入札情報を探す 入札調査・戦略を相談する

プロポーザル成功の秘訣10選〈第9回〉ヒアリング(質疑応答)は戦略的に準備する

サムネイル

ご好評をいただいております自治体ビジネスのプロが教えるシリーズ、

今回は「プロポーザル成功の秘訣10選」と題して、全10回に分けて解説します。

プロポーザル成功の秘訣10選【全10回】

第1回:良い提案ではなく点数が高い提案を目指す
第2回:関連文書をよく読み込む
第3回:事前の質問をしっかり活用する
第4回:民間ビジネスでの企画提案書との違いを押さえる
第5回:審査委員による評価プロセスを踏まえる
第6回:評価項目全てに的確に回答する
第7回:業務実施体制を手厚く書く
第8回:プレゼンテーションで評価される事項を理解して準備する
第9回:ヒアリング(質疑応答)は戦略的に準備する【本記事】
第10回:「負け」を活用する

本記事を参考にしながら、官公庁から高く評価されるプロポーザルのポイントを押さえ、しっかりと自治体ビジネスに参入していきましょう。

 

 

 

自治体プロポーザルのプレゼンテーション落とし穴

自治体プロポーザルのプレゼンテーションの準備、どのように進めていますか。

 

企画提案書の内容、特に自社製品やサービスがどんなに優れていて魅力的か、それが伝わるように営業担当者は企画提案書に沿ってメモや台本を手にプレゼン前日も繰り返し練習してプレゼンに臨みます。

 

プレゼンは練習どおり制限時間内にぴたっと終了。
話し方や滑舌も良かったし、評価委員へのアイキャッチなどの非言語コミュニケーションも完璧。申し分ないプレゼンで手応えも十分です。自分の役割はこれで終わった!と、その後の質疑応答の場面では緊張を解いて和やかに評価委員とやりとりしました。

 

ところが後日届いた通知は「不採用」。
プレゼンの出来栄えは最高だったのに一体なぜ?と動揺するばかり。
一気に気が重くなり、上司への報告も後回しにしてしまいがち・・・

こんなケースがよく起こります。

 

一体なぜこうしたことが起こるのでしょうか。

仮に企画提案が優れた内容で、かつ評価項目全てを満たし、競合他社対策も盛り込んだ完璧な企画提案書だったのであれば、プレゼンの後のヒアリング対応に課題があると疑ってかかりましょう。

 

プレゼンテーション準備の定石

 

自治体プロポーザルでのヒアリング(質疑応答)は、プレゼンテーションと同じくらい重要であることは、別の記事で詳述した通りです。意外に感じた方も多かったのではないでしょうか。

 

ヒアリングで高得点を獲得するためには、事前準備が非常に重要です。

 

以下に、事前準備のステップをご紹介しますので是非参考にしてください。

 

1. 想定質問の準備

まず、質問される可能性がある記載部分を洗い出します。

 

実際のヒアリングの際に、企画提案書の中で書き方や表現がわかりにくい部分、評価基準への回答が脆弱な部分、評価基準への回答が漏れている部分などは質問される可能性が高い部分

 

そうしたことが想定される企画提案書の記載部分をまずは全て一つひとつピックアップしましょう。

 

企画提案書を作成した担当社員がこの作業を行うと、客観的な目で見てわかりにくいところを見落とす恐れがあります。ピックアップの際には企画提案書作成に関わっていない社員に客観的な視点で出してもらうと良いでしょう。

 

2. 想定質問の回答例の作成

次に、質問される可能性があるピックアップした事項について、質問の回答を作ります。

 

ポイントとしては、回答内容は簡潔に30秒以内で説明できるボリュームにとどめること、そして回答の中にその回答が妥当であることを示す客観的な事実や数値などのエビデンスを盛り込むと良いでしょう。

 

また、ただ単に回答するだけではなく、その回答が評価基準を満たすためにどのように効果があるのかを書き加えると更に効果的です。

 

3. 想定質問の回答者を決める

回答例が作成できた段階で、内容に応じて誰が回答するとより訴求力が高まるかを検討の上プレゼンメンバーの中から回答者を誰にするか一つひとつの回答について役割を決めます

