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プロポーザル成功の秘訣10選〈第10回〉「負け」を活用する

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ご好評をいただいております自治体ビジネスのプロが教えるシリーズ、

今回は「プロポーザル成功の秘訣10選」と題して、全10回に分けて解説します。

プロポーザル成功の秘訣10選【全10回】

第1回:良い提案ではなく点数が高い提案を目指す
第2回:関連文書をよく読み込む
第3回:事前の質問をしっかり活用する
第4回:民間ビジネスでの企画提案書との違いを押さえる
第5回:審査委員による評価プロセスを踏まえる
第6回:評価項目全てに的確に回答する
第7回:業務実施体制を手厚く書く
第8回:プレゼンテーションで評価される事項を理解して準備する
第9回:ヒアリング(質疑応答)は戦略的に準備する
第10回:「負け」を活用する【本記事】

本記事を参考にしながら、官公庁から高く評価されるプロポーザルのポイントを押さえ、しっかりと自治体ビジネスに参入していきましょう。

 

 

自治体プロポーザルは負けてからがスタート

時間をやりくりしながら必死で企画提案書を間に合わせ、プレゼンに挑むも残念ながら不採用。
そんな時の自治体営業担当者さんの心中を思うと胸が痛みます。

 

何よりも不採用が繰り返されると先が見えない暗闇の中でもがくばかりで、心が折れそうになることもあるでしょう。

 

気を取り直して、さあ、ここからがスタート。

 

「勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし。」

 

プロ野球の名監督として多くの実績を残し優れた選手を育てた故野村克也監督の言葉です。

自治体プロポーザルは、まさに野村監督のこの言葉がぴったり当てはまる世界。

プロポーザルで選ばれる場合、もちろん得点で一等賞を取ったのは賞賛されるべきことです。

しかしながら、高得点の背景に時には次のような事情があったりします。

 

「強い競合他社が時期的にエントリーしてこなかった」

「他の企業の得点が低すぎて消去法で選ばれた」

「プロポーザルにエントリーした会社が自社1社だけだった」など。

 

このように、必ずしも自社の力だけで良い知らせがもたらされるばかりではないのがプロポーザル。まさに「不思議の勝ち」、フロックで勝つこともあるわけです。

 

一方、負けた場合はどうでしょうか。

理由はたった一つ。「競合他社より点数が取れなかった」ため。

フェアなプロセスで選定されるプロポーザルに、それ以外の理由は存在しません。

 

こうしたことから、自治体プロポーザルで安定的に受注を獲得できるようになるためには、原因が明確な「負け」を振り返って課題を見出し、改善策を打っていくことが非常に重要だということがお分かりいただけるのではないでしょうか。

 

振り返りにもセオリーがある

自治体プロポーザルで負けてしまうのには、企画提案書そのものやプレゼンテーションの出来栄えのほか、そもそも企画提案書作成に至るまでの準備のプロセスに課題があるケースが少なくありません。

 

例えば代表的な例が「時間に追われて提出締め切り数日前に企画提案書を書き始め、ギリギリ間に合わせて提出」というパターン。これでは評価基準を満たしているかどうかチェックする時間もなく、漏れ抜けだらけで点数が取れるものにはなりません。

 

準備は、プロポーザルが公告されてからすぐに取り掛かりましょう。

早めに企画提案書作成やプレゼンテーション準備の段取りさえ組んでおけば、その後別の仕事にしばらく着手しても少なくとも精神的な余裕は生まれることでしょう。

 

よくプロポーザルの振り返りの際に、企画提案書の内容のレビューだけで済ませる会社が見受けられます。

もちろんそれも必要ですが、そもそも企画提案書作成の時間が充分に取れなければ記載内容の品質は下がって当然。内容のレビューだけでは根本的な原因はなかなか見えてこないものです。

 

