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全省庁統一資格とは?取得方法や等級、申請・更新方法を解説

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省庁が企業に役務の提供や物品の購入を依頼する際は、「入札」によって受注者を決定します。

 

この入札に参加するためには、「全省庁統一資格」が必要です。全省庁統一資格は、省庁が発注する役務の提供や物品の購入に関する入札への参加資格を指します。

 

資格と聞くと取得が難しく感じるかもしれませんが、必要な書類を準備し、適切に申請を行えば、審査を通過して取得可能です。

 

この記事では、申請の流れや更新方法、資格の等級について解説します。さらに、後半では「自分で申請するのは難しい」と感じる方に向けて、無料で相談できる窓口もご紹介します。ぜひ参考にしてください。

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全省庁統一資格とは、各省庁における入札参加資格のこと

「全省庁統一資格」とは、省庁の入札に参加するために必要な資格です。入札前に申請を行い、審査を通過すると取得できます。

 

資格と聞くと、取得のための費用がかかるイメージがありますが、全省庁統一資格の申請に費用はかかりません。企業の規模や資本金など申請時に提出する情報により審査が行われるため、多くの企業が取得しやすい資格といえるでしょう。

 

全省庁統一資格への申請を行えば最長3年の有効期間が設けられ、有効期間が切れる前に更新することで、引き続き入札への参加が可能です。

 

その審査の結果、企業はA~Dの4段階の等級に振り分けられ、等級により入札できる案件が異なります。全省庁統一資格は多くの省庁の案件に入札できる資格ですが、業種や省庁によっては、それぞれの省庁で参加資格の取得が必要です。

 

たとえば、建設工事業は各省庁ごとの資格があるため、全省庁統一資格ではなく個別の資格を取得しなければなりません。

 

自社の業種が全省庁統一資格によって入札参加できるか確認した上で、申請を行いましょう。

入札参加できる分野・営業品目

全省庁統一資格で入札に参加できる分野は、以下の通りです。

 

  • 物品の製造
  • 物品の販売
  • 役務の提供等
  • 物品の買受

 

各分野の具体的な営業品目の一例は以下の通りです。

物品の製造 ①衣服・その他繊維製品類 ②ゴム・皮革・プラスチック製品類 ③窯業・土石製品類 ④非鉄金属・金属製品類 ⑤フォーム印刷 ⑥その他印刷類 ⑦図書類 ⑧電子出版物類 ⑨紙・紙加工品類 ⑩車両類 ⑪その他 輸送・搬送機械器具類 ⑫船舶類 ⑬燃料類 ⑭家具・什器類 ⑮一般・産業用機器類 ⑯電気・通信用機器類 ⑰電子計算機類 ⑱精密機器類 ⑲医療用機器類 ⑳事務用機器類 ㉑その他機器類 ㉒医薬品・医療用品類 ㉓事務用品類 ㉔土木・建設・建築材料 ㉕警察用装備品類 ㉖防衛用装備品類 ㉗その他
物品の販売 ①衣服・その他繊維製品類 ②ゴム・皮革・プラスチック製品類 ③窯業・土石製品類 ④非鉄金属・金属製品類 ⑤フォーム印刷 ⑥その他印刷類 ⑦図書類 ⑧電子出版物類 ⑨紙・紙加工品類 ⑩車両類 ⑪その他輸送・搬送機械器具類 ⑫船舶類 ⑬燃料類 ⑭家具・什器類 ⑮一般・産業用機器類 ⑯電気・通信用機器類 ⑰電子計算機類 ⑱精密機器類 ⑲医療用機器類 ⑳事務用機器類 ㉑その他機器類 ㉒医薬品・医療用品類 ㉓事務用品類 ㉔土木・建設・建築材料 ㉕警察用装備品類 ㉖防衛用装備品類 ㉗その他
役務の提供等 ①広告・宣伝 ②写真・製図 ③調査・研究 ④情報処理 ⑤翻訳・通訳・速記 ⑥ソフトウェア開発 ⑦会場等の借り上げ ⑧賃貸借 ⑨建物管理等各種保守管理 ⑩運送 ⑪車両整備 ⑫船舶整備 ⑬電子出版 ⑭防衛用装備品類の整備 ⑮その他
物品の買受 ①立木竹(ただし、国有林野事業で行う林産物の買受けを除く。) ②その他

