や自治体からの案件の受注率を高める我が国唯一のメソッドを持ち、民間企業へのコンサルティング・研修事業を展開。著書に『地方自治体に営業に行こう!!』『民間企業が自治体から仕事を受注する方法』がある。 |
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