 

例えば、事業リスクに関する質問なら最も職位の高い管理職や業務実施責任者が、というように、誰が回答すると効果的かを考慮します。

 

4. 質問を受け付ける体制を構築する

実際のヒアリングの質問に回答する際には、まず質問を一旦受ける担当を決めて、回答者に振る体制を取るのが効果的です。

 

理由は二つあります。

一つ目はチームで的確に対応しているという組織力を示す効果があるから。

二つ目は一旦受けることで数秒の猶予が生まれ、短時間ながら回答する担当者が回答内容を整理する時間を作ることができるからです。

 

また、評価委員が複数の質問をしてくる場合、一旦受ける担当者が質問内容を整理して確認し、それぞれの担当者に振ることで質問に的確に回答することが可能となります。

 

具体的には、評価委員から質問があったらすかさず一旦受ける担当者が「ご質問ありがとうございます。今のご質問については技術担当の〇〇が回答いたします」というように組織として回答していく段取りを取ります。

 

5. ヒアリングの練習をする

このように実際に準備をしっかり整えたとしても、実際にやってみると思わぬ発見や課題が見つけられるもの。

 

だからこそ、実際の質疑応答の練習をしておくと確実です。もっと別の表現が良い、他の切り口で回答した方が良い、などの改善点を見出すことができます。

 

プロポーザル案件に関わっていない社員に質問してもらい、プレゼンメンバーが回答するというようなロールプレイ形式で実施するのをお勧めします。

その際には、想定質問と回答をまとめたテンプレートを手元に練習すると良いでしょう。

 

6. 本番に向けて

作成した想定質問と回答は、本番では全く同じ質問はまず来ないと考えておきましょう。

 

むしろ想定質問と回答を作成する効果は、ヒアリングの具体的なイメージをメンバー全員がもつことと、準備をやり切って自信を持ってヒアリングに臨めるところにあります。

 

一方、全く同じ質問ではないものの関連質問が出されることが多く、回答内容をすぐにイメージできるのも利点です。

 

 

段取りが8割、現場が2割

プレゼンテーションを成功させる施策全体を100としたら、事前の段取り部分が80%

 

しっかり準備をすることで、ヒアリングだけではなくその前のプレゼンテーションも心理的に余裕を持って臨むことができます。

 

スケジュールがタイトな中で対応するのが自治体プロポーザルの常ですが、必ずまとまった時間を確保してしっかり準備をしておきましょう。

 

 

 

プロポーザル成功の秘訣10選【全10回】

第1回:良い提案ではなく点数が高い提案を目指す
第2回:関連文書をよく読み込む
第3回:事前の質問をしっかり活用する
第4回:民間ビジネスでの企画提案書との違いを押さえる
第5回:審査委員による評価プロセスを踏まえる
第6回:評価項目全てに的確に回答する
第7回:業務実施体制を手厚く書く
第8回:プレゼンテーションで評価される事項を理解して準備する
第9回:ヒアリング(質疑応答)は戦略的に準備する【本記事】
第10回:「負け」を活用する

この記事の執筆者 


株式会社LGブレイクスルー 代表取締役 古田 智子 氏

慶應義塾大学文学部卒業後、総合コンサルティング会社入社。中央省庁、地方自治体の幅広い領域の官公庁業務の営業活動から受注後のプロジェクトマネジメントに携わる。 2013年2月、 (株)LGブレイクスルー創業。人脈や力学に頼らず、国や自治体からの案件の受注率を高める我が国唯一のメソッドを持ち、民間企業へのコンサルティング・研修事業を展開。著書に『地方自治体に営業に行こう!!』『民間企業が自治体から仕事を受注する方法』がある。

NJSSは、全国の官公庁や自治体の
入札情報や落札情報を提供する
国内最大級の入札情報サービスです。

PCの画像
  • アイコン全国の入札情報を一括検索
  • アイコン最新の入札情報を毎朝メールでお届け
  • アイコン過去の落札額・落札会社から
    入札動向の分析が可能
  • アイコン雑多な案件のタスクを管理し、
    機会損失を防ぐ

Related

関連記事