全省庁統一資格を取得すれば、省庁が発注する上記の入札に参加が可能です。たとえば製造と販売を行う企業は、それぞれで参加資格の申請をする必要がないため、業務の手間が少なくなります。

 

入札参加できない分野

全省庁統一資格は省庁内の多くの案件に入札できる便利な資格ですが、すべての入札に参加できるわけではありません。以下の業種は全省庁統一資格の入札対象外です。

 

  • 建設工事(土木工事)
  • 建設コンサルタント(設計・測量)

 

それぞれの具体的な業務内容の一例は、以下の通りです。

建設工事 新築工事、改修工事、解体工事、電気工事、通信工事、設備工事、河川工事、法面工事、道路工事など
建設コンサルタント 設計、測量、地籍調査、トンネル点検、補償コンサル、改修設計、工事監督、実施設計など

上記に関わる案件への入札は、各省庁ごとに設けられた独自の入札参加申請が必要です。

入札参加できる省庁

全省庁統一資格で入札参加できる省庁は、以下の通りです。

 

  • 衆議院
  • 参議院
  • 国立国会図書館
  • 最高裁判所
  • 会計検査院
  • 内閣官房
  • 内閣法制局
  • 人事院
  • 内閣府本府
  • 宮内庁
  • 公正取引委員会
  • 警察庁
  • 個人情報保護委員会
  • カジノ管理委員会
  • 金融庁
  • 消費者庁
  • こども家庭庁
  • デジタル庁
  • 復興庁
  • 総務省
  • 法務省
  • 外務省
  • 財務省
  • 文部科学省
  • 厚生労働省
  • 農林水産省
  • 経済産業省
  • 国土交通省
  • 環境省及び防衛省で外局及び附属機関その他の機関並びに地方支分部局を含む

 

全省庁統一資格があれば、上記省庁への入札が可能になります。

入札参加できる都道府県

全省庁統一資格で入札参加できる地域は、以下の8つに分類されています。

地域 都道府県
北海道 北海道
東北 青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県
関東・甲信越 茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、山梨県、長野県
東海・北陸 富山県、石川県、福井県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県
近畿 滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県
中国 鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県
四国 徳島県、香川県、愛媛県、高知県
九州・沖縄 福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県

たとえば東京都の案件に入札参加したい場合、申請書の「関東・甲信越」に◯をつけることで東京都での入札はもちろん、神奈川県や千葉県での入札にも参加できるようになります。

 

また、全国各地に支社や営業所がある場合、それぞれの地域に◯をつけることで各地域の入札に参加が可能です。1回の申請ですべての地域に◯をつけられ、全国各地での入札が可能になります。

全省庁統一資格を取得するメリット

全省庁統一資格を取得するメリットは、以下の3点です。

 

  • 全国の省庁の案件に入札できる
  • 申請手続きの手間を減らせる
  • 企業としての信頼性が高くなる

 

もちろん、全省庁統一資格は便利な資格ではありますが、はじめて申請をする方にとってはハードルが高く感じるかもしれません。自社にとって本当に必要な資格なのか、取得すべきか迷う方は、以下の内容を参考にしてください。

全国の省庁の案件に入札できる

日本全国の省庁の案件に入札できることが、全省庁統一資格のもっとも大きなメリットです。

 

全国各地に営業所や支社のある会社にとっては、それぞれの地域での案件獲得に役立つ有益な資格でしょう。

 

省庁の入札案件はオンラインでも公開されているため、各地域に足を運ばずとも条件に合った案件を効率よく探せます。

 

また、今後全国に事業を広げたい企業にとっては、全省庁統一資格を活用して各地域での省庁の案件を獲得できれば、事業拡大のチャンスをつかむきっかけにもなるでしょう。

申請手続きの手間を減らせる

全省庁統一資格は、1回の申請で全国の入札に参加が可能です。

 

省庁の入札案件には、業種により各都道府県や省庁ごとに申請が必要だったり、必要な書類が異なり複雑な手続きが必要だったりする場合があります。

 