それでは振り返りをする際に、何について検証すれば良いのでしょうか。

改めてプロポーザルの準備のプロセスにそって、代表的なチェックポイントを3つに分けて7項目ご紹介します。

プロポーザルの振り返りチェックポイント

① 企画書作成準備

  • 案件選びは適切だったか
    • そもそも勝ち目のない案件でなかったか

 

  • プロポーザルが発注された背景と目的は把握できていたか
    • 業務実施方針を書く時に必要な素材を集めて「なぜこの事業が必要なのか」に言及したか

 

  • 競合他社分析はできていたか
    • 他社との点差がどこで開いたか

② 企画書の内容

  • 評価基準・項目への回答に漏れや抜けはなかったか
    • 評価基準と項目を丁寧に読み込んで、行動ベースで求められていること一つ一つに的確に回答となる提案を書いていたか

 

  • 評価基準・項目への回答は評価委員からみてわかりやすかったか
    • 専門用語の解説をつける、評価基準の文言をそのまま使って回答部分がわかるようにするなど工夫していたか

③ プレゼンテーションの内容

  • メンバー編成は適切だったか
    • 企画提案書の内容を訴求するのに相応しいメンバーを日程調整してアサインできていたか

 

  • ヒアリング(質疑応答)には的確に答えられたか
    • ヒアリングへの回答はチームワークよく対応できていたか
    • 言い切る形で回答していたか
    • 質疑応答の議事録は取っておくと後の振り返りに非常に役立つ

 

競合他社分析の重要性

特に重要なのが、競合他社分析。

他社とどの部分で何点点差が開いて負けたのか、この点を仮説レベルでも良いので可能な限り正確に検証することが不可欠です。

 

その振り返りを可能にするためには、企画提案書を書く前に競合他社を具体的に想定し点数のシミュレーションを行っておくのが有効です。

 

「A社は大手だからこの予算規模だとエントリーしてくるな」

「前年度受託したB社は当然継続を狙ってくるから入ってきているだろう」

などのように仮説を立てて予測し、それぞれが評価項目で何点獲得するか仮で点数評価します。

 

他社の合計点が自社を上回っている場合、

「どの項目で何点差がついたか」

「差を埋めるためには提案のどの部分で得点を伸ばせばいいか」

「得点を伸ばすための提案内容として、追加で何を記載すべきか」

これらの事項を検討し、企画提案書に対策を盛り込みます。

 

対策後の自社の特典が他社を上回れた段階で企画提案書を書き始める。

この段取りをとっておき、シミュレーションの配点結果を残しておくことで、プロポーザル終了後の振り返りの際にどの部分の仮説が甘かったのか明確になり、対策を講じることが可能になります。

 

負けをいかに活かすか

自治体プロポーザルは負けてからが新たな受注の出発点。

 

プロポーザルのプロセスを見直し、振り返りの精度を高めていけば徐々に勝率は向上していくでしょう。

 

 

プロポーザル成功の秘訣10選【全10回】

第1回:良い提案ではなく点数が高い提案を目指す
第2回:関連文書をよく読み込む
第3回:事前の質問をしっかり活用する
第4回:民間ビジネスでの企画提案書との違いを押さえる
第5回:審査委員による評価プロセスを踏まえる
第6回:評価項目全てに的確に回答する
第7回:業務実施体制を手厚く書く
第8回:プレゼンテーションで評価される事項を理解して準備する
第9回:ヒアリング(質疑応答)は戦略的に準備する
第10回:「負け」を活用する【本記事】

この記事の執筆者 


株式会社LGブレイクスルー 代表取締役 古田 智子 氏

慶應義塾大学文学部卒業後、総合コンサルティング会社入社。中央省庁、地方自治体の幅広い領域の官公庁業務の営業活動から受注後のプロジェクトマネジメントに携わる。 2013年2月、 (株)LGブレイクスルー創業。人脈や力学に頼らず、国や自治体からの案件の受注率を高める我が国唯一のメソッドを持ち、民間企業へのコンサルティング・研修事業を展開。著書に『地方自治体に営業に行こう!!』『民間企業が自治体から仕事を受注する方法』がある。

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