しかし全省庁統一資格が有効となる入札案件では、都道府県や省庁ごとで個別の申請は必要ないため、業務の負担を軽減できます。

 

また、全省庁統一資格は最長で3年間有効になるため、更新の手続きが3年に一度で済むことも大きなメリットです。

企業としての信頼性が高くなる

全省庁統一資格を取得し省庁の案件を獲得できれば、企業としての信頼性を示すポイントになります。

 

全省庁統一資格の取得時には、企業としての実務実績や財務状況などが審査されます。

 

全省庁統一資格を取得していることで、省庁から信頼された企業であることを示すアピールにもなり、他社との差別化も可能です。民間企業からの評価にもつながり、ビジネス拡大のチャンスになるでしょう。

 

全省庁統一資格は入札の参加に必要不可欠なだけでなく、企業の価値を高めるツールとしても有効な資格です。

全省庁統一資格の取得方法は2通り

全省庁統一資格の申請方法は、下記の2通りです。

 

  • 各省庁の申請受付窓口に持参もしくは郵送での申請
  • インターネットでの申請

 

以下では、それぞれの申請方法を詳しく解説します。

①各省申請受付窓口へ持参・郵送での申請

持参・郵送で全省庁統一資格へ申し込む場合、必要な書類を準備し、最寄りの省庁へ持参するか、郵送で送付することで申請できます。

 

インターネットでの申請は難しい方は、持参・郵送の方がスムーズに申請が行えるでしょう。

 

なお、全省庁統一資格へ申請できる窓口は、デジタル庁が運営する調達ポータルの受付・審査窓口検索で検索できます。

②インターネットでの申請

省庁に出向く時間を取れない方は、インターネットから全省庁統一資格を申請するのがおすすめです。

 

インターネットでの申請は、デジタル庁が運営する府省庁共通のシステム「調達ポータル」から行えます。申請書類を添付する必要がありますが、申請書以外の書類は別途郵送することも可能です。

 

また電子証明書の情報を使用し、登記事項証明書や納税情報を連携すれば、添付する書類を減らすこともできます。

 

なお、全省庁統一資格の取得方法は、下記記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

 

関連記事
【全省庁統一資格】の取得方法

全省庁統一資格の申請から取得までの流れ

申請から取得までの流れは、以下の通りです。

 

①書類の準備
②申請
③審査
④資格取得

 

全省庁統一資格の申請から取得までは、通常2週間~1ヶ月で完了します。ただし、あくまでも目安の期間のため、余裕を持って申請することをおすすめします。

 

また、全省庁統一資格への申請には、定期審査受付と随時審査受付の2種類の受付方法があります。

 

あらかじめ期間が設定された定期審査受付以外でも、随時審査受付として申請が可能です。しかし随時審査受付の場合、窓口が混み合う傾向にあり、取得までに数ヶ月かかる場合もあります。

 

随時審査受付をして取得が遅れると、希望する入札に間に合わない場合もあるため、早めに申請を行いましょう。

 

以下ではそれぞれの手順について、詳細に解説します。

①書類の準備

まず、全省庁統一資格の申請に必要な書類を準備します。

 

法人と個人では一部必要な書類が異なるため、下記を参考に準備を行いましょう。

 

法人
  • 登記事項証明書(履歴事項全部証明書)
  • 納税証明書その2(法人)
  • 納税証明書(その3の3)
  • 財務諸表(1年分)
個人
  • 納税証明書その2(個人)
  • 納税証明書(その3の2)
  • 財務諸表(1年分)
  • 開業届

なお、納税証明書は税務署で、登記事項証明書(履歴事項全部証明書)は法務局で発行が可能です。

②申請

必要な書類がそろったら、全省庁統一資格へ申請を行います。

 

全省庁統一資格への申請は、最寄りの省庁の申請受付窓口に持参・郵送するか、インターネットからの申請が可能です。

 

なお、全省庁統一資格は営業所や支店からの申請はできません。ひとつの法人または個人事業主に対して1資格とされるため、必ず本社や本店から申請を行いましょう。

③審査

全省庁統一資格の申請手続きが完了すると、随時申請先の省庁で審査が行われます。

 

申請書や添付書類に不備がある場合、そもそも申請を受け付けてもらえない場合があります。申請先から問い合わせがあった場合は、審査の妨げにならないよう速やかに対応しましょう。

④資格取得

無事審査に通過すれば「資格審査結果通知書」が発行されます。

 

持参または郵送で申請した場合、郵送で資格審査結果通知書が送られてきます。一方、インターネットで申請をした場合、調達ポータルから資格審査結果通知書のダウンロードが可能です。

 

申請から資格審査結果通知書の発行まで、通常2週間から1ヶ月程度かかります。なお、定期審査受付期間以外の随時審査受付期間は、窓口が混み合うため、通常より時間がかかる場合があることを覚えておきましょう。

全省庁統一資格の有効期限は最長3年

全省庁統一資格は最長で3年間の有効期限があります。一度申請を行えば、3年間日本全国での入札参加が可能です。

 

ただし、全省庁統一資格申請を行ってから3年ではなく、定期審査受付期間に申請を行うことで最長の3年間の有効期限が得られます。随時審査受付期間に申請をした場合、有効期間が3年以下となるため注意しましょう。

 

具体的に、令和7年度の申請受付期間は以下のとおりです。

申請期間 有効期間
定期審査受付期間 令和7年1月6日~令和7年1月31日 令和7年4月1日~令和10年3月31日まで
随時審査受付期間 令和7年2月1日~令和10年3月10日 令和7年4月1日以降の資格を付与した日~令和10年3月31日まで

定期審査受付期間に申請するともっとも有効期間が長くなるため、できる限り令和7年1月6日~令和7年1月31日の間に申請しましょう。

全省庁統一資格は更新が必要

全省庁統一資格は有効期限が経過する前に、更新の手続きが必要です。自動的に更新はされないため、忘れずに更新手続きを行いましょう。

 

全省庁統一資格の更新時は再度審査が行われるため、一度目に申請をした時と同様の書類に加え、資格審査結果通知書が必要です。

 

有効期限が切れると入札に参加できなくなるため、企業の収益に影響が出る可能性もあります。全省庁統一資格の更新を忘れないためにも、更新のタイミングを通知してくれる業務管理ツールの導入をご検討ください。

 

関連リンク:入札資格ポータル

全省庁統一資格には4段階の等級がある

全省庁統一資格では審査によりA~Dの等級が振り分けられ、付与された等級により入札参加できる案件が異なります。

 

一見、入札に制限が設けられることはデメリットにも感じますが、等級があることで、企業の規模に見合った案件を探せることがメリットです。

 

等級は、年間の平均生産高や自己資本金の合計額、営業年数などによって評価されます。全省庁統一資格の更新時には、都度審査が行われるため、等級が変更になることもあります。

 

等級についての詳しい算出方法は、調達ポータルの「付与数値・等級等」から閲覧が可能です。

 

なお、全省庁統一資格の資格ランクについては、下記記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

 

関連記事
全省庁統一資格の資格ランクについて

全省庁統一資格は行政書士への依頼も可能

全省庁統一資格の申請は、行政書士に依頼ができます。

 

全省庁統一資格の申請には、納税証明書や登記事項証明書など、専門機関に出向いて準備しなくてはならない書類も必要です。

 

自社で申請するとコストは抑えられますが、専門機関に出向いたり窓口で書類を請求したりする手間を削減したい方は、行政書士への依頼も検討してみましょう。

 

依頼費用はかかりますが、申請から取得までを一気通貫でお願いしたい方には有効な手段でしょう。

全省庁統一資格を取得して入札をスムーズにしよう

全省庁統一資格を取得することで、全国規模で各省庁の入札に参加できます。

 

入札の対象となるのは、物品の製造・販売、役務の提供、物品の買受の3分野です。建設や建築、土木工事などの分野は、全省庁統一資格の対象外となるため、混同しないように注意しましょう。

 

全省庁統一資格の申請は、各省庁の申請受付窓口への 持参・郵送 または インターネット申請 のいずれかで行えます。

 

申請の方法や入札について分からないことがあれば、入札のプロに相談することもひとつの方法です。全省庁統一資格を取得して、事業拡大のチャンスをつかみましょう。

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